獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

菊池真理子さんの対談記事(2)

2023-03-31 01:09:06 | 宗教2世

『酔うと化け物になる父がつらい』『「神様」のいる家で育ちました』などの著書のある漫画家の菊池真理子さんの対談記事が、正木伸城さんのインタビュー記事と同じ雑誌に載っていました。

週刊文春WOMAN Vol.16 2023創刊4周年記念号(2023年1月12日発行)
大特集:宗教は毒か?救いか?


「神様」のいる家で育った私が信仰から解き放たれるまで
 __アダルトチルドレンと宗教虐待は重なっている。

   信田 さよ子  ×  菊池真理子
(カウンセラー) (宗教2世)

(つづき)

信田 菊池さんのお母さん自身、完全に信じきれなくて、そんな自分を責めたから、より懸命に勤行を唱えた可能性がありますね。夫や娘たちに信仰を強制しなかったのも、そのせいかもしれない。
菊池 確かにそうですね。七五三やクリスマスもやってたし。そういう葛藤もひっくるめて、母は可哀想だったなと思います。
信田 山上徹也容疑者のお母さんが置かれた苦境を、重ね合わせてしまいます。自殺した夫はアルコール依存症だったみたいだし、上の男の子は難病だったと聞きます。不幸が一気に襲ってきたとき統一教会に入ったのも、多額の献金をしたのも理解できますよ。不幸の最中にいる人にとっては、「誰も自分に注目してくれないのに、この人たちは注目してくれた」と救済者に見えてしまうものです。
菊池 お母さんは責められませんよ。責めるべきは信者ではなく、教団です。
信田 事件の背景を知るにつれ、山上家のような境遇の人たちに手が届かなかった、私たちカウンセ ラーの業種的な責任を感じました。
菊池 私は、世間から「宗教二世は犯罪予備軍だ」と見られてしまったらどうしよう、という怖さを感じました。被害妄想かもしれませんけど、やっぱり自分たちは奇異な目で見られてるという感覚が抜けないんですよ。でも家庭の事情が解明されてきたら、山上容疑者の生い立ちについては同情する声が増えたので、少し安心があります。
同時に、奇異な目が宗教一世に向いてしまったことが恐ろしいな、と思っています。カルトに嵌った一世もまた、被害者であることが多いからです。「あの人たちは頭がおかしいから関わらないようにしよう」と捉えられると、その子どもにも悪い影響が及ぶかもしれません。二世にしてみたら、一世が笑い者になると、過去の自分が笑いの対象だったことを再認識しなきゃいけないので、やっぱり辛いんです。
信田 宗教二世は、二倍苦しむんですね。
菊池 以前は、宗教が絡むと子どもを助けてくれる人はいませんでした。子どもには他人に相談するという発想がないし、周りにいる大人は教団の人ばかりですから。勇気を出して警察や役所に「助けてください」と駆け込んだのに、「いや、宗教の問題にはタッチできないから」と追い返された人もいます。
信田 児童虐待の場合、当事者である子どもはその日常がノーマルだと思っているから、「お母さん、ごめんね」と謝りながら、親に殺されていくんです。だからこそ、周囲の関心や第三者からの通報が意味をもちます。
菊池 子どもは、お金を使ってカウンセリングに通うこともできないし、スクールカウンセラーが宗教二世の話も聞いてくれたらいいなと思ってるんです。ほかにも、ここへ行けば話を聞いてくれる人がいるという場所が、たくさんできればいいと思います。
信田 おっしゃる通りですね。いま一番求められていること。
菊池 児童相談所が宗教問題を扱えるようにしよう、という動きもありますね。
信田 法的根拠が作られるかどうかですね。親による虐待死の事件が起きて「児相が何度か訪問したけど、介入せずに帰りました」と報じられるたび、世間は怒りますよね。児童虐待防止法が2000年にできて以降、児相の権限は少しずつ増えていますけど、親が出てきて「大丈夫です。元気です」と言われたら、帰らざるを得ないのが現実なんです。プライバシーの保護と信教の自由は、鉄壁ですから。
菊池 そうですね。
信田 そうした場合に警察を呼んで介入できる法的根拠もあるんですが、実施されるのは全国でもわずかな件数でしかないです。「法は家庭に入らず」なんて言ってるのは日本くらいで、DVもそうですが加害者野放しの現状はとても遅れているんですよ。
菊池 カウンセリングに行っても、宗教の話をしただけで「あ、そこから先は聞きません。 宗教はわからないので」と言われる場合があります。別に教義を知って欲しいわけじゃなくて、「親がこうだったので苦しいんです」と話したいだけなのに。「だからカウンセリングに行くのはやめました」という話をよく聞きますよ。代わりにスピリチュアルや占いに走ってしまう人も多いです。
信田 それはひどいですね。そのカウンセラー自身が無能であることの証明じゃないですか。
菊池 信田先生のカウンセリングは、「どうなったの? どうなったの?」と根掘り葉掘り聞くでもなく、「こうしたほうがいいよ」とアドバイスするでもなく、興味をもってじっくり話を聞いてくれるという感じでしたね。
よく覚えてるんですけど、先生から「私、菊池真理子は何かする人だと思ってる」と言われたんですよ。親も含めて他人からあまり期待をされない人生だと思ってたんですが、先生に期待してもらったことが力になりました。みなさんに言ってるのかもしれませんけど、その言葉につき動かされてきた面もあります。
信田 心にもないことは言えませんよ。『「神様」のいる家で育ちました』でいろいろな宗教の二世に取材して、感じたのはどんなことですか。
菊池 人それぞれ個別の物語があるので、違うところもいっぱいあるんですが、一緒だなと思った部分が多かったですね。自分で選んだ信仰じゃないのに、なんでこんな生き方をしてるんだろうって苦しんでいる人が、やっぱり多かった。信仰を通した条件付きの愛情しか親からもらえない点も、共通していました。宗教から抜け出したあと、世間のノーマルから自分がはみ出ていて、どっちにも行けなくって困っている人がたくさんいることも実感しました。
信田 宗教二世を集めたグループチャットを始めて、どのくらいですか。
菊池 一年半です。先生から学んで、アルコール依存症の人たちの断酒会みたいな当事者の集まりが大事だとわかったんですが、宗教二世には話し合う場所がなかったんです。いまは、いろんな宗教の人が200人くらいいます。
どの宗教であっても、楽しい思い出がゼロじゃないんですよ。たとえばエホバでは、女性信者は「姉妹」、男性は「兄弟」と呼び合ったりして疑似家族的になるので、信者同士の距離が近いんです。エホバ二世のお話を聞くと、「外の社会は人との距離が遠くて寂しい。嫌なことはいっぱいあったけど懐かしい」という人も多いです。 そ ういうことは、二世同士でなければなかなか話せません。
信田 アルコール依存症の場合、専門家の役割は本当に一部で、自助グループに参加することによる回復が主体です。同じような体験をもつ人を「類的他者」と言うんですけど、「こんな経験は自分だけだ」と思っている人がグループカウンセリングに参加して「自分一人じゃない」と気付くだけで、問題の半分くらい解決することがあります。
グループカウンセリングで、「学会から離れたいと思って家から出てアパート住まいを始めて、これで自由になったと思った翌朝、郵便受けに聖教新聞が入っていた」と話をした人が「これってやっぱり怖いですよね」と言ったら、 グループのみんなが「怖い怖い」と頷く。すると、「怖い私は異常じゃないんだ」とわかるといった例もありましたね。
菊池 宗教から逃げ出そうとか、誰かに相談しようとすら思えなかった人たちが、最初にホッとするのは「あなただけじゃないよ」という言葉なんです。もうひとつ「苦しいと言っていいんだよ」という言葉も、少しでも多くの人に 届けたいです。

