ペーハがいなくなってからもう2ヶ月が経ちました。
まだ、2ヶ月なのか、もう2ヶ月なのかわかりませんが。
こんな事が起こるのを予測していたように、ペーハを手放してからすぐ、私は予定していた日本への一時帰国でオレゴンを離れました。そのおかげで、久々の友人達と会ったり、京都まで出かけたりと忙しくしていたので喪失感から少し遠ざかれた気がしますが、やっぱり一緒に時を過ごした所へ戻ると駄目ですね。
ペーハを手放した理由、それは彼の超ジャンプ力を阻止できるフェンスを作れなかった・・・・と言うところにきます。
カンガル犬は超大型犬でペーハはよくグレートデンと間違われました。
でも、機敏さは身体の大きさの比ではなく、特にペーハはカンガル犬の中でもまれな180cmのフェンス越えを出来る個体だったんです。
かと言って、ホットワイアー【熱線式フェンス】をこの土地全てに張りめぐらすのは金銭的に出来なかったし、ホットワイアーは、ずっと電流が流れている訳ではなく、とぎれる間が数秒あるらしいのです。
だから、たまたまその途切れの間にペーハが飛び越えてしまうと言う可能性は十分あります。
なので、ペーハに我が家の敷地内を認識させるため、毎朝散歩をして彼もそれを理解していたはずなのですが、私たちの目が届かない時に、遠出をするのは止められませんでした。
何故、そう言う行動に出るか・・・。
まずは、カンガル犬と言う犬種は、グレートピレニーズのような他の家畜護身犬と違って、先頭に立って遠くを見渡し、また遠くへ出向いて家畜を襲う捕食者がいないかを確認するタイプなのです。
そして、人と一緒に羊や山羊を放牧しながら歩いて回るわけです。
当初考えていたようなを飼ったり山羊やアルパカを飼ったりする生活を営むのは難しく、それでもペーハをペットとして迎えた訳じゃないからと、私たちと一緒にいる時間よりも外にいる時間が長かったのです。
しかも、うちの山羊の花ちゃんからは拒絶されたので、彼女と一緒にいる必要性も見出せなかったのかもしれません。
私と森へ入って、私の作業中そばで辺りを警戒する事はひとつの彼の仕事だったのかもしれませんが、基本はニワトリや山羊と一緒にいてもらう為に迎えたので、いつも私と一緒に活動をすることもままなりませんでした。
大体、人が大好きなペーハだったので、私たちといつも一緒に行動するサトリやレイラが羨ましかったのかもしれません。ある日から、私が朝、サトレラの用足しで外へ出て、ペーハに挨拶をしても、ペーハはただ、クレートに入ったまま、私たちが遠ざかるのを見ているだけになりました。
その時から、私はペーハが、カンガル犬としての生き甲斐を見出せずにいたのではないかと感じるようになったんです。後で聞いた所によればサトレラパパも、それを感じていたそうです。
じゃぁ、私たちのファミリードッグにすればいいじゃないか・・・・と思いますよね。
それで済むならそうしました。でも、隣りの人から、
「今度(ペーハ)をうちの敷地でみかけたらで撃つから」と言われたのです。
私たちが所属している、アメリカのカンガル犬のメンバーたちもペーハの脱走癖についての対策は色々考えてくれたのですが、100%ペーハが外へ出ないと言う保証は、ないわけですよね。
そりゃ、東京ドームみたいなのを作ってうちの敷地を囲えれば話は別ですけど。
それで、ペーハの命を守るには、もう手放す事しかない、と決断したわけです。
ペーハに会った人はみな、
「素晴らしい犬だ」
「可愛い」
「お間抜けさん」
と可愛がってくれました。
私にとっては勿論、そして子供の頃から色々な犬と生活をしてきたサトレラパパにとっても、ペーハのような犬は初めてでした。
山羊やを脅かしたり追いかけたりしてはいけないと教える以外には特にトレーニングをしなくても、サトレラを見て、お座りも伏せも待ても理解し、森へ散歩へ行って私が、ちょっと木の枝を折ったり草をむしったりするので
「待ってて」
と言えば教えもしないのにちゃんと伏せて待つようになりました。
これが、昔から人と一緒に家畜を守ってきたDNAなのだろうな、とつくづく感じました。
それに、ペーハと私はほぼ同時に、アメリカの地に足を下ろしたので (ペーハ、2012年11月18日生まれ。私の渡米記念日が2012年11月14日) 一緒に年を取って行けると言う喜びもあったかもしれない。
ちょうど、Papa Gordon & Mama Susanの知人に、年取った自分の家畜護身犬の後継を探している人がいたので、ペーハの話をすると快く引き取ってくれる事になり、辛い決断をした翌日、ペーハはこの家を旅立って行ったんです。
カンガル犬クラブの人から、6週間経てば新しい家にも馴染むから会いに行ってもいいだろうと、言われていたのでサトレラパパがこの間ペーハに会ってきました。
新しい飼い主もペーハを手放さなくてはいけない理由をわかってくれていたので、いつも快くペーハの様子を知らせてくれていました。
私は、家でサトレラパパの報告を待っていました。
その動画がこれです。
クリック
とてもいい顔をしていて、サトレラパパと新しい飼い主の間でちょっとどうしようか、と言うような行動が見られてペーハらしいとも思いました。最初は、家畜護身犬の犬種と言っても、半ペットで育った犬だからと言ってた新しい飼い主さんが、自分が飼っている他の犬たち(マレンマと言う犬種の護身犬)と違うし、ちゃんと山羊を守ろうとする行動もする、と喜んでくれていると聞いて、よかった、と思う気持ちの裏には
「そりゃそうでしょ。うちで育ったんだもの」と言いたい気持ちも強くある。
3年間育てて、やっと大人になったと思ったらいなくなっちゃうなんて・・・・。家畜護身犬としてフルに働いていたわけでないペーハを快く引き取ってくれた良い方なのに、いいとこどりしてる、と罰当たりな事をつぶやく自分もいる・・・。
やっぱり私はまだまだ会いには行けません。
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