昨日より「人生が深まるクラシック音楽入門」(伊東乾 著 幻冬舎文庫)という本を読み始めました。まだ最初の30ページほどしか読んでいないのですが、その中にとても印象に残る話が2つありました。
ある女性が妊娠してから体調をひどく崩してしまい、「もう耐えられない」と中絶まで考えたのですが、ある日バッハの「マタイ受難曲」を聴いて、ひと時つわりの苦しさを忘れることができ、「世の中にこんなにきれいな音楽があるなら、自分の子にも聴かせてあげたい」と思ったそうだという話。また、ある重い病気を宣告された人が病室で音楽を聴こうと思った時に、歌詞がある曲はうるさく思われて聴く気がせず、最終的にそれまで全く興味のなかった弦楽四重奏を病室の友に選んだという話。
この2つの話を読んだ時に、自分が妊娠中つわりで苦しかった時のことを思い出したのです。けっこう大きくなったおなかをかかえて気持ち悪くしんどかった時、特に夕方から夜にかけて、1日の疲れが出るのか横になったまま動けないでいる時、繰り返し聴いたのがモーツァルトの「クラリネット協奏曲」でした。特に2楽章。「なんて美しい曲なんだろう・・・」と思っている間は、気持ち悪いのをしばし忘れることができたのかもしれません。特別にモーツァルトが好きだったというわけではなかったのですが、その時は学生の頃から大好きだったドビュッシーは全く聴く気になれなかったのです。その時の私の心のひだにぴったりきたのが、モーツァルトの「クラリネット協奏曲」だったのだろうと、この本を読んで思いました。
そういえばあの頃はあの曲をよく聴いていたなぁ、と思い出すシーンと曲がいくつかありまして、それが全てモーツァルトなのは単なる偶然でしょうか?モーツァルトの曲は、私の心の奥深くまで入っていく力を持っているのでしょうか?まだまだ本の導入部分しか読んでいないので、これから先を読むのが楽しみです。