森見登美彦さんの書かれた本が面白いのでまた「きつねのはなし」を読みました。今まで読んだ本とはちょっと異色で笑いはなく、気味が悪いお話しです。妄想は妄想でもこれまでとは種類が違います。京都の知っているところ、鶯森神社、一乗寺、琵琶湖疏水、吉田山の節分祭、南禅寺などが一杯出てくるので親しみがわきます。古い大きなお屋敷の中や骨董屋さんでは本当にこのようなことがあるのではないかと思いました。私の知らない世界、今まで興味がなかった世界、ちょっとした骨董品など・・・深いお話が潜んでいるのではないかと思いました。京都へ行って古い大きなお屋敷を見つけたり、芳蓮堂のような骨董屋さんを見つけたら、しばらくそこに佇んで静かに想いをめぐらしそうです。この本は短編が4編収められていますが、どこか似通っていたり、同じ名前の骨董屋さんが出てきたりして、別々のお話しなのに、読み終わった後は長編の物語を読見終わったような錯覚を覚えます。森美登美彦さんの本はこのような作品が多いですが、先日読んだ劇団ひとりさんの本も作風が似ているので、今の流行でしょうか?怖いけれど面白い本でした。夜寝る前に読む本には向いていません。お昼の明るいうちに読むのがいいのではと思いました。森見登美彦さんのまた違う一面に出合えました。
お気に入り度:★★★★★ 図書館資料 請求番号:913/モリ