2008年12月27日(土) この週末は、2008年の〆として静かな野営を堪能するため、お気に入りの『生野島』へ。
内海である瀬戸内では、一年中シーカヤックのキャンプツーリングが楽しめるのだが、冬のキャンプツーリングの味わいは、これまた格別である。
靄が少なく、遠くまでスッキリと見通せる眺望。 密度の高さが感じられる、凛と引き締まった空気。 寒いからこそ、その有難さが一層深く感じられる、パチパチとはぜる焚き火の暖かさと、日の出のうれしさ。
高級品でなくても工夫したウエアリングと、暖かいシュラフがあれば、冬のキャンプは快適である。 小さな小さな焚き火で外から温め、おいしいお酒で内から温める。 ああ、冬のキャンプツーリング!
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いつもの浜でシーカヤックを下し、荷物をパッキングして出発する。 もうすぐ転流だ、ちょうど潮に乗って行けるだろう。

12月末とは思えないくらい暖かい小春日和。 正にキャンプツーリング日和である。
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穏やかな冬の海を快適に漕ぎ、1時間ほどで到着。 ケータイを取り出し、妻に無事到着との一報をメール。

何度かに分けて荷物を運び上げ、暖かいウエアに着替える。 『さあ、始めるとするか!』
まずは、袋を手に浜を歩く。 そう、冬のキャンプツーリングの一日は、薪集めから。 『うん、これくらいあればいいな』
海の見える東屋に陣取り、簡単な昼食。 缶ビールをゴクリ。 『あー、ええ気持ちや』
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ここへのツーリングでは、『あるくみるきく』はない。 ただただ美しい瀬戸内の景色を眺め、飯を食い、酒を飲み、寝転がり、本を読み、音楽を聴くだけ。
昼食後は、ワインをチビリチビリと飲りつつ本を開く。 今日は、『コインロッカーベイビーズ』 この本も何度読み返したことだろうか? これまたお気に入りの一冊である。
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昼食が少なかったので、少し小腹が空いてきた。 小さな焚き火を熾し、生名島でいただいた芋をアルミフォイルに包んで放り込む。 しばらく待つと、焼き芋の完成だ。

焼きたてホクホクの焼き芋、『うん、美味い!』

この東屋は、私にとってはお気に入りのバー。 安い酒しか置いてないが、眺めは最高だ。 瀬戸内らしい景色を眺めつつ、独り静かに飲む酒は、もちろん最高である。
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夕方。 日が陰ると急に寒さが増してくる。 再び焚き火を熾し、夕食の準備に掛かる。

まずはウインナーを炙る。 表面に油が滲みてきて、皮が少し裂けると食べごろだ。
クレージーソルトをパラリと振り、パクリと齧りつく。 『うーん、こりゃあうまーい』 ビールをゴクリ。
今日のメインは、簡単一人鍋。 お湯を沸かし、うどんスープを入れる。 オピネルで白ネギと白菜を切り、エノキと鶏肉団子を投入。 完成! ポン酢に『柚子こしょう』を少しいれて食べると最高だ。
鍋をつつき、ビール、そして焼酎のお湯割りへ。 焼酎には、レモンをたっぷりと絞る。
凛と引き締まった冬の夜の空気の中、一人用にピッタリのサイズに調整した小さな小さな焚き火で暖まりつつ、この一年の旅を想い、独りでチビリチビリと酒を飲む。 もう、何も言うことは無い。
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翌朝。 シュラフの中で目を覚ます。 今朝は、あまり冷え込みは厳しくないようだ。
テントから出ると、外は霜が降りて凍っている。 やっぱり外は寒いんだなあ。
日の出とともに、気温が少しづつ上がってきた。 トランギアでお湯を沸かし、まずは温かいチャイを啜る。

朝食の準備。 お湯を沸かし、うどんスープを入れ、オピネルでネギを刻み込む。 残しておいた鶏団子を入れ、これまた残しておいた赤飯を入れて雑炊状態に。 おかずは、目玉焼きとハムソテー。
うーん、これは美味い! どんな旅にもうどん出汁を持って行くというシーカヤックガイドの方が居られたが、本当にうどんスープは万能だなあ。 凄い!
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この島には、櫂伝馬が描かれたタイルがあった。 さすが、大崎上島地区だ。
荷物を片付け、ウエアを着替え、出発!
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今年は天候に恵まれ、祝島での3日間の櫂伝馬漕ぎを含んで、このツーリングで56日目の海旅となった。 感無量。
『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を、これからも楽しんで行きたいな!