とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

不思議な連鎖

2011-06-09 23:55:12 | 日記
不思議な連鎖


 次の写真は福島県相馬港である。今現在どういう姿になっているか私は分からない。



写真借用サイト

 ただ、簡単に想像することはできる。他の港の無残な映像を知っているからである。私は偶然にもこの昔日の港を描いた油彩画に遭遇したのである。
 私はいつものようにヤフ・オクの出品作を見ていた。すると、あるお方の店には次のような説明が書きこまれていた。


  福島県は未曽有の大震災に見舞われ、加えて原発問題で県民の苦しみは悲惨な状況に陥っています。日本各地は勿論のこと、世界各国から応援、援助の手が差し伸べられていますが、同じ県民の一人として油絵を描くことしかできない老人ではありますが、売上金の一部をオークションを通して寄付させていただきます。略歴(省略)は下記に掲げた通りですが、意を汲んでいただきご賛同お願い致します。


 被災地からのこういうメッセージは初めて読んだ。感激した。私は先ず問い合わせ欄にお見舞いの書き込みをした。すると、丁寧なレスが返ってきた。私は即座に落札させていただいた。競争相手はいなかった。1回の入札で即落札だった。
 その老画家の略歴を見ると、現在は某文学雑誌の表紙絵を描いていると記してあった。私はその雑誌名を知って驚いたのである。私は同郷のある詩人について生家を訪ねて最近調査した。娘さんが資料を示して丁寧に説明された。その詩人はその歴史ある雑誌の文学賞の最終候補に数回選ばれていたのである。
 無骨な性格で詩人仲間から人柄について誤解されていたそうである。親戚や世間からも疎まれていたという。しかし、意外な事実を私は知らされた。その詩人はヴァイオリンを弾いて楽しんでいたという。しかもそのヴァイオリンはかの名器ストラディバリウスである。私は娘さんからその遺品を見せていただいた。無骨な詩人とストラディバリ。私はその詩人に対するイメージが一変した。本当は繊細で豊かな感受性の持ち主だったに違いない。そう信じた。
 そんなことがあってから、ヴァイオリンに対する関心がいや増してきた。動画サイトで検索すると、たまたま宮本笑里なる人物の存在を知った。

 宮本笑里 カノン


 こんな人がいたとは、・・・。私は長くて不思議な旅をしたような気持ちを味わったのである。

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