Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

45r.p.mの美

2011-06-19 10:19:19 | その他
一昔前のアナログプレーヤーにはかけるレコードによって
SP/LP/EPなどと回転速度の切り替え機能がついていた。
昔、吉祥寺のメグでオーディオのイベントがあった時に、
現代オーディオと古代オーディオ?(メグ店主寺島氏の造語)
の立場を代表するそれぞれの猛者が、LPの12インチ、10
インチ、EPの7インチではいずれが音質面で勝るのか?という
話題が出た時に口論が発生した。前者は情報容量の進化の必然
でLPとEPに音質上の差がないと言い切った。一方の古代派の方
は容量の便宜性と操作性を追及して78→45→33と数字が
低くなるほど音質は犠牲になったと主張した。LPからCDへと
メディアが変わる80年代にもデジタルとアナログの優位性を
巡る論争も起ってこれは今でも尾を引いている。
しかしアナログレコードの回転スピードで音質差を断定できる
ほど当時の自分はキャリアを積んでいなくどっちの言い分にも
それなりの頷けるものがあった。

その後嗜好の全域でモダニティへの疑問が芽生えてきて、オー
ディオ上の進歩主義やスペックの囚われ人から抜け出す過程で
、新しくはLINNのLP-12、古くはガラードの301、トレーンス
の124といった一時代を築いたアナログプレーヤーに親しむ
経験を積んだお蔭か?ようやくそのときの論争が体得できた気
がしている。やはり78のSPレコード、45のEPレコードは
音の湧出力、鮮度で凡庸なLP盤を凌ぐということを悟った。
倉庫の整理をしている途中の書架から埋没していた当該する45
回転のEPレコードも何枚か現れた。
マイルス・ディビスのフォンタナ盤「死刑台のエレベーター」の
45回転オリジナルEPもある。これなどはジャケ写が虚無を醸す
ジャンヌ・モローの肖像に価値があるのに、どういうわけか紛失
してしまっている。ハンガリアン四重奏団のモーツアルト「弦楽
四重奏曲K421などは懐かしい赤盤(レッドワックス)で箱も油彩
の妙なる筆致が美しい。
EMTプレーヤーの回転調整が済んだら、EPレコードを慈しむような
日が来ることを夢想してジャケットを眺める日曜日だ。