あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 『瀬戸内横断その3・東側ゴール、家島まで』

2011年07月12日 | 旅するシーカヤック
2年近い横浜への単身赴任で、途中で中断した瀬戸内横断へのモチベーションはすっかり下がってしまい、広島帰任後も重いK-1は見てみぬ振りをして、リジッド艇でののんびりツーリングばかり。

そんなある日、ひょんな事から本誌でも紹介された第1次瀬戸内横断隊に途中から参加することに。 寒波と時化の厳しい瀬戸内海を漕ぎ進み、ようやく笠岡の白石島にゴールした時なんとも言えない充実感を感じ、中断していた瀬戸内横断を再開することを決意したのだった。 やっぱ旅が良いね!

<岡山県玉野市から兵庫県姫路市家島まで>

■2004.04.16(金)
出崎半島付け根の小さな浜でK-1を組み立て、今回は何が待っているかとワクワクしながら漕ぎ出す。

一面にツツジが咲く穏やかな海を半島沿いに南下して、井島との間との狭い海峡を抜ける。 すると、昨年の横断隊で辿り着けなかった小豆島が目に入ってきた。 今回は、その小豆島を越えて家(いえ)島まで行くのだと思うと感慨深い!

岡山と小豆島を結ぶフェリーや、児島湾に出入りする船が頻繁に出入りする幅2kmほどの狭い海峡を横断し、優雅にヨットが行き交う牛窓(うしまど)港の入り口に差し掛かる。 狭い牛窓瀬戸を挟んで黒島、前島、黄島などが点在する牛窓は、確かに瀬戸内らしい美しい景色。 などとのんびり構えていると、前方の牛窓瀬戸に中型の貨物船が見えた。

船がそのまま牛窓港に入るのか、左に転進して玉野の方に向かうのかを見極めるため、いったん待つこととした。 ある程度待ったが転進する様子が無いため、前島側に逃げようと判断して漕ぎ始めると、急に船首をこちらに向け速度を上げて近付いてくる。
全力で漕ぐが船は加速し、更にこちら向きに船首を振ってくる。いまさら止まるわけにもいかず、数分間の必死のパドリングでなんとか安全な距離で交わすことができたが、後味が悪かった。

狭い牛窓瀬戸を抜け、左に回りこむとこじんまりとした牛窓海水浴場がある。 当初はここを初日のキャンプ地に予定していたが、まだ14時過ぎ。
明日は家島までの長い島渡りをすることを考えると少しでも余裕が欲しい。 地図をチェックすると、15km先の日生町に「大多府(おおたぶ)島」という周囲5km程の島がある。
ケータイで日没をチェックすると18時30分位だったので余裕で到着できそう。 太陽を背に、微かに見える目標に向けて淡々と漕ぐ。
結局17時過ぎに大多府島に到着。今日は結局40km弱の航海だった。 昼食の残りの巻き寿司とラーメンという簡単な夕食をビール、ウイスキーとともに楽しんだ後、早々と寝る。

■2004.04.17(土)
今日は家島までの播磨灘横断。
長距離の島渡りであり、播磨灘を漕ぐのも初めてで海況が分からないため、船が少ない早朝を狙って4時半に起床。 簡単な朝食を済ませ、朝焼けの中を6時前に出艇した。

兵庫県の相生市まで岸伝いに行って最短距離を渡る手もあるけれど、今日は快晴で注意報も出ていないことから、予定通り、大多府島から直接家島まで、20kmを超える島渡りとする。 播磨灘の水温は低く、休憩の時に手を浸けておくと痺れてくるほどだが、なぜかクラゲが異常に多い。

1時間、2時間と漕ぎ進むに連れて大多府島は小さくなり、家島諸島の院下(いんげ)島、西島は、徐々にではあるが大きくなってくる。 また海面に浮かぶゴミが増え、工業地帯が近づいてきていることを感じる。
3時間位漕いだ所で院下島がほぼ真南に見えるようになってきた。 家島諸島は採石で有名だが、実際、西島に近付くと山は採石された剥き出しの荒々しい跡を見せている。もうここまで来れば、万が一天候が変化しても避難できると一安心。

夜明けの出発から4時間以上漕ぎ続けて、ようやく目的地である家島の尾崎鼻まで到達。さすがに疲れた。 尾崎鼻を回り込むと景色が一変。大きな船がたくさん停泊しており、ひっきりなしに船が行き交う港が見えて驚いた。ここは本当に島なのか?

家島神社前で釣りをしていた人にキャンプができる近くの浜を教えてもらい、11時過ぎに無事、瀬戸内横断の東側コースのゴール、家島に上陸した!
浜に船を引き揚げ、昼食とビールを求めて街へ買出しに行く。 浜に帰ってきたら、神戸から遊びに来ていた家族連れや、花見がてら遊びに来ていた地元の小学校5年生女子5人組とも仲良くなる。



島の子供たちには、「広島の名物は何や?」の質問に始まり、「オッチャンはハナワに似とるナ」、「クラゲを入れる穴掘り手伝えー!」などと言われながらクラゲ取りや、ワカメ採りを一緒に楽しむ。 また、あまりの暑さに海に飛び込むと、5年生の女の子達は、「水着を持って来れば良かったー」と悔しがった。



夕方にはビールを買出しに行くという自分を、例の5年生5人組みは5台の自転車で先導してくれた。
買い物を終えて別れ際、「オッチャン、夏にはまた絶対遊びにおいで!魚がおいしいで。」、「明日帰りの船の時間を決めろ、送りに行ったる!」などと嬉しい事を言ってくれる。
浜に帰り、子供達と一緒に取ったワカメの豆乳しゃぶしゃぶと冷えたビールで、家島到着のうれしさを味わう。 この家島を東側ゴールに選んだのは大正解だった。


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