獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

旧統一教会への解散命令で宗教の「地下化」が始まる!

2023-10-11 01:00:08 | 統一教会

この度七ツ星さんの記事が載っていたので、週刊ダイヤモンドを読んだのですが、こんな記事を見つけました。

たいへん重要な指摘だと思いましたので、紹介したいと思いました。


引用します。


週刊ダイヤモンド 2023年10月7日・14日号

特集:巨大宗教「連鎖没落」
 創価学会
 神社
 旧統一教会


コラム:
旧統一教会への解散命令で宗教の「地下化」が始まる!

「毎日新聞」が9月に実施した世論調査で、旧統一教会への解散命令請求に賛成する人は66%に上った。大多数が万歳三唱で歓迎する「正義の裁き」というわけだが、思わぬ落とし穴もある。

回の解散命令請求により、信教の自由を尊重する民主国家が、これまでやってこなかった「パンドラの箱」を開けてしまう恐れがある。最悪の場合、宗教弾圧の再来だ。なぜか。順を追って説明していこう。
まず裁判所の審査を経て解散命令が認められた場合、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は宗教法人の資格を剥奪される。
宗教法人でなくなるということは、都道府県知事と文化庁から管理されなくなることを意味する。これまで義務付けられていた役員名簿や財産目録、収支計算書の提出も必要ないし、文化庁が調査権を行使することもない。
一方、解散命令となったところで、信者が改宗するわけでもないので、献金も布教もこれまで通りに行われる。つまり、解散命令により旧統一教会の活動は「ブラックボックス化」される。
そこに加えて、被害者救済の点でも疑問点がある。政府が解散命令を請求しても裁判所がそれを認めるまで数年はかかるとみられ、その間、旧統一教会は財産を韓国本部に移動する。そうなれば被害を訴える人々が十分な賠償を得られない可能性もある。
解散命令請求は、他にも深刻な問題と混乱を引き起こす恐れがある。それが冒頭に述べた、宗教弾圧の再来だ。
宗教法人に対して解散命令が出されるためには、「組織性・悪質性・継続性」の要件が認められなければならない。その根拠としてこれまでは「教祖や幹部が刑事罰で逮捕されている」ということがあった。
実際、これまで解散命令を受けた オウム真理教も明覚寺も幹部が逮捕されている。しかし、旧統一教会の場合、トップである田中富広会長は逮捕されていないし、幹部職員の誰も逮捕されていない。では、何が組織性・悪質性・継続性の根拠となるのかというと、民事訴訟と被害者の証言とみられる。
これまで旧統一教会は、全国霊感商法対策弁護士連絡会を相手に霊感商法などを巡って民事裁判をしており、そこでは教団側の「使用者責任」が認められている。
昨年10月、岸田文雄首相は国会で解散命令請求の要件に「民法の不法行為も入り得る」と発言した。そして今回、文化庁は「被害者の聞き取り調査」をしている。この二つをくっつければ「組織性・悪質性」の根拠となるとする見込みだ。
要するに、これは「旧統一教会を解散に追い込め」という世論を受けて、岸田政権がオウムや明覚寺のケースから「解釈変更」をしたわけだ。
統一教会を憎む人からすればこれは拍手喝采の「英断」だが、日本の宗教法人からすれば「死刑宣告」を受けたも等しい。
高額献金や霊感商法は旧統一教会に限った話ではない。どの宗教団体もたたけば埃が出る。つまり、どこかの宗教法人に狙いを定めて「被害者」を募り、全国各地で訴訟を提起すれば、旧統一教会のように解散命請求に追い込むことができる、と国家が高らかに宣言したようなものなのだ。
こんな宗教弾圧がまかり通る未来が迫れば当然、宗教法人は防衛に走る。幹部に使用者責任が及ばないよう、ネットワークビジネスのような複雑な構造の組織へ変えたり、財産を海外に移したりする団体も現れるだろう。
そして、確実に増えるのが、宗教法人格は自主的に返納して「地下」に潜る宗教だ。霊感商法などの違法行為を自覚しているような団体の場合、教祖や教団の拠点を海外に移し、インターネットやSNSを通じて布教・献金をさせた方が「得」という判断になる。
つまり、フィリピンから国内に強盗を指示していた「ルフィ」のような特殊詐欺グループのスキームを用いるのだ。このような「地下宗教」のトラブルは当然、文化庁も都道府県も把握できない。誰が加害者で誰が被害者かも分からない。
メディアや専門家が社会正義のために必要だと訴える解散命令請求が、そんな混乱を引き起こすわけがないと思うかもしれないが、歴史に学べば日本では「地獄への道は善意で舗装されている」というケースが多い。テレビCMで流れる「過払い金返還請求」もそうだ。
なぜ消費者金融やクレジットカード会社から「払い過ぎた利息」が返ってくるのかというと、2006年に最高裁判所の判決でグレーゾーン金利が否定され、その後の貸金業法改正でも廃止されたからだ。
かつて消費者金融やカード会社は、利息制限法の上限金利(15~20%)と出資法の上限金利(29・2%)の間の高金利で貸し付けを行っていた。しかし、これによって返済がで きず、幾つもの業者から借り入れをする多重債務者が増えるということが社会問題化した。 消費者金融大手の武富士などの違法な取立ても社会から批判されていた。
そこで、このような「被害者」を救済する弁護士たちが現れる。「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」だ。彼らは、国にグレーゾーン金利の廃止を訴えるとともに、消費者金融が多額の貸し付けができない「総量規制」の法制化を求めて、判例と法改正によってそれが実現したというわけだ。
問題のある業界に正義の規制の網がかかり、多重債務者という「弱者」が救済されて一件落着となるはずだが、程なくしてある問題が起きる。違法な「闇金」や「振り込め詐欺グループ」が急増。そこに大学生やフリーターなど一般人が多数出入りし、カネを借りるだけではなく、詐欺や強盗の実行犯になってしまう。つまり、多重債務者のように社会が把握できるような形ではなく、「闇にのみ込まれる弱者」が爆発的に増えたのだ。