 

 

 


解説
以前は、宗教が絡むと子どもを助けてくれる人はいませんでした。子どもには他人に相談するという発想がないし、周りにいる大人は教団の人ばかりですから。勇気を出して警察や役所に「助けてください」と駆け込んだのに、「いや、宗教の問題にはタッチできないから」と追い返された人もいます。

という菊池さんの指摘は重要です。
今後は、宗教2世の子どもたちが気軽に相談できて、被害を食い止めることができる場所が増えてくることを期待します。


__『「神様」のいる家で育ちました』でいろいろな宗教の二世に取材して、感じたのはどんなことですか。

という信田先生の質問に対して、菊池さんは次のように答えています。
__人それぞれ個別の物語があるので、違うところもいっぱいあるんですが、一緒だなと思った部分が多かったですね。自分で選んだ信仰じゃないのに、なんでこんな生き方をしてるんだろうって苦しんでいる人が、やっぱり多かった。信仰を通した条件付きの愛情しか親からもらえない点も、共通していました。宗教から抜け出したあと、世間のノーマルから自分がはみ出ていて、どっちにも行けなくって困っている人がたくさんいることも実感しました。

宗教二世を集めたグループチャットというものがあるのですね。
私も、関心を持って覗いてみたいと思います。


宗教から逃げ出そうとか、誰かに相談しようとすら思えなかった人たちが、最初にホッとするのは「あなただけじゃないよ」という言葉なんです。もうひとつ「苦しいと言っていいんだよ」という言葉も、少しでも多くの人に 届けたいです。

この言葉は、心に響きます。
アンチ創価のブログにもいろいろなものがありますが、組織に疑問を持った人がたどり着く先として、アンチブログの存在価値があるのではないでしょうか。

花子さんやレモンさんのブログ、ぜひ復活してほしいものです。

 

獅子風蓮


菊池真理子さんの対談記事(1)

2023-03-30 01:34:06 | 宗教2世

『酔うと化け物になる父がつらい』『毒親サバイバル』『「神様」のいる家で育ちました』などの著書のある漫画家の菊池真理子さんの対談記事が、正木伸城さんのインタビュー記事と同じ雑誌に載っていました。

週刊文春WOMAN Vol.16 2023創刊4周年記念号(2023年1月12日発行)
大特集:宗教は毒か?救いか?


「神様」のいる家で育った私が信仰から解き放たれるまで
 __アダルトチルドレンと宗教虐待は重なっている。

   信田 さよ子   ×  菊池真理子
(カウンセラー)  (宗教2世)

安倍首相襲撃事件のあと、社会の注目を一気に集めたのが「宗教二世」の問題だ。菊池真理子さんの漫画『「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~』(小社刊)は、さまざまな宗教の下に生まれた二世から取材し、実体験を描いて評判となっている。自身も創価学会の二世である菊池さんは、信田さよ子さんのカウンセリングを受けて、生きづらさから救われたという。

菊池 信田先生に初めてお会いしたのは、『毒親サバイバル』という著書に解説を書いていただくため、ご挨拶に伺ったときでしたね。ウチは父がアルコール依存症で、創価学会の会員だった母は私が中二のとき自殺してしまいました。父ももう亡くなったんですが、飲んでいた責任は私にあるんじゃないかと考えていたんです。
それで何の脈絡もなく、「私ってイネイブラー(依存症を増長させる人)なんですか」とお尋ねしてしまいました。そうしたら、ひと言「あなたはそんなこと考えなくていいのよ」とおっしゃって、すごく救われたんです。
信田 よく覚えてますよ。
菊池 だから私自身がカウンセリングに通おうと考えたとき、絶対に信田先生しかいないと思いました。「人間というのは、怒りを感じていいのよ」と言われたことがありましたよね。私は母から「怒っちゃいけない」と言われ続けたので、怒りを感じないように努めてきたんです。
「どうして怒っちゃいけないと思ってたんですか」と訊かれて「創価学会に教えられたんです」と答えたのが、宗教について話し始めた最初でした。私は先生との会話の中で、「自分は宗教二世なんだ」と自覚したんです。
信田 菊池さんのように親のアルコール問題だったり、自分が虐待を受けていたり摂食障害だったりという問題が入口でも、お話をよく聞いていくと、実は背景に親の信仰問題がある場合がとても多いのです。最初はほとんど話されないんですが、何回かお会いしているうちに不意に宗教の話が出てくる人って、珍しくありませんね。
菊池 自分の性格や考え方の癖に母や創価学会が深く入り込んでるとは、思ってもみませんでした。
信田 血となり肉となっているものが自分を苦しめてるって思えるようになるには、他者の視点がないとね。元々の個性だと変えるのはなかなか困難ですが、信仰の影響として自分の中に植え込まれた後天的なものなら、変えることができます。

菊池 日本人は宗教的な行動をいっぱいしているのに、ほとんどの人が自分は無宗教だと思っていますよね。宗教二世というのは、そんな中でまるで一神教徒のように振る舞わなくてはいけない人たちの問題だと思うんです。
信田 山上徹也容疑者が起こした事件以来、宗教二世という呼び方が広まったことで、救われたと考える人も多いようですね。
菊池 この言葉が社会に認知されたおかげで、「自分は宗教二世なんだ」と気付く人が増えたし、相談もしやすくなったと思います。「うちの親は変なんです」と言っていた人たちが、これからは「宗教二世です」と名乗れますから。
信田 私はアダルトチルドレン(AC)と自認した女性のグループカウンセリングを27年続けています。その中で「これって宗教虐待ですよね」という発言をしばしば耳にしました。20年ほど前から宗教虐待の過激さはACの女性たちをとおして具体的に語られていたので、今に始まったことではないと考えています。
菊池 児童虐待やアダルトチルドレンもそうですけど、臨床現場では、世間で用語を使い始めるより先に実態があるんですね。
信田 今日の対談があるので少し調べてみたら、最近カウンセリングに来ている宗教二世の8割が、親が創価学会の人でした。あとは統一教会とエホバの証人。エホバでは、子どもの問題を抱えた女性の信者が多いです。
地方の封建的な旧家に嫁いで、牛馬のごとく働かされていた女性が相談にいらっしゃったことがあります。直接の理由は、娘の摂食障害でした。その娘は「この家は、お父さんも狂ってるけど、お母さんも狂ってる」と言って暴れると言うんです。憔悴したその女性は「私はエホバがなかったら死んでいた」と泣いていました。
菊池 教団ではなくて、先生のところへ相談に行くんですか。
信田 それはね、教団には言えないから。自分の信仰が不十分であることの証明になっちゃうでしょう。救われるために信仰に入って、問題が起こったとき教団に相談できないから、カウンセリングに来る。屈折がありますよね。
菊池 お訊きしたかったことがあるんです。妻だけが信仰をもっていて、夫は宗教に反対だったり無関心という家庭が多くて、夫だけ信仰している家庭がほとんどないのはなぜですか。夫が信仰していれば、妻もたいてい信仰してるんですよ。
信田 私が聞いている範囲でも、信仰をもっている人の8割方は女性ですね。フェミニズムが救うべき女性たちを、一部のカルトが救っている現状があるんだと思います。
菊池 妻が夫の被支配者のような立場になったとき、宗教に救いを求めるという構造なんでしょうか。
信田 ジェンダー的に言えば、圧倒的に女性が多いのは、信仰だけが居場所だからです。無関心な夫はATMにすぎないのに離婚しないのは、経済力のなさが背景じゃないかと思います。
菊池 だけど宗教も縦社会の教団が多くて、信者は女性ばかりなのに、偉い人はみんな男性なんです。
信田 統一教会が改革をすると会見を開いて二世信者を17人も並べたとき、全員が男性だったでしょう。日本の企業を見てるみたいでしたね(笑)。
菊池 私は入信した自覚もないまま、もの心ついた頃には仏壇にお祈りをしていました。小学校1年生で願っていたのは、世界平和でした。創価学会の教えは「世のため人のため」なので、七夕の短冊に「おもちゃを買ってもらえますように」と書いた友だちを見て、なんて望みの低い子だろうと思ってたんです(笑)。「学会を知れば、私のようになれるのに」って。
ところが当の学会の大人から、「真理ちゃんは世界平和を祈ってて、偉いわね」って言われたんですよ。その大人まで「何々を買えますように」と現世利益を求めていたので、「あれ?」と思ったんです。
信田 疑問を感じたあとは?
菊池 「あれ?」が積み重なっていきました。学会の御本尊は「南無妙法蓮華経」と書かれた文字曼荼羅ですけど、「ただの紙なのに、どんな効力があるんですか」と訊いたら、大人はウッて詰まるんです。そのあと「お金と普通の紙は違いますよね。そういうことです」と説明を受けたんですが、納得できなくて。
信田 何か大きな出来事があって、信仰から離れたわけではないんですね。
菊池 決定的だったのは、母がずっと泣いていたことです。誰よりも熱心に信仰して、いつも祈ってるのに、全然幸せになってない。泣きながら「私は幸せです」と言ってるって、わけがわからなくて。最終的には母が自殺したことで、この宗教は救ってくれないと思いました。
信田 『「神様」のいる家で育ちました』の中で、「お母さんも心の底では信じてなかったんでしょう? なのにどうして泣きながらそこにいたの?」と書いていますね。
菊池 母は自分の信じる宗教に苦しめられている、と感じていました。
信田 やっぱり、信仰が唯一の居場所だったんでしょうね。
菊池 そう思います。父がいつも酔っていて家庭には安らぎがないし、外まで聞こえるような大声で勤行してたから近所の人たちにはバカにされてただろうし。
母の感情が不安定になって、私と妹はしょっちゅう家を追い出されて「ごめんなさい」とか泣き叫んでるんだけど、ご近所の誰も助けてくれませんでした。いまになって思えば、「あんな家の子どもには近寄らないでおこう」という認識だったのかな(笑)。

