あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

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瀬戸内シーカヤック日記: 懐かしい記録_『瀬戸内横断その1・地元広島県呉市から東へ西へ』

2011年07月10日 | 旅するシーカヤック
PCのファイルを整理していたら、懐かしい紀行文が出てきた! せっかくなので、何回かに分けてブログに掲載してみよう。

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『瀬戸内横断その1・地元広島県呉市から東へ西へ』

瀬戸内海。いつも遊んでいるこの海を、自分の力で、端から端まで漕いでみたいと思っていた。 不惑のサラリーマンにとって日本一周は少し遠い夢だけど、瀬戸内横断なら約450km。週末を使った旅の積み重ねで実現できる等身大の距離。

今回は、小学生時代から住んでおり、自宅のある広島県呉(くれ)市を基点に2000年4月から東西に漕ぎ進み、途中、横浜転勤による中断を挟んで2004年5月に終えた、兵庫県家島(いえしま)町から山口県下関(しものせき)市までをつなぐ旅を、4回に分けて紹介しよう。

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【広島県呉市から東へー1_岡山県笠岡市まで】

2000年4月29日朝、妻に見送られ、自宅からタクシーで15分程の所にある海水浴場に向かう。
浜でフェザークラフト・K-1を組み立て、東に向かって一人静かに漕ぎ出した。 ソロで3日間行きっぱなしの旅は初めてで、しかも地元だがこれまで漕いだことの無い海域なので、期待と不安が交錯する。

しばらく進むと、本州と蒲刈(かまがり)島との間にある「女猫(めねこ)の瀬戸」に差し掛かる。
タイミング悪く逆潮で、安芸灘(あきなだ)大橋の下まで行くと、川の瀬のようにザワザワと白波が立っている。

漕いでも漕いでも景色が変わらない。 普段は瀬戸内でも比較的潮流の影響が少ない場所を漕ぐことが多かったので、いきなりの難所で良い経験になった。
なんとかそこを漕ぎぬけると、その後は所謂“瀬戸内らしい穏やかな海”が続く。
流れる「瀬戸」と穏やかな「灘」、このコントラストが本当の瀬戸内らしさか?

柑橘類で有名な大崎上島(おおさきかみじま)の辺りを漕いでいると、ミカンがプカプカと流れていた。
今日は、竹原市沖にある生野(いくの)島の、景色の良い静かな海水浴場でキャンプ。

ここから先は「しまなみ海道」と呼ばれ、潮流が早く複雑な事で有名な海域。 初日の反省も踏まえ、潮汐表を確認して翌朝は5時過ぎに出艇した。
「毒ガスの島」として有名な大久野島(おおくのしま)から三原市須波(すなみ)沖を経て、船の行き来が多い因島(いんのしま)と向島(むかいしま)との間の海峡、「布刈(めかり)瀬戸」を慎重に横断。
その後、百島(ももしま)の北側を抜けた頃から空が次第に暗くなり、パラパラと雨が落ち始めた。

まだ15時過ぎだが、下り坂の天気と初めての場所で少し心細くなったこともあり、少し先の内海(うつみ)町にある海水浴場に上陸。東屋の下にテントを張り、カレーとラーメン、ぬるい缶ビールの簡単な夕食を済ませて、早々に寝る。

朝起きると一面の濃霧で視界は数十メートル。
狭い水路を岸ベタで慎重に進む。 阿伏兎(あぶと)の瀬戸を越えたら、笠岡(かさおか)諸島に向けて最短ルートを取る予定だったが、霧のため急遽予定を変更。古くからの潮待ち風待ち港として有名な福山市の鞆(とも)に向けて岸沿いを漕ぎ進む。

鞆では雰囲気の良い小さな漁港に快く係留させてもらって上陸し、しばしの休憩。 港ではおばさん達に話しかけられ、呉から漕いできたことを話すと驚いていた。
再び漕ぎ出し北上。本州沿いに、今回の目標である岡山県笠岡(かさおか)市に向かう。
やっと県境を越えた。 が、そのころからなんだか体に力が入らず、気力も失せてきた。

慣れないバックパッキング旅で荷物を最小限にしたため、ろくな食事をしていないのが原因の「シャリバテ」か?
残った行動食を食べ、頻繁に休憩しながらノロノロと進む。 笠岡諸島の高島(たかしま)を越え、バウを北に向けて奥深い笠岡港に入るが、逆潮との闘いにも疲れ果ててもう限界。途中にある神社のスロープで舟を引き上げた。

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【広島県呉市から西へー1_広島県安芸郡倉橋町まで】

夏も過ぎ、そろそろ瀬戸内横断の旅を再開するため、地元呉市から今度は西へ向かうこととした。2000年11月18日、再び地元の海水浴場から出発する。
今回は、次に予定している山口県屋代島(屋代島)への島渡りの前段階としての、勝手知ったる地元での気楽な日帰り旅だ。
良く出かける情島(なさけじま)を越え、亀カ首(かめがくび)に到着。ここは戦艦大和の主砲発射実験場として知られており、今でもコンクリート製の廃墟やスロープなどが残る独特の雰囲気。

ここでしばし休憩して、再び漕ぎ出す。
一時間ほど漕ぎ、近道となる海越(かいごし)の幅10m長さ20m程の狭く短い水路に到達。両岸の釣り人に物珍しそうな目でみられながら無事通過し、昼になったので浜に着けて買出しに行く。
地元の商店でビールとパンを購入。 PFDを着けたままのあやしい姿なので、店のおばさんには釣りに来たのかと聞かれる。
浜に戻って簡単な昼食。 ここから目的地の桂浜(かつらはま)までは数キロ。

シーズンオフの海水浴場に舟を上げ、K-1を背負ってバスを乗り継ぎ帰宅した。

次回は、東は念願の瀬戸大橋越えと、西行きは山口県の屋代島経由で大畠(おおばたけ)まで、東西それぞれにパドルを延ばした旅の経過を報告します。

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