グループリーグは波乱がいくつも起こり、いくつかの意外な結果を見る事になりました。これもアフリカ大陸で行なわれている大会ならではの波乱でしょうか。
なかでも驚いたのが、イタリアが一勝も出来ずに敗退した事です。
日本で「サッカー」と呼ばれているスポーツは、世界的には「フットボール」と言われています。国によって綴りや発音が異なりますが、それがスタンダード。しかし、例外もあってイタリアだけが「カルチョ」と呼んでいます。
カルチョとはイタリアのフィレンツェで古来行なわれていた蹴球の祭から来ているようです。昔からイタリアでは、ボールを大勢で蹴りあって、相手の町に設けられたゴールに蹴りこむ祭がありました。蹴りこんだ時点で勝敗の決着は付く流れ。つまり、ゴールを割られるという事は試合終了を意味する。イタリアが非常に守備を重視して、1-0で勝つ事が美しい勝ち方とされるのは、そのあたりに起源がありそうな気がします。
「鍵を掛ける」という意味の「カテナチオ」を呼ばれるイタリアの守備の堅いサッカースタイルは、素早いプレスで相手からボールを奪い、前線に張る強い攻撃の選手に預ける。その攻撃の選手が「ファンタジスタ」であればあるほど、イタリアの勝利は近くなるのです。
その勝利の公式に従えば、今回のイタリアはカテナチオが破綻し、ファンタジスタが不発に終わった大会という事になるのでしょう。
馬に跨り、一人で剣を持って相手の陣地に突撃していくような勇士。イタリアは長らくそういうイメージの選手を排出してきました。パオロ・ロッシ、ロベルト・バッジオ、アッレサンドロ・デル・ピエロ、フランチェスコ・トッティ。
日本対デンマークの試合における日本のプレイを、本来はイタリアがやらなくてはいけないような試合スタイルだと書いたイタリアのマスコミがあったようですが、きっちり守備をして、人数の少ない勇敢な攻撃陣が相手陣内に攻めていくという、デンマーク戦での日本のスタイルは、確かにカルチョ的であったかもしれません。
そういえば、イタリアも日本も、古くから国内で国捕り合戦をしていた国でもあります。