獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(24)

2023-12-26 01:26:25 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
■第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第1章 逃亡者
□ポケットの中で握り締めた110円のジャリ銭
□ギャンブル依存症がハマる「カネの底なし沼」
□やめたくてもやめられない 俺を破滅させた博打
□一晩1000万円が動く裏カジノが主戦場
□YouTuberのヒカルのギャラ
□ギャンブルで自殺した俺のオヤジ
□雪山で大酒を飲んで死ぬつもりだった
□下4ケタ「1234」 
□PCR検査へ急げ 
■1泊500円のゲストハウスを泊まり歩く
■日当3000円の日雇い労働で糊口をしのぐ
■暴露系 YouTuber ガーシーの誕生

 


1泊500円のゲストハウスを泊まり歩く

日本にいたときは「いつ警察に逮捕されるかもわからん」「誰が追いこみをかけてきて、さらわれるかもわからん」と、背筋が凍るほどの強迫観念に駆られていた。海外に出た瞬間、気分はすこしラクになった。iPhoneのSIMカードは抜いているから、 いきなり電話がかかってくる心配もあらへん。通信環境に気を遣ってさえいれば、GPSによって居場所を探知される心配もない。
けど、日本から脱出したからって、そこが安全圏とは限らん。世界中どこの国におろうが、闇社会の番人は地の果てまで追いかけてくる。そいつらが俺の居場所までたどり着けんかったとしても、海外で普通に死ぬこともありうると覚悟しとった。カネもない。住居もない。仕事もない。このまずい状態から脱却できなけりゃ自滅するだけのことや。
出国前、親戚から10万円は貸してもらえた。フライトチケット代を引いた数万円を握り締め、ちょっとずつ崩して小刻みに使いながら、まずは当座の日々を送った。星 付きのホテルなんて偉そうに泊まっとったら、1泊で3万円、4万円と消えてあっと いう間にキャッシュが底をついてまう。ゲストハウスみたいなどうしようもない木賃 宿を探して、その地域で一番安い宿に泊まった。
1泊2000~3000円どころやない。一番安かったドヤは、日本円で1泊500円や。シャワーはお湯なんて出なくて、汚れた水しか出ぇへん。トイレも個室やなくて、汚い共同トイレやった。そこにはカネがなさそうな外国人のバックパッカーしかおらず、うらぶれた感じで雰囲気も相当ヤバかった。
そこで暮らしながら、不思議なことに俺はすこしワクワクしとったんや。20代のころ、インドネシアのバリに3カ月滞在したことがある。ゴージャスなコンドミニアムになんて泊まれるわけもなく、1泊500円もしないような汚い宿を泊まり歩きながら、気ままな旅やった。
「とりあえず誰かと友だちになれば、今日は生きていけるやろ」
そう思いながら、そのへんでフラフラしている外国人に話しかけて友だちになり、メシをおごってもらったりしたもんや。
せやけど自由気ままだった若いころとは違って、俺は50歳の逃亡者や。観光客気分でレストランに出かけ、美味いモンを食べることなんてできん。近くのスーパーマーケットに出かけて、できるだけ腹持ちするコンビーフの缶詰なんかを買ってくる。それをちょっとずつ分けて食べ、なんとかその日の空腹をしのいだ。
俺があまりに貧乏やから、不憫に思ったのやろう。共同部屋にいた外国人が、自分のメシを分けてくれたこともある。人間、困ったときはお互い様や。外国人としゃべれば、英語力も上がる。人間、失うもんがなくなったらある意味強い。物事をネガティブにとらえればキリがない。どうせ俺には何にもない。カネも人も信用もすべてなくなってしもうた。無理やりにでもポジティブに考え、生きていくほかないんや。


