病室
2013-05-04 | 詩
世界の様相に触れた瞬間
汚れた電話ボックスの窓に雨粒がへばり付いた
僕は深夜三時の電話を待っている
記憶が寸断された世界で
君との約束をいつだって待っている
封印された魔法の番号の組み合わせ
僕等の唄を皆が笑った
呆れるほどに
僕等は真剣に冗談を云い合った
小鳥のさえずり
昼間のビールの緑の瓶
皆既日食の日
太陽が翳る
刹那の微温
36・9分の微熱
電子体温計の不穏
螺旋の嘘
未払いの水道料金
金子光春のインキ壷の中からの抵抗
薬が切れたんだ
君は診察室で先生に訴える
脈拍の上昇
看護士が手馴れた手つきでバイタルチェクする
呼吸音がまるで届かない真夏の午後
僕は6本目のビールに手を伸ばす
忘れないでいて
空間は左様な形で変質し
其の時間帯は病室の白い壁と
白いカーテン
清潔な白いシーツの惰眠
エアの空気管
しゅー、しゅー
すー、はー すー、はー
孤独な呼吸音は
すべからく世界の端っこ
其処から先は駄目だよ
この世界から零れ落ちてしまう
テレヴィジョンから韓国映画の台詞が流れる
僕は観察していた
まるで朝顔の成長日記の如く
ボーリングのピンが割れた
係員を呼ぶ怒声は
あの時の君の叫び
忘却する記憶の残り香
夏だ
暑い日に
僕等はレモネードを飲んだ
からん、と哀しく氷が鳴る
忘れないでいて
ハンバーガーを齧った
ビールで飲み干して
夏休みという世界に鎮座した陽光
海に近い場所で君の存在の提示を待つ
いらいらと警官が切符を切った
午後
紙煙草に火を点ける
螺旋階段を昇ると
あの小惑星に辿りつけるのだろうか?
青い月は余りにも遠い
ジャックダニエルの瓶
転がり始めるヴァイオリンの余韻
不必要に多い倍音の響き
夏だ
世界の端っこで誰かがピアノを弾いた
忘れられない曲
置き忘れられた主旋律
魚の影は見つけたのかい?
サカナ?
そう。君が永遠に探し続ける青い記憶
先生が微笑んだ
サナトリウムの夏
僕の泣き声が聴こえるだろうか?
君に会えない
キミにアエナイ
アエナイ
病室の午後
清潔な嘘
冬から夏への手紙
汚れた電話ボックスの窓に雨粒がへばり付いた
僕は深夜三時の電話を待っている
記憶が寸断された世界で
君との約束をいつだって待っている
封印された魔法の番号の組み合わせ
僕等の唄を皆が笑った
呆れるほどに
僕等は真剣に冗談を云い合った
小鳥のさえずり
昼間のビールの緑の瓶
皆既日食の日
太陽が翳る
刹那の微温
36・9分の微熱
電子体温計の不穏
螺旋の嘘
未払いの水道料金
金子光春のインキ壷の中からの抵抗
薬が切れたんだ
君は診察室で先生に訴える
脈拍の上昇
看護士が手馴れた手つきでバイタルチェクする
呼吸音がまるで届かない真夏の午後
僕は6本目のビールに手を伸ばす
忘れないでいて
空間は左様な形で変質し
其の時間帯は病室の白い壁と
白いカーテン
清潔な白いシーツの惰眠
エアの空気管
しゅー、しゅー
すー、はー すー、はー
孤独な呼吸音は
すべからく世界の端っこ
其処から先は駄目だよ
この世界から零れ落ちてしまう
テレヴィジョンから韓国映画の台詞が流れる
僕は観察していた
まるで朝顔の成長日記の如く
ボーリングのピンが割れた
係員を呼ぶ怒声は
あの時の君の叫び
忘却する記憶の残り香
夏だ
暑い日に
僕等はレモネードを飲んだ
からん、と哀しく氷が鳴る
忘れないでいて
ハンバーガーを齧った
ビールで飲み干して
夏休みという世界に鎮座した陽光
海に近い場所で君の存在の提示を待つ
いらいらと警官が切符を切った
午後
紙煙草に火を点ける
螺旋階段を昇ると
あの小惑星に辿りつけるのだろうか?
青い月は余りにも遠い
ジャックダニエルの瓶
転がり始めるヴァイオリンの余韻
不必要に多い倍音の響き
夏だ
世界の端っこで誰かがピアノを弾いた
忘れられない曲
置き忘れられた主旋律
魚の影は見つけたのかい?
サカナ?
そう。君が永遠に探し続ける青い記憶
先生が微笑んだ
サナトリウムの夏
僕の泣き声が聴こえるだろうか?
君に会えない
キミにアエナイ
アエナイ
病室の午後
清潔な嘘
冬から夏への手紙