「いましばらく幸せの命下さい」私はことばなく神に祈りました
6時間近い前立腺がんから転移したと思われる膵臓と胃の初期がんの摘出手術に耐えて、2ヶ月の闘病の末見違えるように元気なって退院して3週間近く、今また弟は病院のベット横たわっています。昨晩甥からの電話の知らせに私は絶句してことばが出ませんでした。
「手術後の腸の癒着、一週間ほどの入院治療」主治医の先生の診断書にはそうありました。
数日の痛みと嘔吐の苦しみも今は治まって活字が読めるようになった。すまないけど新聞と文春を買ってきてくれと弟は言いました。
私は幼かった日のことを思いました。 堅雪渡り(豪雪地帯の春、融けて湿った雪が凍てついた朝の寒さに氷って雪原が自由に歩けるようになります」を弟と楽しんでいたとき、弟は堀の上の薄い雪を踏み外して深い堀の底に落ちて泣いていました。私は必死に堀の穴の入り口を探して弟を助け出しました。
その日のことが思い浮かんで、老体の私だけれども強くなって、そして辛いけど弟の心を支えてやらなければと思う今日でした。