高須台 渡辺 ピアノ/オカリナ教室

大人から子どもまで楽しく

タピオラ幻景

2013年01月25日 | 楽譜・曲紹介


 

 先日テレビで「左手の音楽祭」と題した、館野泉さんのピアノリサイタルを観ました。館野泉さんは、脳溢血のため右半身不随になった後、左手のピアニストとして復帰されたことでも有名ですが、フィンランドの音楽をたくさん日本に紹介されています 。館野泉さん監修の北欧音楽の楽譜が、全音からたくさん出版されています。  
 今日は先日テレビで観たコンサートの中で演奏されていた、「タピオラ幻景 作品92」(吉松隆 作曲)という曲集をご紹介します。タピオラとはフィンランドの神話の森の神(タピオ)が棲むところだそうです。この題名をきいただけで、フィンランドの深い森にさすわずかな光や、透きとおった冷たい空気、風や鳥の声が感じられるようです。1「光のヴィネット」2「森のジーグ」3「水のパヴァーヌ」 4「鳥たちのコンマ」 5「風のトッカータ」 という5つの小品からなっています。1曲目の「光のヴィネット」では、さんさんと降りそそぐ光ではなく、深い森にわずかに差し込む光が神秘的に表現されているようで、おもわず聴き入ってしまいます。「森のジーグ」は軽快なリズムが特徴的で、これを左手だけで弾くのはむずかしそう。「水のパヴァーヌ」は静かな水面に水の輪が広がっていくような、少し劇的な感じ、「鳥たちのコンマ」は鳥のさえずりを感じさせるようなところが耳に残ります。そして、終曲「風のトッカータ」もリズムが特徴的です。曲の終わりに「光のヴィネット」のテーマが再現され、静かに終わりをつげます。息をころして聴き入ってしまうような、美しい曲です。
 CDの解説の中で作曲者の吉松隆さんは「左手のピアニストになられた館野さんのために左手でひけることを目指したが、必ずしも左手だけのために書いたつもりはない。ふたたび両手で普通のピアノ曲として自由に演奏していただける日の来ることを願って、「(左手でも弾ける)ピアノのための・・・」とでも称することにしようか」と書かれています。みなさんも両手で挑戦してみてください。上の写真ではわかりにくいかもしれませんが、うっすらと雪の結晶が描かれた素敵なCDジャケットです。

 

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