総量規制の導入で
「闇」に落ちた若者
地獄を生んだ善意

なぜこんなことが起きたのかというと、規制を厳しくしたことで低信用者向け「無担保小口金融」が消えたからだ。
プロミスやアコムなどの消費者金融の大手は銀行傘下に入り、審査も厳しく総量規制で年収の3分の1しか借りられなくなってしまった。こうなると収入や信用のない人は借りられない。
規制前、こういう人たちは運転免許証などの本人確認だけで金を貸す「街金」と呼ばれる無担保小口金融の業者を頼った。しかし、これらの業者は法改正と過払い金返還請求で絶滅に追い込まれてしまった。そうなると、プロミスやアコムの審査に落ちた人は「闇」に流れるしかない。
問題が指摘される団体を厳しく処罰して、新たな被害者を生まないように業界を厳しく取り締まるということは表面的には社会をより良くさせている。
しかし、問題が指摘される団体や業界にしかすがれない弱者もいるのだ。そこで過度に規制をして団体や業界が消滅すれば、この弱者はすがる場所を失うので、闇に落ちていくしかない。これが今、大学生やフリーターなど低所得・低信用の若者たちが「闇バイト」に自ら進んで応募をしている根本的な理由でもある。このような「地獄」のような状況を生み出した一つの要因に、「多重債務者という弱者を救う」「貧困問題を解決する」と貸金業者を厳しく規制せよと主張していた人々の「善意」があることは間違いない。
確かにそれで救われた人も大勢いた。また過払い金返還請求で大もうけした人もいた。しかし、それ以上に闇にのみ込まれた弱者もいるのだ。こういう悲劇の構造を取材した立場からすれば、旧統一教会への解散命令請求も同じような地獄を生み出すとしか思えない。政府も裁判所も目先の国民感情に流されるのではなく、広い視野を持って慎重に判断してもらいたい。


      ノンフィクションライター・窪田順生


解説
多くの人が、カルト宗教の解散を願っているとは思うのですが、そういう「善意」によってカルト宗教を解散に追い込んだとしても、問題は解決しないのですね。
規制を厳しくしたことで低信用者向け「無担保小口金融」が消えたことで、大学生やフリーターなど低所得・低信用の若者たちが借金をしずらくなり、「闇バイト」に自ら進んで応募するという事態にいたっているのだといいます。

それと同じような、カルト宗教の地下潜入が起こるのではないかと、窪田氏は危惧しています。

問題の解決は、簡単ではありませんね。

獅子風蓮


興味深い記事:統一教会と「赤報隊事件」の意外な関係 その2

2023-05-02 01:31:42 | 統一教会

だいぶ前ですが、d-マガジンで興味深い記事を読みました。


週刊SPA!2023年3月14日号

ジャーナリスト・有田芳生が語る 
統一教会と「赤報隊事件」の意外な関係
__安倍元総理銃撃で昭和の未解決事件が再び動き出す!