(つづく)

 


解説
だから私自身がカウンセリングに通おうと考えたとき、絶対に信田先生しかいないと思いました。「人間というのは、怒りを感じていいのよ」と言われたことがありましたよね。私は母から「怒っちゃいけない」と言われ続けたので、怒りを感じないように努めてきたんです。
「どうして怒っちゃいけないと思ってたんですか」と訊かれて「創価学会に教えられたんです」と答えたのが、宗教について話し始めた最初でした。私は先生との会話の中で、「自分は宗教二世なんだ」と自覚したんです。

ここ、よく分かります。
私の母もよく学会の指導を守り、「愚痴は功徳を消す。愚痴を言ってはいけない」と言っていました。
そこだけ聞くと立派な教えのようですが、「愚痴を言わない」「怒っちゃいけない」という指導を上からされるばかりで、自分の本心に蓋をしてしまうと、やはりどこかに無理が生じて精神に破綻をきたすことがあるのではないでしょうか。
創価学会の幹部には、よく考えてほしい部分です。


菊池さんのように親のアルコール問題だったり、自分が虐待を受けていたり摂食障害だったりという問題が入口でも、お話をよく聞いていくと、実は背景に親の信仰問題がある場合がとても多いのです。最初はほとんど話されないんですが、何回かお会いしているうちに不意に宗教の話が出てくる人って、珍しくありませんね。

私が外来で心理相談に応じている子どもの背景にも、もしかしたら宗教2世の問題が隠れているのかもしれません。
私は、診察室での会話からそこまで掬い取るほどのスキルがないので、気が付いていないだけかもしれないですね。


今日の対談があるので少し調べてみたら、最近カウンセリングに来ている宗教二世の8割が、親が創価学会の人でした。あとは統一教会とエホバの証人。エホバでは、子どもの問題を抱えた女性の信者が多いです。

8割。信田先生のこの数字は貴重ですね。
多くの創価学会の宗教2世が悩みを抱えていることの証拠になると思います。

__何か大きな出来事があって、信仰から離れたわけではないんですね。
という信田先生の質問に、
菊池さんは、
__決定的だったのは、母がずっと泣いていたことです。誰よりも熱心に信仰して、いつも祈ってるのに、全然幸せになってない。泣きながら「私は幸せです」と言ってるって、わけがわからなくて。最終的には母が自殺したことで、この宗教は救ってくれないと思いました。
と答えています。
宗教2世という言葉とカルト2世という言葉は分けて考えるべきだと思うのですが、カルトでないプロテスタントの場合でも、カルトとは言い切れない真如苑や創価学会の場合でも、宗教2世の問題は確実に存在します。
菊池真理子さんの場合に、創価学会の信仰が家族を幸せにしなかったことは事実です。
しかし、信仰によって、多くの悩みを抱えながらもなんとか生きている学会員も少なくないでしょう。
問題の本質を検証して、宗教2世の悲劇を無くすために、教団組織は変わっていくべきではないでしょうか。

 

獅子風蓮


乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』あとがき および付録

2023-03-29 01:05:30 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
□Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
■あとがき


あとがき

昨年の10月10日に刊行された『文藝春秋』11月号に、「東村山市議怪死のミステリー“自殺”に固執する警察捜査にこれだけの疑問」を発表し、自殺説に立脚する警察捜査への疑問と、朝木さんと「草の根」をめぐる動きをレポートしたところ、事件の真相解明を求める多くの声が私の手元に寄せられた。
朝木さんの死に関心を抱く多くの方々とともに、死の真相を解明するためには、事件の経緯とその背景を整理しておくことが必要不可欠の作業である。月刊誌では紙に制約もあり、背景を詳述することもできなかったことから、いずれ近い時期をみて、事件の経緯と背景を一冊の本にまとめておきたいと思っていた。
そのような折、教育史料出版会の橋田常俊氏から、出版のお勧めをいただいた。当初、本書は、昨年中に脱稿する予定だったが、所用にかまけている間に今日まで延び延びとなってしまった。
そうしたさなかの昨年12月22日、東村山署は、朝木さんの死を、「事件性はない」、すなわち自殺だと断定した。だが、私は死の真相の解明はこれからだと思っている。その意味で、本書は、あくまでも中間報告にすぎない。
坂本堤弁護士一家殺害事件が、事件発生後、6年の歳月を経て解決したように、いずれ、朝木さんの死についても、その事件の全容と真相が解明される日が来るものと固く信じている。本書がその一助となれば執筆者としてこれにすぎる喜びはない。
最愛の肉親を亡くすという辛い状況のなか、快く取材に応じてくれたご遺族の大統さん、直子さん、淳子さん、厳さん、そして朝木さんの政治活動上の同志だった矢野氏に衷心より感謝申し上げたい。皆様のご協力なくして本書が刊行されることはなかった。
また、原稿が遅れ遅れになったにもかかわらず、イヤな顔一つせず、辛抱強く待ってくださった教育史料出版会の橋田さんにもお礼を申し上げたい。さらには、資料や情報を提供してくれたジャーナリズムに携わる多くの先輩や友人にも紙上を借りて感謝申し上げたい。
そして、末尾ながらあらためて朝木さんの霊前に哀悼の意を表したい。
真相解明の日が一日も早く来たらんことを。
            合掌
1996年4月17日
             乙骨正生

 

 

 


