「とにかくいい映画みたいだから行こう」妹に誘われて。どんな映画?「トイレを掃除する」?「誰が?」「なんで」と言ったけど、「とにかくいい映画みたいだから」と。
なんだか詳細はわからないけど、主人公は役所公司というので、好きな俳優だし行ってみるかと。シネマプラザハウスの2回目の上映時間は、押し迫っていたので急いで行った。
観た後、車の中で私はこう思う私はこう感じたとお互いの感想を語り合った。
おばあさんには、毎朝掃きそうじするというルーティーンがあり、彼は毎日、起きて布団を畳み歯を磨き髭を剃り、缶コーヒを飲んでトイレを掃除しに行き、同じ場所で弁当を食べ、木漏れ日を嬉しそうに見上げる。
そういう日々が繰り返し映し出される映画だった。
最後の役所広司さんの、深く重く生き様を感じさせる表情がなんともいえずいい。
これでいいんだ。それでいいんだね。と思わされた。
「繋がらない世界がある」という言葉が印象に残った。
会社勤めをしていた頃、昼食後いつも西銀座デパートと泰明小学校の隅っこにあった小さな公園の木漏れ日の中で文庫本を持って読書をしていた自分を思い出した。
この映画のような光と風までもが思い出された。
観る人によって、想像することが感想が違うのだろうな。不思議な感覚の映画だった。