(つづきです)

 

非公然の軍事部隊を
統一教会は持っていた?

事件への関与が取り沙汰されると、統一教会は関与を全面否定し、「ひどい濡れ衣だ」と談話を発表した。ところが、この脅迫状を起点に教団への公安警察の捜査が始まる。
「警察は『統一協会重点対象一覧表』を作成し、52人の信者をリストアップしていた。僕が入手したこのリストには、驚くことに『勝共非合法軍事部隊』『統一教会軍事部隊』として信者の名が記され、元自衛隊員の信者に実射訓練を受けていた。また、広域指定116号事件(赤報隊事件)特別取材班のキャップを務めた元朝日新聞記者の樋田毅氏によれば、捜査当局の『重点対象一覧表』の上から2番目にリストアップされている信者は、元自衛隊員だった」
樋田氏の著書『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』(岩波書店)によれば、陸上自衛隊市ヶ谷第32連隊を除隊後、右翼団体・大日本誠流社を経て、統一教会の非公然軍事部隊のメンバーとなっていたこの人物に、兵庫県警も重大な関心を寄せていた。'87年、右翼団体に所属し、東京・新橋で街宣活動をしていたこの人物に樋田氏が取材を試みると、ひと言も発さずに雑踏のなかに走り去ったという。警察も行方を追うが足取りは掴めず、その後、僧籍を得たこの人物は、'90年に奈良県の小さな寺で一酸化炭素中毒で死んでいた。

教祖・文鮮明は説教で
朝日新聞に攻撃命令?

「兵庫県警幹部は、この元自衛隊員の信者が『赤報隊事件に関わっていた可能性はある』と話したが、本格的な事情聴取はできておらず、事件と繋がる証拠は得られなかった。赤報隊事件は、右翼や新右翼か、あるいは統一教会による犯行なのかはわからない……。ただ、警察の捜査の手が教団に伸びていたのは事実です」
だが、赤報隊事件の前後、統一教会の文鮮明教祖は説教のなかで驚くべき発言をしていたという。
「事件の半月前の'87年4月18日、文氏は韓国の漢南洞公館で、朝日新聞の教団追及記事に怒り、『ぐずぐずしていたらやられてしまうのです』と話したという。さらに、赤報隊事件後の5月30日、秘密裡に教団幹部を呼びよせ、韓国のリトルエンジェルス芸術会館で『私が命令するだけで彼ら(編註・日本の信者)はどんなことでもやる』『朝日新聞と読売新聞を攻撃するように言いました』と命令を出したことを認めている。文氏自らが言ったように、狂信的な信者のなかには、教祖が命令すれば凶行に走る者がいたとしてもおかしくはない」
今回、国会で取り上げられた赤報隊事件への関与などについて、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)に質問書を送ると「当法人の関与はございません」との返答だった。一方、有田氏は記事の冒頭で触れた国会質問をこう受け止める。
「宮本議員は、統一教会が事件に関与していた可能性を国会で質問することで、教団の本質を国民に知らしめようとしていたのでしょう。昨年、安倍元首相が銃撃されて以降、教団について盛んに報じられるようになり、現在も2世信者の問題や教団に対する解散命令の見通しが報道されています。だが、これらは教団の断面の一つにすぎず、本質はまったく報道されていない。実は、昨年8月に日本テレビの情報番組『スッキリ』で、『霊感商法をやってきた反社会的集団だと警察庁も認めている』と発言したら、教団から名誉毀損で訴えられました。するとテレビのオファーは一切なくなり、大手メディアで発言する機会を奪われてしまった……。教団の本質を発信する場を探していたところ、漫画家の小林よしのりさんと、統一教会をテーマにした共著を出さないかと声がかかったのです。本では統一教会の核心を惜しみなく話しています」
赤報隊事件と統一教会を結ぶ点と線は繋がるのか。

 

