この角道オープン向い飛車には、先に出版されている定跡書があります。2010年出版の「高崎一生の最強向い飛車」で、重複しているところが多いのですが、田中先生が書いていない変化を調べてみます。
32銀とする手、これは31角と引いていわゆる飯島流引き角戦法を目指すような形です。 (飯島流といいながら、アマチュアの先行する定跡書があり、どこがオリジナルなのかを言及せず宣伝するので、私は飯島先生を軽蔑します。)
さて86歩同歩同角と動いたら。
34歩には77角同角成同桂
88飛成同銀
この図の評価値は+105で先手ペースです。本に書いてあるのは、57飛58金右56飛成83飛82歩85飛成 (87飛成のほうがわずかに優る) 62金
高崎先生は後手良しというのですが、評価値は+110で先手ペースです。
でもここまでが一本道ではありません。
この図で86同飛同飛95角83飛打31角とするのもありそうで
後手も角が使えます。87歩86角右同歩
ここも分岐で、82飛とするのはあとで。87飛81飛成86角
王手飛車の筋がまた出てきて、48玉75角同歩81飛成
53桂89竜66角76飛
どうしてこれが最善手なのかもわかりにくい応酬です。評価値は+94の先手ペースですが、初見だとどちらが有利になるかわかりません。
少し戻って
ここで87飛ではなくて、82飛同飛成同銀とするとおとなしい展開になります。
進行例は48玉64角78金72金38玉74歩
この図の評価値は+77で少し先手が指しやすいようです。
ということで王手飛車の筋は、先手が少し指しやすいというのが結論です。
話は戻って、34歩77角同角成同桂の図ですが、
本に書いてある88飛成も必然ではありません。87歩89飛88角
これが先手にとって厄介な変化です。66角79角成同金88銀84歩
89銀成同金88歩成同金79飛
48玉99飛成65桂64香
11角成65香78金33桂
妥当にみえる進行で、評価値は-192の後手良しです。
つまり先手の86歩同歩同角は無理なのでした。