日当3000円の日雇い労働で糊口をしのぐ

海外へ逃亡した当初は、まさか今のように YouTuberとして独り立ちできるとは思ってへんかった。海外で商売をやるにしても、初期資金はどうしたって必要や。もともとやってたアパレル業をやるにせよ、中古車販売業なり飲食業なりをやるにせよ、頭金を貯めなアカン。
いずれにせよ、何でもいいから仕事を始め日銭を稼がなどうしようもなかった。にしろ出国時に手元にあったキャッシュは、110円のジャリ銭と親戚から借りた10万円だけやったわけや。呑気に生きていたらまた一文無しに逆戻りや。
日本の建設現場で働く解体工や肉体労働者の顔を眺めてみると、親方や現場監督以外は多国籍軍や。インド人やイラン人、ベトナム人など、いろんな国籍の肉体労働者が元気に仕事をしておる。
海外も日本と同じや。ネットで調べてみると、ドバイでも日雇いの仕事なんていくらでもあった。労働ビザを取得して出国してきたわけやないから、仕事をしているのが見つかったら国外追放や。そんな法律論なんて脇に置いて、「今日すぐに働けるか。 よっしゃ。今から来い」と言ってくれる現場がそこらじゅうにあるもんや。
大食堂の厨房なんて、皿を何百枚洗っても洗っても、次から次へと食器が運びこまれてくる。立ち通しでひたすら皿を洗う仕事なんて、誰だってやりたがらへん。その仕事を俺がやればええんや。
建設現場の日雇い仕事は、すこしだけ緊張した。昔の山谷みたいに、日雇い仕事を求めるオッサンを車に乗せて、どこだかわからない現場にブオーッと連れて行かれるんや。変な車が迎えに来て、事情を抱えた各国の仲間たちと乗りこんだときには「俺、 もしかして今さらわれてねえか。このまま殺されるんちゃうか」とドキドキした。車から降ろされると、そこは肉体労働の現場やった。
日本とは物価が違うから、1日12時間働いても日本円で3000円程度しかもらえない。それでも満足やった。1日3000円あれば、500円のゲストハウスに泊まってメシが食える。とりあえず生きてはいける。
せやけど、そんなふうに真面目に仕事しながらすこしずつ借金を弁済しようにも、金額が金額や。日当3000円じゃ、毎日休まず働きまくったところで、とても借金弁済するどころやない。
体じゅう汗とホコリと垢まみれになって働きながら、この状況から脱出せなどうしようもないと思った。


暴露系 YouTuber ガーシーの誕生

日本からもってきた10万円はとうに尽きていた。 日雇い仕事も、いつまで続くかわからん。第一、俺はもう50歳や。体を使うキツイ仕事に、どこまで耐えられるかもわからへん。朝から晩まで皿を洗ってたら腰も痛いしヘトヘトや。
そんな先の見えない状況の中、人づてに暴露本の出版オファーが来た。「暴露本出したらこれくらいのオカネになりますよ。やりましょうよ」とその人は言ってくれた。
でも俺はまだタレント連中のことを友だちだと思っていたし、アテンダーとして墓場までもっていくと決めたことを世に出すのは違うと考えて断った。
そのまままったく状況が改善されず年末年始を迎えた。俺は久しぶりにタレントたちに連絡をした。そしたら返ってきたヤツが数人やった。あとはもう返ってこんかって「やっぱ俺のことはもう関わってはいけない人間だと思われてるんやな」と確信した。そう思ったときに、「もうええわ」と俺の中で何かがプツリと切れた。
俺はコイツらがさんざん困ったときに警察事であろうがヤクザ事であろうが全部間に入ってきた。たしかに俺は悪いことした。けど、助けてまでは言わんけど「大丈夫?」のひと言くらいは人として言えるやろ。
それも言う気ないねんなら「もうええわ、コイツら友だちでも何でもないわ」と思ったんや。
「俺の頭の中には、世間の人が誰も知らん芸能界の闇が詰まっとる。これをカネにしたらええやん」
異国の地で日雇いの仕事をしながら心も体も限界に近づいていた。手持ちのカネも残りわずかや。
「東谷義和のガーシーch」を初めて収録した当時、俺はバイト先の日本料理店の寮に住んでいた。モロッコ人と相部屋や。
初期の俺のチャンネルは、まるでアジトに潜伏しているような怪しい雰囲気が漂っておる。脂汗で黒い肌はテカテカに光っていた。あれは演出やない。リアリティショーどころか、逃亡者のリアリティそのものやったんや。
ここから第二の人生が始まる。手のひら返した連中を全員めくったる。
俺は YouTubeの録画ボタンを押した。そんな俺を見てモロッコ人がニヤニヤしていた。
「しーっ、お前しゃべんなよ。Don't speaking! 絶対しゃべんなよ!」
モロッコ人の同居人は、俺が日本語で何をしゃべっているのか、てんで意味がわからない。スニッカーズをかじりながら、そいつは動画を収録している俺の様子を物珍しそうに眺めていた。この動画が芸能界に爆弾を落とし、日本中を騒然とさせているとも知らずに――。