【コラム】
樋田毅氏

元朝日新聞記者が見た
教団内「特殊部隊」の実像

朝日新聞阪神支局襲撃事件では、重傷を負った記者の証言から銃の扱いに慣れた犯人像が浮かび上がる。
統一教会は教団系の銃器メーカーも抱えているが、教団内部に「特殊部隊」が存在すると見るジャーナリストがいる。元朝日新聞大阪社会部記者で、襲撃事件では特別取材班のキャップを務め、『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』(岩波書店)』の著書もある樋田毅氏は、56歳で朝日を去った今も取材を続ける一人だ。
「私が会ったかつて特殊部隊に属していた元信者は、部隊に入る際に教会員の登録を抹消し、偽名で行動していたといいます。共産主義勢力と戦うために情報収集を行い、敵対する個人・団体にスパイ活動を仕掛ける。なかには、焼き芋屋に扮してリヤカーを引きながら偵察・監視任務を行っていた者もいました」
当然、隊員たちは射撃訓練も受けていたという……。
「警察は事件が起きた当初、『これは右翼の犯行だからすぐに解決します』と自信を見せていました。だが、結局犯人には辿りつけなかった。仮に統一教会が関与していたとしても、末端の“跳ねっ返り”が暴発的に事件を起こしたら、教団も把握できないし、警察の手も届かないと思います」
樋田氏が韓国にある教会本部の元幹部に取材した際、「特殊部隊はあるが、ごく少数の幹部しか実態を把握してない」と話したという。指揮系統から外れたローンウルフは今もどこかにいるのだろうか。

 


解説
赤報隊事件の前後、統一教会の文鮮明教祖は説教のなかで驚くべき発言をしていたという。
「事件の半月前の'87年4月18日、文氏は韓国の漢南洞公館で、朝日新聞の教団追及記事に怒り、『ぐずぐずしていたらやられてしまうのです』と話したという。さらに、赤報隊事件後の5月30日、秘密裡に教団幹部を呼びよせ……『私が命令するだけで彼ら(編註・日本の信者)はどんなことでもやる』『朝日新聞と読売新聞を攻撃するように言いました』と命令を出したことを認めている。文氏自らが言ったように、狂信的な信者のなかには、教祖が命令すれば凶行に走る者がいたとしてもおかしくはない」

赤報隊事件に関して、文鮮明教祖の指示で信徒が犯した犯行である可能性は極めて高いといえます。

さて、東村山市議転落事件が、朝木氏の遺族の言うように仮に「他殺事件」だとすると、殺害もしくは脅迫の指示を出したのは教団のトップだとたどりつけるでしょうか。


獅子風蓮


興味深い記事:統一教会と「赤報隊事件」の意外な関係 その1

2023-05-01 01:01:11 | 統一教会

だいぶ前ですが、d-マガジンで興味深い記事を読みました。

引用します。


週刊SPA!2023年3月14日号

ジャーナリスト・有田芳生が語る 
統一教会と「赤報隊事件」の意外な関係
__安倍元総理銃撃で昭和の未解決事件が再び動き出す!

旧統一教会に対しては今夏にも解散命令が出される公算が高い。安倍晋三元首相の銃撃事件の裁判も迫るなか、ここにきて教団と「昭和の未解決事件」の関係が国会で取り上げられた。果たして、教会と35年前に日本を震撼させた事件を結ぶ接点とは?
ジャーナリストの有田芳生氏が語る


「朝日新聞阪神支局襲撃の捜査に当たって、統一教会、国際勝共連合について捜査や調査を行ったことはお認めになりますか?」
2月2日、衆院予算委員会では、35年前に起きた「昭和の未解決事件」を巡って、こんな異例の質問が飛んだ。質問の主は共産党の宮本岳志衆院議員。'87年、日本列島を震撼させた朝日新聞阪神支局襲撃事件をはじめとする一連の赤報隊事件について、統一教会の関与がなかったか、警察行政のトップを務める谷公一国家公安委員長に詰め寄ったのだ。
「すでに公訴時効が成立している一連の事件のことであり、お答えを差し控えさせていただく」
谷国家公安委員長は早口でこう受け流したが、宮本議員は「国民に向けて真摯な態度で答えていない」と憤る。
「そもそも岸田文雄首相は昨年の臨時国会以来、『今後、地方議会も含めて旧統一協会とは一切関係を持たない』とする自民党本部の方針を徹底させると言ってきた。ならば今春に控える統一地方選を前に、国民の最大の関心事である統一教会の問題をすべて包み隠さず説明すべきだ。実際、朝日の襲撃事件の2年前、教団に対して苛烈な批判キャンペーンをやっていた『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)の編集長だった故・筑紫哲也さんには、教団関係者からと思われる脅迫状も送りつけられていたわけですから」

