ポーランドのアウシュヴィッツ博物館を日本人ガイドの中谷剛さんに、現地で案内して頂きました。その案内が素晴らしかったので、ネットで中谷剛さんを検索して調べたら、本を何冊か出しておられました。その一つが「アウシュビッツ博物館案内」です。本も案内して頂いて感じた通りのものでした。本を読んでいてもそばで解説してもらっているような錯覚を覚えました。決して興奮することなく淡々と静かに語られます。最初はオシフィエンチム(ドイツ語名がアウシュヴィッツ)にポーランドの軍兵舎がありました。ナチスドイツはポーランドの政治犯を収容する施設が必要だったため、鉄道駅があって交通の便が良いオシフィエンチムに目をつけました。ポーランド人に影響力のある知識層や聖職者を大量殺戮しだんだんエスカレートしていきます。ユダヤ民(こちらの本ではこのように明記されています)、ロマ・シンティ(ジプシー)、精神病患者など社会的弱者も虫けらのように次々と殺していきました。そしてこれは第二次世界大戦の負の遺産ではあるものの、人間の永遠の性で、いつこのようなことが起こるかわからないということを示唆しています。このことが一番怖いことです。小さいことではいじめもそうです。二度とこのようなことが起きないようにアウシュヴィッツから学ばなくてはなりません。アウシュヴィッツへ行くまではなるべく戦争の爪あとを見たくないと思っていました。戦争をなくすにはどうしたらよいのか、差別をなくすにはどうしたらよいのか、みんなが真剣に向き合って考え、勉強しないと歴史は繰り返されるのだと思います。アウシュヴィッツは今はとても注目されていて世界各国から見学者が来られるそうです。25歳未満の見学者は74%です。来場者数で言えばお隣の韓国は9位、中国は23位です。日本人はシニアが主で見学者数も全体の18位前後のようです。もっともっと若い方に見学してもらって未来が平和であるように祈ります。
お気に入り度:★★★★★ 図書館資料 請求番号/234.0/ナ