付録


『週刊新潮』平成8年5月2・9日号
「東村山女性市議怪死の担当検事は創価学会員」という記事をネットでひろいました。

東村山女性市議怪死の担当検事は創価学会員 

おそらく記事をスキャンして読み込んだもので、誤字脱字が目立ちます。
分かる範囲で訂正し、読みやすいように漢数字を算用数字に直しました。

 


少し古い記事ですが、、
週刊新潮 平成8年5月2・9日号
ワイド特集 真相 「風雪の流布」
東村山女性市議怪死の担当検事は創価学会員

 創価学会から猛烈な嫌がらせを受けていた東京都東村山市の“反学会市議”朝木明代さん(50)=当時=が謎の転落死をとげて8ヵ月。早々と捜査終了宣言を出した警察に代って、遺族は地検の捜査に望みを託している。が、転落死事件の担当検事が、なんと当の創価学会信者だったことが判明したのである。
「えっ、検事が創価学会員。嘘でしょう?彼は転落死事件の究明にとても熱心に見えたし、てっきり私たちの味方だと思っていたのに……」
と絶句するのは、故朝木市議と共に創価学会問題を追及していた矢野穂積市議だ。無理もない。矢野氏や遺族は事件以来、この検事を信用して、ずっと転落死事件や嫌がらせ行為に関する情報提供を続けていたのである。
 昨年9月1日、朝木市議が東村山駅前のビル6階から転落死した事件は、12月に警視庁が「事件性なし」とする捜査報告書を東京地検に提出した。朝木氏と対立していた創価学会は、それ見たことかとばかりに聖教新聞などで大大的に書き立てたが、矢野氏や遺族はこれで事件が迷宮入りするとは思わなかった。
「警察が捜査を放り出しても、東京地検八王子支部の担当検事が、依然として関心を示していたんです。私は深夜に何者かから暴行を受けたり、創価学会員からトラックで轢かれそうになるなどの被書をうけ、この検事に訴えていました」(矢野市議)
 その地検検事とは、信田昌男氏(39)。津地検や横浜地検、そして前橋地検勤務を経て東京地検八王子支部に異動してきた中堅検事だという。信田氏は、咋年来、一連の朝木事件を担当した後、この4月1日に甲府地検へと異動した。その信田氏が、よりによって創価学会員だったというのだ。
信田氏の親戚によれば、
「昌男は学会員の家庭に生れ、今も熱心な信者ですよ。父親は早くに亡くなりましたが、昌男は創価高校、創価大学に進みました……」
信田氏は、昭和56年に司法試験に合格した司法修習36期生。大学時代の関係者によると、
「当時の信田君は、学会活動より、司法試験に合格して池田先生の期待に応えたいという闘志を内に秘めたタイプだった」
という印象が残っている。
 昭和56年11月16日付の聖教新聞には、司法試験に合格した信田氏のこんなコメントが掲載されている。
「社会正義を生涯かけて実現できる職業にとの考えが、創立者との出会いを通して深まり、司法界へ雄飛しようと決意した」
もちろん、コメントの中の“創立者”とは、池田大作氏のことである。
 そもそも信田検事が、矢野市議らとかかわるようになったのは昨年6月、故朝木市議が万引き容疑をかけられた事件からだ。
「信田検事が万引き事件のあとやって来て、担当する旨、告げられたのです。しかし、驚いたのは咋年7月、私が深夜に暴行を受けた件で弁護士が信田検事に相談にいくと、“これは朝木さんが嫌疑を受けた万引き事件と関係があるんじゃないか”と向うから切り出してきた。警察がなかなか動いてくれず業を煮やしていた時でしたから、話の分る検事さんだと嬉しく思ったものです」(矢野市議)
信田検事は朝木市議転落死事件のあった当日も、早朝から「検死」に立ち会っている。
 その約一ヵ月後、矢野氏は信田検事に呼び出されてこんな説明を受けたという。
「私も事件の現湯に行ってみました。あなた(矢野氏)が警察に不信感を抱いているのは良く分ります。私としても朝木さんのような事件が再発しないよう処理したい」
 また、別の日に会ったときは「警察はあてにならないから辛いよね」と同情的な言葉もかけてきたという。警察が捜査終了宣言を出した後も、信田検事は「事件は捜査中」と矢野氏らに話しており、甲府地検に異動する直前の3月30日には、矢野氏に対して、
「転落死事件の捜査は継続します」
と、明言している。遺族が期待を抱いたのも当然だったのである。
朝木市議の長女・直子さん(東村山市議)は今、いう。
「なぜ担当検事が創価学会員だったことを検察庁は私たちに教えてくれなかったのでしょう。私たちが創価学会問題を追及し、そのために嫌がらせを受けてきたことを検察庁は承知しているはずです。私たちはそうとも知らず、調ぺに応じ、寄せられた情報も全て提供してきたのですよ」こうした遺族の声に対して東京地検企画調査課では、
「検事の信教が事件と関連する場合は上司が判断し、担当を外す湯合があります。このケースは大丈夫だったということでしょう」
と、まるで他人事だ。
当の信田検事に聞く。
「確かに私は創価高校、創価大学出身ですが、何を信仰しているかは言う必要はないでしょう。しかし、創価大学卒だからといって捜査に影響が出ることはあり得ない。朝木さんの事件に関しても捜査は厳正に行なったつもりです。だから遺族に出身校を教える必要はありません。この事件は警視庁は捜査終了としていますが、地検は継続捜査しています。ちゃんと新任の検事に引き継いできましたよ」
が、ジャーナリストの乙骨正生氏はいう。
「咋年のオウム事件では、警察や防衛庁のなかに信者がいて実際に情報漏洩が問題になりました。こうした前例があるのに、学会関与が焦点となっている事件にわざわざ学会信者の検事をつけるなど、考えられないことです。まして創価大から司法試験合格者を出すことは池田名誉会長にとって“天下取り”の重要戦略。司法試験合格者には徹底した宗教教育が施されているのは、知る人ぞ知る事実です。検察は本気で事件を解明する気があったのでしょうか」
 実は、もう一つ驚くぺきことにこの朝木市議転落死事件を担当する東京地検八王子支部の吉村弘支部長も、学会信者だった。責任者も担当検事も両方、創価学会員だったというのである。元学会顧問弁護士の山崎正友氏がいう。
「吉村支部長は、私が創価学会に作った法学委員会の初期のメンバーでした。検事になった者は“自然友の会”というグループに属し、年に一、二回、池田名誉会長と会食の栄誉に与ることができました。彼は、新進党の神崎武法元郵政大臣(元検事)の一期下だったと記憶しています」
検察の学会汚染、恐るぺしである。


解説
信田検事について少し調べてみました。

信田昌男
信田 昌男(のぶた まさお)は、日本の検察官、公証人。富山地方検察庁検事正や、最高検察庁検事、津地方検察庁検事正等を歴任した。

来歴・人物
東京都出身。創価大学法学部卒業後、1984年東京地方検察庁検事任官。1985年津地方検察庁検事。さいたま地方検察庁次席検事等を経て、2012年富山地方検察庁検事正。2013年最高検察庁検事。2014年から津地方検察庁検事正を務め、裁判員に向けたわかりやすい立証の必要性を説くなどした。2015年退官、五反田公証役場公証人。
(Wikipediaより)


このWikipediaの記述には違和感を覚えました。
1984年東京地方検察庁検事任官。
1985年津地方検察庁検事。
さいたま地方検察庁次席検事等を経て、
2012年富山地方検察庁検事正。
とありますが、この記述では、東村山女性市議転落死事件の起きた1995年の時点でどこに勤務していたか分かりません。
実際は、東京地方検察庁八王子支部に在籍していたはずなのですが、その記載が抜けています。
信田氏本人あるいは創価学会側の工作によるものでしょうか。