朝日新聞と統一教会は
激しく対立していた

『朝日ジャーナル』'85年5月17日号によれば、筑紫氏に送りつけられた「脅迫状」には 〈これ以上おれたちの悪口をいうときさまの子供と女房をブチ殺すぞ。おれは韓国製M16 (編註・米軍の主力自動小銃)を持っているし、韓国で軍事訓練をうけてきた〉〈文鮮明様 のためだったら命の一つや二つ捨てたっておしくない奴がおれたちの仲間には百人以上いるんだ〉などと書かれていたという。
実のところ、赤報隊事件と統一教会の関係については、事件が発生した当初からいくつもの疑惑が取り沙汰されていたのも事実だ。
'87年5月3日の憲法記念日に記者2人が散弾銃で殺傷された事件を含めて、朝日新聞に攻撃があったのは計4回。その後、標的は政治家や経済人などに拡大し、3年4か月の間に計8件の事件が起きている。当時、統一教会と、教団の政治活動を担う国際勝共連合は、教団を批判する報道を続ける朝日新聞と激しく対立しており、教団が朝日を攻撃する「動機」となったと見る声は、当時も今も根強い。'86年から『朝日ジャーナル』が展開した教団の霊感商法追及キャンペーンに参加したジャーナリストの有田芳生氏もその一人だ。
「一連の赤報隊事件では、8通の犯行声明に『反日』という言葉が19回も使われ、捜査当局の関心は当初、右翼や新右翼に向けられました。一方、『朝日ジャーナル』の霊感商法追及キャンペーンの反響は大きく、新聞やテレビも追随し、国会でも問題視されるようになります。統一教会はそれまでの霊感商法から高額献金へのシフトを余儀なくされ、教団の経済の生命線は揺らいでいた。統一教会や勝共連合が急速に浸透していた右翼や新右翼からは、集金活動を妨害されたことが犯行動機だという声が多く聞かれ、統一教会は重要な捜査対象になっていたが、教団幹部への事情聴取は一度も行われることなく'03年に時効を迎えています」

政治団体、準軍事組織、
複数の顔を持つ宗教団体

ジャーナリストの鈴木エイト氏らの共著『自民党という絶望』(宝島社)によれば、実際、当時の兵庫県警捜査一課は捜査に着手し、いくつもの「勝共連合関係資料」を作成している。「政界工作」と題した部分には、捜査で得た統一教会と自民党の関係が、次のように記されていた。
〈自民党本部の職員に10人前後の勝共連合のメンバーがいる〉〈前回の総選挙(編註・'86年の衆院選)において、国際勝共連合は自民党候補の3分1を応援した〉
昨年の安倍晋三元首相銃撃事件を機に、祖父の岸信介元首相から自民党と統一教会の蜜月が始まったことはよく知られるが、教団は党本部にまで浸透していたのだ。政権与党に影響力を行使する統一教会とは、いったいどんな組織なのか。有田氏が続ける。
「'78年、米下院国際関係委員会国際機構小委員会(フレイザー委員会)の最終報告は、 『宗教の顔をしているが、政治団体の顔も持ち、多国籍企業でもあり、準軍事組織でもある』と教団の本質を端的に指摘している。実は、統一教会は'68年に2500丁もの空気散弾銃を、韓国の教団系銃器メーカーから日本に輸入していたのです。さらに、'70年代に入ると1万5000丁の輸入を目論むが、これを日本政府に阻止されると、単発の空気銃1万5700丁を輸入しようと試みる。実際に輸入されたことは、通産省(現・経産省)が国会答弁で認めています。それだけでなく、統一教会は赤報隊事件当時、国内に信者が経営する教団系銃砲店を25店も持ち、そのほとんどが射撃場を併設していた。現在も、東京や名古屋などで10店が営業を続けています。ただ、こうした教団の実態がメディアで報じられることはなく、日本人の大多数は知るよしもないのです」
有田氏には、赤報隊事件への教団の関与を疑うに足る根拠もあるという。
「阪神支局襲撃の3日後に朝日新聞東京本社に届いた脅迫状には、『とういつきょうかいの わるくちをいうやつは みなごろしだ』と書かれていました。そればかりか、襲撃に使われたのと同じ米レミントン社製の使用済み散弾容器2個が同封されていた。実際に犯行に使用された散弾は米国製で、同封された散弾容器は日本でライセンス生産されたものだが、ポイントは脅迫状が投函された日付です。犯行に使用された散弾がレミントン社製と報道される前に、脅迫状は投函されていた。つまり、犯人、あるいは犯人の関係者でなければ、レミントン社製の散弾容器を送りつけることなどできない。しかも、消印は東京の渋谷局。当時、統一教会の本部は渋谷にありました」

