後手の工夫で、離れ駒を作らないように
53銀ではなくて、62金右のほうが自然です。38銀53銀16歩44歩
先手の角筋が通っているのに、後手の角筋が止まりました。これは居飛車の良さを半分放棄しているようなものです。穴熊か左美濃に固めようとしているわけですが、向い飛車の餌食になりそうです。先手は86歩同歩同飛
飛をぶつけます。86同飛から見ていくと、同角88飛82飛89飛成79金
これは89竜の利きがそれると (87竜にも88歩なので) 53角成がありますね。ほぼ先手優勢、評価値は+913あります。
後手が自陣飛車を打つと。82飛87歩
AIに聞いてみると、45歩77桂64銀
先手の攻めを警戒すれば、まだ難しいようです。評価値は+58の互角。とはいえ後手を持ちたくはありませんが。
戻って
後手が良さを求めるならば、88歩77桂89歩成なのですが、
ここもAIに聞いてみると、53角成同金86飛
86同飛同歩82飛61飛
86飛65桂52金引53銀51金引63飛成
この図の評価値は+543で先手有利です。62銀成から攻める手が受けにくいです。後で55歩が良い感触の手になるでしょう。
田中先生の定跡本では
85飛同飛同桂82飛
としているのですが、AIに聞いてみると、84飛のほうが正解で、評価値は+82ほどの互角です。理由はこの後わかります。73桂成同桂71飛81桂
53角成同金83銀
取れば72飛成ですね。後手の飛が84にあればこの筋が成立しませんでした。42飛に81飛成以下進めれば、評価値は+500ほどの先手有利になります。
戻って
飛交換は先手ペースで進むので、85歩を打った場合ですが、88飛74歩66角
73桂77桂64銀84歩75歩
75同歩84飛74歩
74同飛85桂65桂93桂成
この図の評価値は+390の先手有利です。
定跡本では触れていないのですが、途中のこの図では
45歩も考えられるでしょう。AIに聞いてみると、22角成同銀61角
これは92角や94角と受けても、83歩同角85飛があります。なので84飛には52角成同金95金
こんな手はまねしないほうが良さそうに思いますが、82飛85飛同飛同金
この図の評価値は+414の先手有利です。85金を使えないこともないし、玉の堅さが違うから、当面の駒損は気にならないということなのでしょう。
定跡本では、先手の66角を嫌って
後手が64銀とする形を取り上げています。66歩74歩67銀73桂78金
「歩越し銀には歩で対抗」の陣形を取り、42銀15歩43金46歩94歩68角33角77桂
後手玉の固め方はいろいろあるところでしょう。ここで22玉よりは31金のほうが難しいのですが、もしそうだとしても、65歩53銀75歩
先手が仕掛けることができます。84飛74歩同飛85桂
65桂73桂成同飛82飛成
先手優勢とされていますが、評価値は+322の先手有利です。後手の41金が離れていないと+200ほどの先手良しです。
ここでも後手が玉を固めようとすると、向い飛車のペースになるということがわかったでしょう。