また信田昌男検事については、別の事件に関与して世間を騒がせた記憶があります。
たしか、被疑者に対して乱暴な高圧的な取り調べをしたとかいう……
しかし、ネットで検索してもその事件と信田昌男検事の繋がりが出てきません。
単なる私の思い違いなのか、それとも何らかの圧力でその記載が消されたのか……
いましばらく調査を続けたいと思います。

獅子風蓮


乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その9

2023-03-28 01:23:30 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


◆再捜査情報の背景----深まる検察への疑惑
昨95年12月22日に朝木さんの死には「事件性はない」と断定、その捜査結果を記した報告書を東京地検八王子支部に送った東村山署だが、東京地検八王子支部の事件担当検事は、報告書の内容がずさんであることを理由に再捜査を指示したとの情報が今年3月に入って流れた。
この情報は、3月20日付『東村山市民新聞』第73号が報じたもの。「議員殺害事件 検察庁、警察に捜査やり直しを指示」「あんな『報告書』は通用する方がおかしいのです」との見出しの記事には次のようにある。

「昨年12月22日、東村山警察署は、『朝木議員殺害事件』で東京地検に、『事件性は薄い』とする『報告書』を提出、捜査を打ち切る発表をマスコミに行なった。
ところが、東京地検はこの東村山警察の『報告書』をうけとったが、疑問点があるので、再捜査を指示していたことが判った。
しかも東村山警察は、『自信をもって、書類送検した』と豪語していた昨年6月の『万引き』捏造事件についても、検察庁から再捜査を命じられている。
東村山警察の刑事課長らは、今年3月に、草の根・矢野議員に『捜査に協力してほしい』とすがりつくような態度をとっている。
フタをすることができるような『事件』ではない」
矢野氏によれば、東村山署から矢野氏に再度の事情聴取の要請があったのは、3月5日のことだという。
「建築紛争の件があり、東村山署を訪問、警備課長と話をして、帰ろうとしたところ、鶴見刑事課長と白石課長補佐がドアの外で待ち構えていて、「矢野さん、ちょっと上に来てくれ」という。議会中で多忙だったし、アポイントもなしの突然の申し出だったこともあり、断ると、『なんとかお願いします』と、まるですがりつくような態度。仕方がないのでついていくと、白石課長補佐が、「これから調書を取るので、6月19日の足どりについて話してほしい」と切り出してきた。7月12日の書類送検前には、いくらでも時間があったのに、事情聴取をしようともせず、『矢野はアリバイ工作をしている』などと『潮』に話しているにもかかわらず、突然、話を聞きたいという。そこで、『万引きを苦にして自殺と報告したんだろう、なんでいまごろ話を聞きたいんだ』と質したら、言葉を濁したが、地検から再捜査しろといわれているような口ぶりだった」
この東村山署の事情聴取の申し入れと、ほぼ時を同じくして矢野氏は、東京地検八王子支部の事件担当である信田(のぶた)昌男検事を取材した全国紙記者から、同検事は、東村山署の報告書には疑問点があるので調べさせるというニュアンスの発言をしていた事実を知らされる。
この全国紙の記者は、2月初旬に地検で信田検事と次席の千葉検事に取材を行っているが、その際、「12月22日の東村山署の報告書には、疑問点がある」との話を聞いている。
「東村山署の動きと、担当検事の発言を根拠に、『東村山市民新聞』に『再捜査』との記事を掲載しました。これに対し東村山署は、『東村山市民新聞』が発行された翌21日に、刑事課長が電話をかけてきて、『こんなこと書かれては困る』と抗議。議会最終日の22日には、市役所の出口に刑事課長と新任の課長代理、そして刑事が待ち構えていて、『署にきてほしい』という。なんとか訂正させたいという感じでした」(矢野氏)
地検八王子支部の事件担当の信田検事は、年度替わりの定期異動で甲府地検に異動となったが、その直前の3月30日、突然、矢野氏を呼び、朝木さんの不可解な死をはじめとする一連の事件について、大要、次のように説明している。

①万引き事件や朝木さんが洋品店「スティル」の女性店主を名誉棄損で告訴した事件は、年度末の処理によって、不起訴となる。理由は、被疑者死亡および告訴人死亡のため。
②朝木さんの「殺害事件」と、創価学会による『週刊現代』の元木編集長と朝木さん父子に対する名誉毀損での告訴事案は新任の担当検事に申し送りする。名誉毀損については、まだ警察の捜査段階だが、いずれ送検されてくるだろうから、話を聞かせてもらうようになるだろう。朝木さんの「殺害事件」については、捜査を続けている。

95年10月5日に、矢野氏を事情聴取した際、信田検事は、「こういう事件が再発しては困るので、根を断たなければ」と話している事実がある。
また、12月9日には、事情聴取に応じた直子さんに対し、「犯人に関する情報はないか」と尋ねている。
信田検事を取材した全国紙記者によれば、検事の事件に対する認識は、東村山署とは大きく異なっており、矢野氏や直子さんに近い印象を受けたという。
だが、この信田検事の発言は、額面どおりには受け取れない。むしろ、 直子さんや矢野氏らの動勢や事件に対する認識や情報を把握するための“演技”だった可能性が高い。というのも、信田検事は、創価高校、創価大学出身の筋金入りの学会員。それも池田氏に将来を願望された創価エリート中のエリートだからである。
後述するが、同様に地検八王子支部長の吉村弘氏も、創価学会内にあって池田氏の「天下取り」戦略を進めるために作られた特殊組織・法学委員会の主要メンバー。朝木さんの不可解な死や万引き事件をはじめとする一連の事件を担当する検察シフトは、創価学会員によって占められていたのである。
現在、朝木さんの不可解な転落死については、未確認ながら、朝木さんが4人の不審な人物にビルへ連れ込まれるのを見た、消えたはずの靴は、事件直後に現場のビル6階の空き部屋で発見されていたなどの情報が「草の根」事務所に寄せられている。
また、この事件の背景に暴力団の介在があるとの噂も永田町を中心に流れている。
かつて創価学会は、日蓮正宗の総本山大石寺のある静岡県富士宮市で、昭和50年代初頭に、大規模墓苑富士桜墓苑を開発しようとした。この際、地元の暴力団山口組系後藤組に、反対運動の鎮圧を要請。後藤組はこれに応じて反対運動の中心者を日本刀で叩き切り、反対運動を潰した。同様に創価学会からの依頼を受けて、同会から違反した山崎正友元学会顧問弁護士が、81年に富士宮市の百条委員会で学会と市当局との癒着を証言しようとした際、これを暴力的手段によって阻止している。
後藤組長は、83年3月に、創価学会の池田大作名誉会長と公明党の竹入義勝委員長に約束の履行を求める内容証明郵便を発送したが、そのなかで、富士桜墓苑反対運動潰しや、百条委員会での山崎氏の証言を阻止したのは、創価学会の代理人として、当時の土橋昌訓公明党富士宮支部長(市議)、稲田圭祐市議、高橋繁元公明党代議士が依頼してきたものであり、自分は刑法に触れてもいいとの信念でこれを遂行したことを明らかにしている。
宗教団体と暴力団が関係していること自体、おぞましいかぎり。噂の真偽も含めて、一日も早い事件の真相解明が期待される。
直子さん、矢野氏は近日中にも、被疑者不詳の殺人被疑事件として刑事告訴する予定で、 現在、 準備を進めている。