(つづく)

 


解説
「朝日新聞阪神支局襲撃]……35年前に起きた「昭和の未解決事件」を巡って、統一教会=国際勝共連合との関与が取りざたされています。

これだけ疑惑がある以上、当局はきっちり真相解明に努力すべきでしょう。

それと同時に、東村山市議転落事件についても、いろいろ疑惑が浮上しているので、警察・検察には「他殺事件」の疑いをはらすべく、真相解明に努めていただきたいものです。

獅子風蓮


統一教会2世に学ぶ、自分の頭で考えるということ その2

2023-02-26 01:00:21 | 統一教会

d-マガジンでこんな記事を見つけました。


サンデー毎日 2023年3月5日号
挑む者たち24 石戸諭(ノンフィクションライター)

旧統一教会「2世」が起業家になった哲学の力
 __「哲学クラウド」代表取締役CEO
       上館誠也(かみだてせいや)

 

教団から離れられたのは
自分で思考し、考えたから

彼の両親を含めて献金を繰り返しても、困窮する信者は珍しくない。神はなんのために存在するのかという問いは、そのまま教義の矛盾と結びつくのである。
信者の中には「矛盾はわかる。でも、だからこそ離れるのではなく、教義をより良くしていくために教団に残る」と語った者もいた。だが、大半は彼の語ったことを理解しようともしなかった。結局、彼らが求めているのは所属することによって自分の存在が承認されるコミュニティーであり、信仰や「神」はそのお題目にすぎない。それが彼のたどり着いた結論だった。
彼は家族の信仰からも、教団からも完全に離れることができた。人生は思考によって、条件を変えることができる。彼は考えることによってのみ、自分の存在を実感することができた。
立命館大学への進学と同時に親に一切頼ることができない学費をどうまかなうか、という課題が現実的なものとして降りかかってきた。時代は最初の学生起業ブームの真っただ中だった。
彼も大学時代から英単語を効率的に学ぶアプリ「mikan」を開発するmikan (Yenom へ社名変更し、2021年に清算した。現在のmikanはYenom から教育事業を切り離して設立した会社)を共同創業し、スタートアップの立ち上げに熱中した。
学費をまかない成長軌道に乗せたところで、経営からは離れたが、ビジネスパートナーに常に問うていることがあった。日本に住む誰もが、英語をネイティブ並みに話せる世界を“ミッション”だと語っているが、なぜそれを自分たちがやらなければいけないのか。学生が威勢のいいことを掲げれば、時代の空気も後押ししてお金を集めることはできた。だが、それだけだった。
人生経験も乏しい若者が、いくらお金を集めたところでうまく組織を作ることに課題は残った。組織をうまくマネジメントできなければ、会社を継続的に成長させることはできないのが現実である。関心は組織作りに向かった。
入社したリンクアンドモチベーションは、心理学や行動経済学などの科学的知見を取り入れ、ビジネススキルや社員のモチベーションを分析することを得意としてい た それには背景もあった。創業者も哲学に関心を持っていることを公言していた。哲学の話ができる上司もいて、仕事を通じてただ学ぶだけでなく、学んだことをすぐに実践できる環境も整っていた。貪欲に学び、経験を積んだ。若いビジネスパーソンらしい発想で、そのまま自分の力を試したくなって個人として独立した。
次の職場は個人コンサルタントとしてかかわることになるリクルートだった。
前職の経験を活かした組織変革に取り組もうとしたのだが、狙いはことごとく外れる。失敗の要因は細かく挙げればいくらでも出てくるのだが、根本にあったのは「方法」のニーズを完全に読み誤ったことだ。端的に記せば、現場が求めたのはすぐに応用可能かつ問題の解決が可能な具体的な方法であり、ある側面から見れば迂遠なことばかりが書かれたマニュアルではなかった。
科学的な方法論は組織全体を見渡せば効果が出るものを教えてはくれるが、個々人が抱えている悩みに寄り添う方法までは教えてくれない。自分の理想を押し付けるばかりでは、ビジネスはうまくいかないのだ。大事なのは「納得」にあった。

