Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

DECCAコーナースピーカーを聴く

2011-06-06 13:50:26 | クラシック
英国の1960年頃作られた摩訶不思議なアンティークスピーカー
を、友人の都合で日向薬師の居間カフェで鳴らすことになった。
マホガニー材で作ったチョコレート色が古色蒼然とした趣きだ。
ペアのそれぞれは丈が1メートル強、横幅は40数センチ、厚さは
最大で29センチ、部屋の角に置いて効果が発揮される箱である。
こんな薄汚れた箱を居間にセットしたら、気の強い好戦的な妻でも
いようものならすぐ排撃?されると予想して思わず失笑する。
このスピーカーの面白さは、表裏が逆なこと、16センチ程度の小
ユニットが見えて、端子や樹脂製のロゴマークが貼った側が裏になる。
表はただののっぺらぼうで、木製の衝立にしか見えないのがミソだ。
間に合わせの管球式フィッシャーアンプにビクター製CDプレーヤー
を繋いで音だしを試してみる。

このスピーカーも伝説で聴くボイドという人物が開発した曰くの逸品
らしい。表裏を逆さにしたアイデア勝負のスピーカーではなく、小さな
口径のユニットは箱内部に張り巡らされたロードを辿ってきて、壁面
への放射時に美味しい音のポイントを結実させるような仕掛けになって
いる。先日、東逗子にある知人のオーディオスペースで同じ英国製に
なるロジャースのBBC放送局の調整室で使っていたというアルテック
604Eっぽい銀箱タイプの素晴らしさに衝撃を受けたばかりである。
あちらは英国の業務用アンプでCDプレーヤーもオランダフィリップス
のLHH2000と全てに我が家との格差は歴然である。

カエル達の闇夜の合唱をバックにいつもの「無伴奏チェロ組曲」No6
のだいすきな「アルマンド」「クーラント」あたりを何回もハシゴする。
ハンガリーのチェロ奏者チャバ・オンツアイ、鈴木秀美、イッサリアス
、ロストロボビッチと愛聴奏者には事欠くこともないソースだ。

東逗子の精緻且つ凛々しい音力には負けるが、こちらのデッカコーナー型は鳥肌が立つような音楽神の近在感を醸すことで負けていないと思った。