とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

「母」の言葉

2013-07-21 06:24:28 | 日記
「母」の言葉





エリュー・ヴェッダー画『プレイアデス』(1885年) メトロポリタン美術館所蔵


プレイアデスはティーターン族のアトラースと、海のニュムペーであるプレーイオネーとの間の7人娘であり、キュレーネー山で生まれた。カリュプソー、ヒュアース、ヒュアデス、ヘスペリデスとは姉妹で、一説にカリュプソーとディオーネーをプレイアデスに含める(この場合ディオーネーはアトラースの娘とされる)。

プレイアデス姉妹は女神アルテミスの侍女であり、ヒュアデスの7人姉妹と共に、幼いディオニューソスの乳母兼教師を務め、アトランティデス、ドドニデス、ニシアデスと呼ばれた。あるいは一説に、アマゾーンの女王の姉妹だという。この場合の姉妹の名はよく知られた7姉妹とは異なる。

7姉妹について

1 マイア 。 長姉。ゼウスの子ヘルメースを生んだ。

2 エーレクトラー。ゼウスとの間に、ダルダノスとイーアシオーンを生んだ。

3 ターユゲテー 。ゼウスの子ラケダイモーンを生んだ。

4 アルキュオネー 。ポセイドーンの子ヒュリエウスを生んだ。

5 ケライノー 。ポセイドーンとの間にリュコスとエウリュピュロスを生んだ。

6 ステロペーまたはアステロペー 。アレースの子オイノマオスを生んだ。

7 メロペー 。末妹。シーシュポスと結婚し、不死性を失って死んだ。シーシュポスとの間に何人かの息子を生んだ。


アトラースが天を背負う役目を負わされた後、オーリーオーンがプレイアデス全員を追いかけ回すようになった。ゼウスは彼女らを初めはハトに、ついでその父を慰められるようプレイアデスを星に変えた。オリオン座はいまだプレイアデス星団を追って夜空を回っているという。

物語にはいくつかのバージョンがあり、7姉妹全員が死に至ったのは、父アトラースの運命と姉妹ヒュアデスの喪失を嘆くあまりだという。そこで最高神ゼウスが、姉妹を空に置いて不死性を与え、彼女ら7つの星はプレイアデス星団として知られるようになった。


ヘシオドスより古代ギリシアの詩人ヘーシオドスは叙事詩『仕事と日』の中で幾度か、プレイアデスに言及している。プレイアデスは主に冬の星であり、古代の農業暦において非常に大きな役割を果たす。以下にヘーシオドスの言葉を挙げる。


「そしてもし嵐の海を渡ろうという望みが汝を捕らえたとしても

プレイアデスが強大なオーリーオーンを避け

深い霧の奥に潜り

激しい風が荒れ狂うなら

汝の船を暗紅色の海に出してはならぬ

しかし我が言のとおり忘れずに地を耕すのだ」



プレイアデス星団が「オーリーオーンを避け深い霧の奥に潜」って西にある時期、春の夕方早くは、一年で「地を耕す」のにちょうどよい時間になる。(以上 by 「Wiki」)


 前田三朗が事務局長として赴任することになりました。赴任の日、私は、妻と出かけてしばしの別れを惜しみました。千恵子と志乃は思ったより元気で安心しました。ヘルパーさんも来ていました。午後1時から7時まで1日おきに来てくれることになっていました。三朗は月に一度は帰るということで、これまた安心しました。妻が千恵子の家にときどき手伝いに出かける約束をしていました。この時点で「新阿国座」の稽古場も決まっていて、事務局の隣地の空き家を改装することになっていました。その仕事も三朗が中心になっていて、最初から激務が待ち受けているようでした。・・・赴任してから数日後、三朗から電話がありました。

 
 あ、三朗、・・・体大丈夫かい。

 大丈夫です。先ほど妻にも電話しました。・・・専門家のスタッフがたくさんいて、私はスケジュールを管理していればいいですよ。色んな俳優さんにもお会いしました。女歌舞伎がベースですので、プレイアデス星団みたいです。

 そうかい。フラフラしないようにな。

 ははっ、大丈夫です。・・・里見オーナーにもお目にかかり、いろいろ教えていただきました。二人で話しているうちに、お義父さんの話が出てきました。

 なに、え、私の・・・。

 そうです。お亡くなりになったお義母さんの話です。

 なんだって。

 そうなんです。私も不思議に思いました。オーナーがご存知とは予想外でした。

 どういうことだ。

 なんでも、オーナーの知人、といっても相当のご高齢ですが、お義母さんの妹さんだとか。

 妹。諏訪の出身なのか。

 そうなんです。お義母さんは双子のお姉さんの方で、その方は生まれるや里子に出されたそうです。

 農家だったので、春と秋は大変だったそうです。

 全くしらなかった。

 それで、なんと仰って・・・。

 その方は出雲の最近の動きをすべてご存知でした。

 どうしてだ。

 いや、そのお方は、先に死んだお姉さんが天上から見ていることがすべて分かると仰っているそうです。

 なに、空の上から・・・。

 そうです。ですから、里見さんは、出雲の最近の動きをすべてご存知でした。湖笛のこともご縁市場のことも、すべて・・・。

 お、恐ろしいことだ。

 「・・・この度出雲に集まったお方はすべて重い過去を背負っている。それはだれにも言えることで、その過去にいつまでも拘っていては前進はない。これからは一切の過去の重荷から解き放たれることが肝要だ」と仰ったそうです。また「京子さんが生まれた家を捨てて新天地を切り開いたのはすばらしいことだ」とも言われたとか・・・。

 新天地。

 そうです。

 神か仏か・・・。

 いや、ごく普通のお年寄りだそうです。・・・私は、受話器を持つ手が震えてきました。

 
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