 

経営者に根幹から考える力を 
「哲学クラウド」が提供する 

そこで彼はもう一度、自身のビジネス観を問い直すことになった。
ヒントになったのは、彼が直にみてきたビジネスパーソンの姿だった。自己分析の定番的な手法の一つに、モチベーションをグラフに書き込むというものがある。落ち込んでいた時期であるにもかかわらず、会社の目を気にしてか一貫して書き込んでいる人がいた。自分のやりたいことを問われたとき、器用な社員は言葉巧みに会社の価値観に近いことを言うが、う まく取り繕うことができないことに悩む不器用な社員がいた。上司とうまくコミュニケーションをとり、一見するとうまくいっているように見える社員でも、実は自分が本当にやりたいことを見失っていた。
社員としてこういうふうに働かなければならない、という思いばかりが先にあり、理想と現実のギャップに苦しむ。自分で考えることよりも、絶対的な理想や正解を求めて苦しむ。これは彼が人生のなかで接してきた、カルト宗教の教義を絶対の存在と崇め、何も思考しない人々の姿となんら変わらなかった。
社会はカルト宗教の信者をおかしな人として扱ってきたが、彼には一皮剥けば“信仰”の対象が違うだけで、カルトにのめり込む人々と地続きの人々が確かに存在しているように見えた。
彼が旧統一教会と向き合うなかで身につけたのは、哲学を武器にした自己、本との対話だった。
自分は何に関心があり、どうして企業経営をするのか。どんなサ ービスを提供したいのか。 それはなぜ必要なのか。それを言語化するためのヒントを哲学にできるとするならば……、ビジネスプランは一気に固まった。彼のビジネスに協力する哲学者も現れ、かくして机上のプランは現実のものになる。


何も思考しないカルト宗教と
地続きになっている現実

彼が提供する「哲学クラウド」は、開始直後に大手企業からも導入のオファーがやってきた。
実際に使うと思わぬ反応があった。実は幹部クラス、経営者でも自分のやりたいことが見えないという悩みを抱えている。口にするほどの不満はなくとも、このままでいいのかという漠然とした不安が確かに存在しているのだ。そんな人々は哲学者との対話を通じて、はっとした表情を浮かべながら自分を再発見し、次を構想する。パーパス、ミッション、バリュー、ビジョンという言葉が飛び交うビジネス界にあって、あらためて根幹から考える力が見直されていると見ることもできる。
そういえば、と思う。かつての学生起業家ブームを牽引した起業家の多くは、もう残っていない。それはなぜか。彼は「哲学」の不足を要因に挙げた。身近に接してきた経営者の中で、なぜその仕事をやりたいのかを言語化できる者は圧倒的少数派だった。
根幹から問い、考える力がなければ一時のブームで終わっていく。思考への絶対的な信頼が、上館の原動力だ。彼は、生まれながらの逆境を越えていった経験を力に変えていく。今は真価を発揮する途上なのかもしれない。

 


解説
自分で考えることよりも、絶対的な理想や正解を求めて苦しむ。これは彼が人生のなかで接してきた、カルト宗教の教義を絶対の存在と崇め、何も思考しない人々の姿となんら変わらなかった。
社会はカルト宗教の信者をおかしな人として扱ってきたが、彼には一皮剥けば“信仰”の対象が違うだけで、カルトにのめり込む人々と地続きの人々が確かに存在しているように見えた。

創価学会の教えに疑問を抱いてそこから離れても、他のカルト的集団に、絶対的な理想や正解を求めて苦しむ人が少なくありません。
安易な「覚醒」が、人格の向上に結びつかない人も散見されます。
ここはやはり、自分の頭でじっくりと考えることが必要なのです。


獅子風蓮


統一教会2世に学ぶ、自分の頭で考えるということ その1

2023-02-25 01:46:41 | 統一教会

d-マガジンでこんな記事を見つけました。


サンデー毎日 2023年3月5日号
挑む者たち24 石戸諭(ノンフィクションライター)

旧統一教会「2世」が起業家になった哲学の力
 __「哲学クラウド」代表取締役CEO
     上館誠也(かみだてせいや)

