2003年第十五回日本ファンタジーノベル大賞受賞作「太陽の塔」を読みました。先日読んだ「新釈 走れメロス 他四篇」の作者森見登美彦さんのデビュー作です。妄想には妄想をと私も主人公に負けないように、登場人物のあることないことを妄想して楽しみました。森見登美彦さんの文章は声に出して読みたい本に推薦したいぐらいリズムがあって読みやすく感動します。「新釈 走れメロス 他四篇」の『山月記』の主人公斉藤秀太郎さんを思い出したり、『藪の中』の長谷川さんを思い浮かべたり、本の内容は全然違うものなのに、そのシルエットを探したり、その後の消息を知りたくなります。違う作品にも同じ香りが漂っているというか、環境が似ているというか、このように感じるのが不思議ですし、初めて持つ感情です。それだけ主人公に愛着を持っていて忘れられないからだと思います。不憫に思ったり、切なかったり、愛おしく思ったりした主人公です。心のどこかに引っかかっているのでしょう。もっと森見登美彦さんの作品を読みたいと思いました。そしてもっともっと斉藤秀太郎さんや長谷川さん、鵜山さん(藪の中の登場人物)、芽野史郎さん(走れメロスの登場人物)などと親しくお話したいと思いました。
写真は私が2005年2月に撮った太陽の塔です。太陽の塔の前と後ろの写真です。
お気に入り度:★★★★★ 図書館資料 分類番号:D/913/モリ