◆国家中枢に配される学会特殊組織
ところで、前述のように東京地検八王子支部の吉村弘支部長は、創価学会の枢要なメンバーであることで知られている。そして、信田検事もまた、創価学会エリートだった。
創価学会は、池田氏の号令のもと、「天下取り」を目指して、選挙という合法的手段での政権奪取と、優秀な学会員子弟を、官界、法曹界、経済界、マスコミ、教育界などに送り込み、社会の枢要な部署を創価学会員で占める総体革命戦略という二本柱で、 「天下取り」構想を推進してきた。その総体革命戦略の中核に位置していたのが、創価学会学生部のなかに設置された法学委員会だった。これは、全国十数万人の大学生会員のなかから、司法試験、国家公務員上級職試験、外交官試験、そして公認会計士試験を受験する学生を徹底して訓練し、池田氏の「天下取り」のための手駒、有能なスタッフを育成する特殊組織。
現在、学会副会長で創価大学教授、学会顧問弁護団の中心者でもある桐ヶ谷章氏が、1976年(昭和51)春に書いた「法学委員会の新体制について」と題する文書に、その法学委員会の設立趣旨や目的、勢力と概要などがはっきりと記載されているが、その中心的スタッフの一人として、共産党・宮本委員長宅盗聴事件への関与を取りざたされた元検事で、細川内閣で郵政大臣を務めた神崎武法氏らとともに、現職検事として名前が記載されているのが、吉村弘氏なのである。しかも吉村氏は、池田大作氏のすすめで、創価学会の東京大田区の最高幹部で『聖教新聞』の制作局長などを歴任した沼本光央副会長の妹と結婚している人物。
「法学委員会の新体制について」にはこう記されている。

「一、趣旨
法学委員会は現在学生部に所属し、受験生の掌握、指導、合格者の輩出という点に重点を置いて活動している。
しかしながら、合格者も年々累積しまた社会的活動の面でも年齢的な面においても学生部に所属し上記活動のみを行えばよいという段階をすでに通り越している。
また総体革命の中において各分野にどのように切り込んで行くか(青法協等に対抗する組織の構築、官僚機構等に対するくい込み、そのあり方等の検討等)を検討していかなければならない段階に差しかかっている。
更に、学会の諸活動に関する戦略ブレーンの本格的育成も重要な任務となってきている。一方、合格者自身の本格的信心の訓練の育成ということも考えていかなければならない。(中略)
参考のために現有勢力は、
JRA(法学研究会--司法試験グループ)
 弁護士  33
 検事   18
 判事    3
 修習生  16
 計    70
ERA(経済研究会--公認会計士試験、税理士試験グループ)
 公認会計士   6
 公認会計士補 27
 税理士    12
 計      45
ARA(国家公務員研究会--国家公務員上級職グループ)
 国家公務員上級職 36
DRA(外交研究会--外交官試験グループ)
 上級     9
 中級     8
 語研    18
 計     35
総合計   186
なお、本年度、各研究会とも約十名前後の合格者が見込まれている。

二、機構案
以上のような観点をふまえ、法学委員会とOBを中心とした組織と受験生を中心とした組織にわける。(中略)
OB中心の組織は青年部又は社会本部所属とする。(但し、余り表に出せない面があるので、特殊組織にする必要がある)
その主な役割は、
(1)合格者の掌握信心訓練(指導する側とされる側にわかれるであろう)
(2)総体革命戦略の構築(各分野にどのように切り込んで行くか)
(3)特殊問題に関する戦略ブレーンの育成
(4)情報交換、情報提供
(5)受験生組織のバックアップ
全国に散っている合格者を掌握するために事務局を設置したい。
また、より高次元の立場から法学委員会の方向性を検討していくための組織(仮称法学委員会戦略会議)の設置をおねがいしたい。

三、組織人事案
戦略会議
議長 秋谷副会長
副議長 山崎正友顧問弁護士
委員 原島教学部長
   野崎男子部長
   原田学生部長
   八尋頼雄(弁護士)
OB部
委員長・桐ヶ谷章(弁護士)
事務局長・福島啓充(弁護士)
副委員長・中村俊介(会計士)
     石塚義高(建設省)
     榎泰邦(外交官)
     林徳久(会計士)
     亀本和彦(建設省)
     遠藤乙彦(外交官)
     宮本雅行(弁護士)
  参与 神崎武法(検事)
     会田宣明(検事)
     吉村 弘(検事)
     上野富司(検事)
     高井康行(検事)

四、今後の展望
合格者の増員、今後5年間で現在の倍、10年間で現在の4倍にすること。
検事は5年後には各都道府県に1人、10年後には2人位宛配置できるようにしていく」

そして、創価学園、創価大学は第Ⅳ章で触れたとおり、池田氏の「天下取り」を推進する手駒を養成するための教育機関であり、創価大学には、法学委員会の分局的存在として国家試験研究室が併設されている。吉村氏と信田氏はいずれもその中心メンバーだったのである。
その信田氏は、81年11月16日付の『聖教新聞』に「創大志望の受験生諸君へ」と題する一文を掲載。そこで池田大作氏の指導に触発されて司法に進んだことをこう記している。
「社会正義を生涯かけて実現できる職業にとの考えが、創立者との出会いを通して深まり、司法界へ雄飛しようと決意した」
また、法学委員会の実質的責任者だった元学会顧問弁護士山崎正友氏は、吉村氏について次のように語る。

「吉村氏は、法学委員会の一期生として、神埼武法氏や福島啓充氏などとともに学会員検事の草分け的存在として活躍した人物。神崎氏や福島氏に比べて常識的で人柄もいちばん良かったが、池田大作氏ともしばしば会食していたし、勤務が在京中心だったのでよく学会本部にも来てもらっていた。言論問題や妙信講事件など学会関連の諸問題について、我々弁護団や執行部は彼ら検事を一種の諮問機関として利用していた。その意味では、立場は検事だが学会本部職員としての扱いだった」

検察官にも信教の自由はある。検察官が創価学会員だったからといって問題にするのはおかしいとの批判もあろう。しかし、それは、公務員が憲法第15条が定める「公務員の本質」・「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」に基づいていればの話である。
周知のことだが、創価学会は、1970年に、言論出版妨害事件で厳しい社会的批判を浴びた。この際、激しく創価学会攻撃を行った共産党・『赤旗』を創価学会は憎悪し、復讐のために共産の機密事項を入手しようと、宮本顕治委員長宅電話盗聴という違法行為を犯したが、そのもみ消し工作に元郵政大臣で現新進党代表の神崎武法氏(元公明)や創価学会副会長の福島啓充弁護士は、現職検察官でありながら関与した事実を指摘されている。
吉村氏同様、法学委員会の主要なメンバーだった元キャリア外交官の遠藤乙彦新進党代議士(元通産政務次官・旧公明)は、90年、東京二区から衆議院に立候補するにあたって、創価学会第二大田中央本部の決起大会で挨拶したが、そこで創価学会員の外交官とはどのようなものであるか、また、公明党の政治家とはどのようなものであるかをこう語っている。

「必ずや、皆様の御期待に応え、皆様の手足となって、先生を守り、学会を守り、民衆を守る政治家として、力の限り戦い抜くことをお誓いいたします。
私も池田門下生の一人として先生より数多くのご指導、ご薫陶を賜ってまいりました。 先生のご薫陶のおかげで、広布に生きる使命を自覚することができ、妙法の外交官となって20年にわたり世界を舞台に存分に戦ってまいりました。私がなによりも感謝申し上げていることは、先生の限りないご激励により広宣流布に生きる人生のすばらしさを教えていただいたことでございます。どこまでも、この師弟不二の原点だけは貫き通して、先生のご構想を実現してゆく弟子となりたい。先生の偉大さを社会に向かって、世界に向かって、断じて証明してゆく弟子となりたいと、深い深い決意を致しております」

