とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

負の重積地

2013-10-06 05:49:17 | 日記
負の重積地




「フラジョレットを吹く天使」( 1878 マージーサイド州立美術館・ギャラリー  リヴァプール  イギリス)


 ラファエル前派が次第に象徴主義への影響を高めていった時、バーン・ジョーンズは作品の神秘性を高めながら、装飾性にもこだわっていった。私は薬師寺東塔の飛天を連想し、芸術・宗教における和洋の共通性を思った。この作品はパステル画のような淡い色彩がまことに美しい。


 ご縁市場についての三者の契約がいよいよ大詰めになりました。契約書調印の日、劇団の幹部だけではなく里見オーナーも出雲に来ました。出雲市駅に到着したオーナーは市関係者と古賀所長たちの出迎えを受けました。オーナーは駅舎の中に阿国像が立っているのを見つけていたく感激していたそうです。そして調印式を終えた劇団の一行は観音山に登って劇場の候補地を眺めたそうです。・・・これもまた三朗からの連絡によって知りました。

 お義父さん、オーナーの第一候補地が決まりました。

 えっ、第一候補、・・・何のことだ。

 劇場の建設予定地ですよ。

 そんな大事なこと、私に話していいのか。

 ははっ、大丈夫です。関係者にもう連絡してあります。地権者には了解していただきました。それから古賀所長も賛成でした。ああ、岡田さんはがっかりしていましたが、理解していただきました。

 岡田さんががっかりしていた、・・・もしかして・・・。

 そのもしかして、ですよ。先日落雷した山です。

 あんな辺鄙なところがどうして・・・。

 ご縁市場に近いですし、それから・・・。

 何だ。

 観音山から眺めて、オーナーは何か強い確信を得たようで・・・。

 天啓だと言うのですね。あそこの山は落雷によって負と言いますか、陰と言いますか、何しろものすごいマイナスのエネルギーが集積しているという訳ですね。ご縁市場にとって悪いことが起きてはならないということで・・・。

 ・・・。

 負の集積は莫大な正のエネルギーを生む、あそこに神殿を作れば、発展は間違いない、と仰いました。負の乗数は天文学的な数になる、とも仰いました。

 さっぱり分からん。

 土地を整備し、道をつければ神殿は周囲どこからでも眺められる出雲の象徴になる、とも仰いました。

 旨くいくかね。

 私は素直に納得しました。他の幹部も平野部より高地に建てる方がシンボルとして効果がある、と言っていました。

 火の鳥が守ってくれるということも・・・。

 お義父さん、私はその場面を見ていませんが、後でその話を聞いて、火の鳥をはっきりイメージできました。

 それで、何時完成するんだ。

 2年後だと思います。

 ということは、相当計画が煮詰まっているということになるな。

 そうです。忙しくなります。
 
東日本大震災へのクリック募金←クリック募金にご協力ください。