 

(このシリーズおわり)

 


解説
人づてに暴露本の出版オファーが来た。「暴露本出したらこれくらいのオカネになりますよ。やりましょうよ」とその人は言ってくれた。
でも俺はまだタレント連中のことを友だちだと思っていたし、アテンダーとして墓場までもっていくと決めたことを世に出すのは違うと考えて断った。

最初はそう言って、友達の秘密を暴露することを良しとしなかったガーシーですが、結局はいろいろ言い訳をしながら、カネのために、「ガーシーch」をはじめ、友人、知り合いの秘密を暴露します。

そんな動画に多くの人々が惹きつけられたのが、日本人として情けない気がします。
私は、一切見ていません。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(23)

2023-12-25 01:14:11 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
■第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第1章 逃亡者
□ポケットの中で握り締めた110円のジャリ銭
□ギャンブル依存症がハマる「カネの底なし沼」
□やめたくてもやめられない 俺を破滅させた博打
□一晩1000万円が動く裏カジノが主戦場
□YouTuberのヒカルのギャラ
□ギャンブルで自殺した俺のオヤジ
□雪山で大酒を飲んで死ぬつもりだった
■下4ケタ「1234」 西淀川警察署からの不在着信
■PCR検査へ急げ 秒速で国外脱出
□1泊500円のゲストハウスを泊まり歩く
□日当3000円の日雇い労働で糊口をしのぐ
□暴露系 YouTuber ガーシーの誕生

 


下4ケタ「1234」 
西淀川警察署からの不在着信

ヒカルのアンポンタンが YouTubeで俺の実名をさらしたのは、2021年12月のことや。それまで27年にわたって、「東谷義和」という本名はマスメディアにもネッ トにもまったく出てこんかった。
読者のみんなは知らんやろ。芸能界でキナ臭い事件が起きるたび、俺の存在は週刊誌やスポーツ紙でチラホラ見え隠れしていた。ただし「アパレル会社社長」とか「X」とか、毎度匿名や。一応、一般人やからな。
ヒカルが俺の実名をバラしたせいで、ネット民はすぐさま犯人探しを始めた。俺のプライバシーをさらすのならまだしも、オカンが暮らしている実家の住所まで暴かれた。ヒカルが引き金を引いてネット民が俺の家族の身元調査まで始めた。ストーカーまがいの人間が実家にピンポンまでするようになった。そのせいで、オカンの顔を見に実家へ帰ることすらできなくなってもうた。
iPhone の電源をつけっぱなしにしていると、週刊誌記者なのか誰か知らんが、次々 と知らん番号から着信が入る。煩わしいので、誰とも連絡取らんとこうと思ってiPhone の電源も切った。ヒカルのせいで世間から攻撃されて孤立した俺は、これか らどうしていいかもわからず、三途の川の縁をさまよっていた。
逃走中のあのころは、俺が生きてきた50年の人生の中で一番ヤバかった。借金や弁 済金を返すアテもなければ、収入源も途絶えたままや。
このまま行ったら、精神的に追い詰められて強盗でもしてしまうんちゃうか。そんなことをして人に迷惑をかけるくらいなら、死んだほうがマシや。ネガティブな思考にとらわれて、毎日悶々と過ごしていた。
iPhone の電源を切っていると、次に電源を入れたときに不在着信の通知が出る。知らん番号からまた着信履歴があった。番号の下4ケタは「1234」や。「警察ちゃうか」とピンと来た。裏稼業に関わったことがある人間なら皆知っとるが、警察署の電話番号は下4ケタが「0110」か「1234」と決まっている。
この番号は、いったいどこの警察や。ネットで調べたら、西淀川警察署からの着信やないか。ヒカルは「ガーシーが自分の名を騙って詐欺をやった」と西淀川警察署に被害届を出した。その被害届が受理されたとすると、逮捕されるかもしれん。焦った俺はすぐさま知り合いの弁護士に相談した。
「西淀川警察署から着信があったんですわ。万が一逮捕されたらどうなりますか」 「借りたカネを全額弁済すれば、仮に起訴されたとしても無罪の可能性は高いです。借金を返し終わってしまえば、被害者がいないことになりますからね」
「万が一起訴されて有罪になって、執行猶予がつかなかったらどうなりますか」
「東谷さんの案件だと、最悪5年刑務所に入ることになります」
俺は今50歳や。ここから刑事裁判を受けて、5年も刑務所にブチこまれたら人生終 わる。詐欺で逮捕され、アテンダーとして信用も失った俺が、55歳がシャバに出ていったい何ができんねん。ともかく今警察に逮捕されるわけにはいかん。カネを借りた状態になっている全員と話をつけて、なんとか示談にもちこまなアカン。
今やったらまだ逮捕状も出とらん。だったら国際線に乗りこもうとしたところで、イミグレ(出入国管理)で止められることはないはずや。逮捕したくてもできんように、ガラ(身柄)をかわそう。逃げるんや。それもうんと遠いところへ。