遠藤氏が所属した外務省には、「大鳳会」と称する創価学会の秘密組織があり、外遊する池田氏のための便宜や創価学会の海外戦略の一翼を担っている。そうした事実を証明するのが、94年に明らかとなった。創価学会員外交官の秘密文書事件。これは、90年1月3日付けで、当時、イタリアのミラノ総領事館に在勤していた渡辺博氏が、創価学会の依頼により、ヴァチカンの動静を分析する大部の報告書を提出していたもの。渡辺氏が報告書とともに池田氏に宛てて出した書簡にはつぎのように記されている。

「前略 池田先生
大鳳会の渡辺博と申します。
先日は、『吉川英治 人と世界』を送って下さり大変ありがとうございます。あらためて読書の大切さ、そして一人の人間が大きな可能性を秘めていることをしました。これを糧に日々精進していきます。
昨年10月鈴木琢郎副会長から手紙をいただき、その中でヴァチカンについての私なりの実感を教えてほしい旨書いてありました。その返事は神崎(イタリア日蓮正宗創価学会書記長)を通じて鈴木副会長に出しました。
彼らは、50年、100年単位で長期的な世界戦略を立てている模様であり、創価学会の世界広宣流布上の最強かつ益々勢力を増してくる狡猾な敵と思います。
来年春、先生はイタリアを訪問されると聞きました。私はイタリア在勤7年目をむかえ、今年7月に帰朝の予定です。イタリアで先生をお迎えすることはできないかもしれませんが、ミラノ総領事館の広報担当として全力で北イタリアにおける対日認識の拡大に努め、 広布のお役に立ちたいと思います」

 

桐ケ谷副会長が記した「法学委員会の新体制について」には、法曹資格者、外交官、公認会計士、国家公務員上級職の合格者を「今後5年間で現在の倍、10年間で現在の4倍にする」とし、「検事は5年後には各都道府県に1人、10年後には2人位宛配置できるようにしていく」としている。これが記されてからすでに20年がたつ。今回明らかとなった朝木さん、「草の根」にまつわる事件での検察シフトは、そうした創価学会の思惑が反映されたものなのであろうか。
その吉村氏は、95年春の定期異動で地検八王子支部に赴任している。東村山署の千葉副署長、須田係長も、95年2月の異動。創価学会が朝木さん「草の根」攻撃に本腰を入れる時期と符合しての異動だが、まさか関係はあるまい。しかし、替え玉投票事件や練馬事件などで創価学会は、法務省や警察庁、警視庁幹部としばしば打ち合わせを行っているだけに一抹の疑問は残らざるを得ない。
朝木さんは、創価学会がその持てる金と票の力で議員を議会におくり、行政を壟断する危険性を議会内外で強調していた。朝木さんの事件を担当する地検の支部長が、創価学会員、それも総体革命戦略を司る法学委員会の枢要な幹部であること、また担当検事が池田氏の「天下取り」の手駒を養成する創価学園・創価大学の出身であることに、なにかの因縁を感じるのは、私一人ではあるまい。
事件の帰趨がどうなるのか、それは虎視眈々と「天下取り」を狙う創価学会の危険な野望を、日本の民主主義が阻止しえるかどうかのバロメーターともいえる。その意味で、朝木さんの死は、日本の民主主義を守るための貴重な人柱なのかもしれない。

 


解説
信田検事を取材した全国紙記者によれば、検事の事件に対する認識は、東村山署とは大きく異なっており、矢野氏や直子さんに近い印象を受けたという。
だが、この信田検事の発言は、額面どおりには受け取れない。むしろ、 直子さんや矢野氏らの動勢や事件に対する認識や情報を把握するための“演技”だった可能性が高い。というのも、信田検事は、創価高校、創価大学出身の筋金入りの学会員。それも池田氏に将来を願望された創価エリート中のエリートだからである。
後述するが、同様に地検八王子支部長の吉村弘氏も、創価学会内にあって池田氏の「天下取り」戦略を進めるために作られた特殊組織・法学委員会の主要メンバー。朝木さんの不可解な死や万引き事件をはじめとする一連の事件を担当する検察シフトは、創価学会員によって占められていたのである。

信田検事が、自分の素性を隠して、わざと矢野氏や直子さんの信頼を得るためのお芝居をしていたとすれば、後に信田検事に裏切られという気持ちになったのも無理はありません。

 

現在、朝木さんの不可解な転落死については、未確認ながら、朝木さんが4人の不審な人物にビルへ連れ込まれるのを見た、消えたはずの靴は、事件直後に現場のビル6階の空き部屋で発見されていたなどの情報が「草の根」事務所に寄せられている。
また、この事件の背景に暴力団の介在があるとの噂も永田町を中心に流れている。

宝島社の「池田大作と暴力団」という本があります。
その中に「盗聴実行犯、17年目の告白! 後藤組組長/藤井都議会公明党顧問『密会テープ』の全貌!!」というスクープ記事が載っています。
これによると山崎正友氏のあと創価学会の裏仕事を一手に引き受けていた藤井富雄氏が、創価学会と池田大作氏に対し怒りを爆発した後藤組組長の後藤忠政氏をなだめようと会談を持ったというのです。1995年の初秋のことだという。
その会談内容を盗聴するように依頼をされたA氏が暴露したわけです。
盗聴の依頼者は、会談場所となる事務所の主だったB氏でした。
__藤井先生よ、あんたんちのために、ウチの若いもんが一体、何人捕まったと思ってんだ?
という後藤氏の発言に対して、藤井氏は大声で釈明を繰り返すのみ。
A氏によると、藤井の話はまったく内容がないものだったという。
しかし、最終的には2人の間で「今後とも学会絡みの案件は後藤組を通す」ということで話がつき、一応は丸く収まった様子。
そして、別れ際に、藤井氏は後藤氏にこう言ったという。
__また、ビュフェの絵を贈ります。

この盗聴テープとは別に「密会ビデオ」が撮られていたという。
A氏に盗聴を依頼したB氏自身が撮影したという。
この「密会ビデオ」が、何者かによって自民党側に届けられ、住専国会での新進党切り崩しの材料になったと言われています。
この「密会ビデオ」の中で、藤井氏が後藤組長に、反学会活動を続けている政治家など5人の名前をあげて「どうにかならないか」という内容の相談を持ちかけたという。
95年の12月ころには永田町の一部で、このビデオの存在が取りざたされるようになり、当時自民党の組織広報本部長として反学会キャンペーンの先頭に立っていた亀井代議士が「命を狙われている」という噂が流れ、亀井付のSPが増員されたという。

だが、当の藤井・後藤会談の盗聴の「実行犯」であるA氏は、そのような会話があったことを否定しています。
事実は闇の中だが、当時の創価学会と後藤組にはズブズブの関係があったことだけは確かのようです。

 


朝木さんは、創価学会がその持てる金と票の力で議員を議会におくり、行政を壟断する危険性を議会内外で強調していた。朝木さんの事件を担当する地検の支部長が、創価学会員、それも総体革命戦略を司る法学委員会の枢要な幹部であること、また担当検事が池田氏の「天下取り」の手駒を養成する創価学園・創価大学の出身であることに、なにかの因縁を感じるのは、私一人ではあるまい。

との乙骨氏の懸念に、私も同意します。

獅子風蓮


乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その8

2023-03-27 01:10:31 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


◆宗教法人法違反による創価学会解散請求
こうした創価学会の実態を、朝木さんの意志を継ぐ直子さん、矢野さんは厳しく批判。 95年11月24日には、創価学会を宗教法人法第81条に基づいて法定解散させるよう求める訴訟を東京地裁に提起するとともに、同日行われた記者会見の席上、直子さんが、来る衆議院総選挙に東京新二十区から出馬し、創価学会問題を国政の場で追及する姿勢を明らかにした。
創価学会の法定解散命令を求める訴訟を提起したのは、大統さんと直子さん、そして矢野氏の3人で、東京地裁に提出した「宗教法人解散命令請求申立書」の趣旨は次のようなものとなっている。