「神とは何か?」----。
彼は、西洋哲学の根本にあるような問いを小学生の頃から考えざるを得なかった。起業家、上館誠也(かみだてせいや)は旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)信者の家庭に生まれた。
教義に対する疑念と対抗するために考え続けたことは、やがて有名企業も導入するビジネスアイデアの源泉になっていく。ビジネスパーソンが仕事上の悩みを哲学者との対話などを通じて、ビジネスに還元していくというマネジメントプラットフォーム「哲学クラウド」である。
なぜ彼に「哲学」とビジネスが必要だったのか。生まれから紐解いていこう。
両親はともに熱心な信者だった。父はトラックの運転手や新聞配達をしながら献金を続け、母は山口県下関市から上京したときに信者になった。手相占いを装った信者に勧誘され、そのまま布教活にのめり込んでいったという。
そんな両親のもと、彼が生まれたのは31年前の山形県である。ほどなく母方の実家に近い下関市内に引っ越す。最初に疑念が芽生えたのは、小学2年生の頃だった。好きな同級生ができたのに教義の名の下に否定され、母親は彼を国内に置いて、エルサルバドルに布教活動に向かった。父が仕事に出ていくため、下関市内の教会に預けられた。周囲の大人の立ち居振る舞いを徹底的に観察しながら、素朴な疑問が浮かぶ。
彼らは何でも知っている「神」の教えを大切にしろと言いながら、茶菓子を口にしながら、世の中への不満ばかりを口にしていた。その割には何も行動せず、おしゃべりに興じているだけだ。
老朽化した教会の一角で、彼は強烈な違和感を覚える。時を同じくして祖父の勧めで柔道を始めた上館は、家庭や教会とはまったく異なる外の世界を知る。彼には柔道の素養があった。後にオリンピック金メダリストになるような選手と組み合って勝利を収めたり、県代表として県外遠征をしたりと経験を積むことが人生に自信を与えた。
外の世界で結果を出せば、教会の礼拝に行かないことも咎められなくなるどころか、教団関係者は大いに喜んでいた。旧統一教会の世界観では、世界を神とサタンの二項対立で考える。外の世界はサタンの世界なのに、なぜサタンの世界の成果を大人が喜ぶのかが彼には理解できなかった。
小学5年生の頃、授業で出合ったディベートで論理的に考えることを学ぶ。図書館で資料を集め、本と新聞を読み、ロジックを組み立て発表するという授業は、大きな転機を与えた。外で得た自信と言葉を使って論理的に考えること。この二つが結びつき、彼は両親に論戦を挑むようになる。
「神とは何か?」
「文鮮明や神の教えを、考えない根拠にしていいのか?」
「何も考えなくていいように教会に行くのか?」
両親の答えからも教義を読み返してみても、神が存在するという説得的な根拠はどこにも書いていなかった。存在しないものの言葉を信じなければいけないという根拠もない。「神とは何か」が知りたいがために、教会で大人たちが語る言葉を熱心にメモに取ったが、ここにも説得力のある考えはない。

 

最大の支えになったデカルト
「我思う、ゆえに我あり」

彼は小学生の時点で、一つの結論に達する。神とは存在ではなく、一つの判断基準にすぎない、と。そんな彼の考えを肯定してくれたのは哲学書だった。
図書館で何度も読み返したのはデカルトの『方法序説』だった。むろん、内容をすべて精緻に読み取っていたわけではないだろう。だが、「我思う、ゆえに我あり」という言葉は家庭内で孤独を抱えていた彼にとって、最大の支えだった。神について考えてきたのは、自分だけではなく西洋哲学に刻まれていると知った。中学、高校と進学しても我流でカントやニーチェの著作を読み漁った。神の教えを実行するのではなく、自分の人生において大切なのは自らの頭で考え、切り開いていくものだという思いを強くした。
上館の回想……。
「もし神がいるのならば、旧統一教会がファンドを作って、なんでも知っている神に、明日の株価を聞けばいい。信者から献金を集めるより、はるかに効率的にこの世に出回ったサタン側のお金を投資で手に入れることができる。教義に則して考えれば、そのほうが世界をよくする近道だろうと。なぜやらないのか? そんな話をしても親も含めた信者から納得した答えは返ってこなかったんです」


(つづく)

 


解説
神の教えを実行するのではなく、自分の人生において大切なのは自らの頭で考え、切り開いていくものだという思いを強くした。

これは、創価学会の教えに疑問を持ったアンチにも通じる大切な方法だと思います。


獅子風蓮