創価学会は日蓮正宗の信徒団体として発足し、1952年(昭和27)8月27日付けで東京都知事の認証を受け、宗教法人資格を取得したが、認証された宗教法人規則の第3条(目的)ならびに法人登記簿の目的の欄には、「この法人は、日蓮大聖人御建立の本門戒壇の大御本尊を本尊とし、日蓮正宗の教義に基づき、弘教および儀式を行ない……」とある。また、規則の第32条(公益事業に対する支援)には、「この法人は、宗教法人日蓮正宗を外護すべく供養し……」と記載されている。
しかし、現実の創価学会は、1991年(平成3)11月に日蓮正宗から破門され、この前後からは、日蓮正宗を日顕法主の名を冠した「日顕宗」と呼称。これを「撲滅」するまで闘うとして、暴行、脅迫、尾行など違法行為、不法行為をともなう激しい攻撃を加えている。
要するに、「日蓮正宗の教義に基づき、弘教および儀式を行なうことを目的にして設立された宗教法人、しかも「日蓮正宗を外護すべく供養」することをうたっている宗教法人が、逆に日蓮正宗を攻撃、これを撲滅するまで闘うとして活動を続けているのが実態なのである。
宗教法人の解散を規定した宗教法人法第81条の一項には、宗教法人が「宗教団体の目的を著しく逸した行為をしたこと、又は一年以上にわたってその目的のための行為をしない」場合は、所轄庁、検察庁、利害関係人の請求により、裁判所は解散を命令することができると規定している。
直子さんらは、破門前から創価学会が、日蓮正宗を激しく攻撃している事実はこの解散事由に当たるとして、また、創価学会の数々の社会的不正行為は、オウム真理教の解散命令の根拠となった、宗教法人法81条二項の「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」にも該当するとして、東京地裁に解散命令を求めたのである。
同日、午前11時から霞が関の弁護士会館で行われた記者会見の席上、矢野氏は、請求の趣旨を次のように説明している。

「日蓮正宗を守るとして認証された宗教法人が、逆に日蓮正宗を攻撃している。これは明らかにおかしい。当法人としての資格を取り消されるべきではないのかというのが、請求の趣旨です。本来、宗教法人として認証されるためには、信仰の対象である本尊、教義が不可欠ですが、創価学会は自前の本尊、教義すらもっていない。その意味では、宗教団体として成り立ちうるのかという疑問すらある。そうした団体が宗教法人法を隠れ蓑にして、巨額の金を集め、税法上の優遇措置を受け、その巨額の金の力を背景に、政治をしようとしている。とても見過ごすことができないので、訴えを起こすことにしました」
もともと学会員でもなんでもない直子さんらが訴訟を提起することができたのは、朝木さんの不可解な死をめぐる報道の過程で、創価学会が、『週刊現代』の元木編集長と、大統さん、直子さんを被告として名誉棄損で告訴。あわせて名誉棄損に基づく1億円の損害賠償請求訴訟を起こしたから。
「1億円の損害賠償請求訴訟を起こされたことで、債権、債務の関係が発生した。それが利害関係人にあたると判断した」(朝木さんの訴訟代理人を務める中田康一弁護士)
直子さんらは、この日、提訴に先だって青島都知事に対し、オウム真理教同様、創価学会の解散請求を速やかに行うよう請求した。


◆弔いのたたかいに立つ
ところで、記者会見の席上、直子さんは、衆議院東京新二十区から出馬し、池田氏の信任厚い新進党の女性局長である大野ゆり子代議士(旧公明)と闘うことを正式に宣言した。直子さんはその決意をこう語っている。
「母も、宗教法人としての資格に疑問のある創価学会が宗教法人としての特権を享受して政権を窺っていることに強い疑問をもっており、つねづね『これは何とかしなくちゃいけないわね』と話していました。今回の提訴で、その意志の一端を継ぐことができたと思っています。また、本日、正式に衆議院選挙への出馬をしましたが、政教一致の創価学会によって日本の政治が支配されるようなことになれば、民主主義は危殆に瀕します。このままではいけないとの危機感からあえて出馬を決意しました。言論によって創価学会を批判していた母が、暴力によって口を封じられてしまった。その無念を晴らすためにも断固創価学会と闘っていきます」

これに先だって創価学会は、10月「東村山戸田区」の座談会強化月間に指定し、森田一哉理事長をはじめ、数十人の副会長を東村山市に投入。組織の引き締めを図った。地元の創価学会幹部が語る。
「朝木さんの死と創価学会の関与を取りざたするマスコミ報道によって、組織内に動揺が広がったため、朝木さんの死は、万引き事件を苦にしての自殺との指導を徹底して行い、組織の引き締めを行った。その際、会員に危機意識をもたせるために、朝木直子が衆議院に出馬する可能性が高い。直子が出馬すれば、大野と朝木の一騎打ちとなり、あるいは大野が負ける可能性もある。先生を守るため、創価学会を守るため、なんとしても大野を勝たせようとの指導も行われ た」

10月30日には、新進党の小沢一郎代表幹事(当時)と江田五月広報企画局長が、わざわざ東村山地域まで足を運んでいる。この日、新進党は、東村山市に隣接する所沢市の西武園内にある「アイドル共和国」で、東京新二十区地域の総支部結成大会を開催。 大野ゆり子氏の必勝を誓い合ったのである。これに参加した全員によれば、参加者の大半は学会員で、小沢氏は、宗教法人法の改正を断固阻止することを約束。会場のヤンヤの喝采を浴びるとともに、大野氏の必勝を要請したという。
来る衆議院総選挙は、21世紀の国政の動向を左右する重大な選挙。と同時に、政権奪還を期す創価学会にとっても、乾坤一擲の決戦となる。昨年来、創価学会が支援する新進党と小選挙区で一騎打ちの対決を余儀なくされた自民党は、創価学会に対する攻撃を強めており、創価学会の政教一致問題や反社会的体質が、複数の選挙で争点となった。朝木事件は、当然、一つのファクターとなる。それだけに朝木さんの死は自殺との結論による引きを、創価学会は切望していた。東村山署の「犯罪性なし」との捜査結果の発表は、そうした創価学会にとってまさに願ったり、叶ったりの内容だったのである。東村山署の捜査結果を創価学会が大々的に宣伝するのは、当然のことだったといえよう。

 


解説
10月30日には、新進党の小沢一郎代表幹事(当時)と江田五月広報企画局長が、わざわざ東村山地域まで足を運んでいる。この日、新進党は、……大野ゆり子氏の必勝を誓い合ったのである。これに参加した全員によれば、参加者の大半は学会員で、小沢氏は、宗教法人法の改正を断固阻止することを約束。会場のヤンヤの喝采を浴びるとともに、大野氏の必勝を要請したという。
来る衆議院総選挙は、21世紀の国政の動向を左右する重大な選挙。と同時に、政権奪還を期す創価学会にとっても、乾坤一擲の決戦となる。昨年来、創価学会が支援する新進党と小選挙区で一騎打ちの対決を余儀なくされた自民党は、創価学会に対する攻撃を強めており、創価学会の政教一致問題や反社会的体質が、複数の選挙で争点となった。朝木事件は、当然、一つのファクターとなる。それだけに朝木さんの死は自殺との結論による引きを、創価学会は切望していた。東村山署の「犯罪性なし」との捜査結果の発表は、そうした創価学会にとってまさに願ったり、叶ったりの内容だったのである。東村山署の捜査結果を創価学会が大々的に宣伝するのは、当然のことだったといえよう。

このあたりの当時の政治的状況が、東村山署の捜査結果を創価学会が大々的に宣伝したことに結びついていたのですね。

獅子風蓮