PCR検査へ急げ 
秒速で国外脱出

2022年5月、6月と時間が経つにしたがって、世界各国は外国人観光客の移動制限にどんどん規制緩和をかけていった。2021年12月の時点ではまだパンデミッ クの余波は収まらず、国境をまたいだ移動は自由やなかった。
国によっては、ビジネス用の渡航を証明するために駐日大使館でビザを取得せなアカン。日本政府が緊急事態宣言を出している最中なんて、どこの国も警戒して、ビザを申請してから2週間どころか1カ月も延々と待たされたそうや。
西淀川警察署からの不在着信に気づいたのは、午後2時頃やった。「あっ、ヤバッ」とピンと来た俺は、犯罪人引渡条約がなく、ビザナシでいきなり渡航できる国を探した。ただしその国に入るためには、渡航直前に日本国内で取得したPCR検査の陰性証明書が必要やった。
最速で結果が出るPCR検査はどこで受けられるんや。ググってすぐにクリニックへすっ飛んでいって検査を受け、その日のうちに陰性証明書を取得した。その足で国際線に飛び乗ることにした。
その当時、俺は身柄を隠すためにあちこちを転々としてた。詳しくは言えんが、都会には逃亡者が身を隠す場所なんてたくさんある。1泊500円で泊まれるドヤ(簡易宿泊所)に転がりこめばええんや。まともなホテルになんて泊まろうもんなら、フロントまわりに監視カメラが張りめぐらされていてガンクビ(顔写真)を記録されてまうし、フロントで住所や名前も書かなアカン。
その日暮らしのようなギリギリの生活を送る中で警察からの着信。PCR検査を速攻で受け、その日の夕方には国外に逃亡した。
一息ついて油断なんてしようもんなら、いつ逮捕状が出るかわからん。極端な話、全国指名手配なんて喰らったら、絶対に国際線なんて乗られへん。
飛行機に乗って海外に抜けちまえば、あとはこっちのもんや。日本国外に出てしまえば、警察が国境をまたいで追いかけてきて、外国で俺にワッパ(手錠)をかけることなんて簡単にはできん。犯罪人引渡条約がなければこっちのもんや。
旅行カバンなんてない。荷物は手さげバッグひとつにパソコンが入っているだけやった。着替えなんてない。文字どおり身ひとつで、俺は生まれ育った日本からスパーンと脱出した。

 


解説
その日暮らしのようなギリギリの生活を送る中で警察からの着信。PCR検査を速攻で受け、その日の夕方には国外に逃亡した。
一息ついて油断なんてしようもんなら、いつ逮捕状が出るかわからん。極端な話、全国指名手配なんて喰らったら、絶対に国際線なんて乗られへん。
飛行機に乗って海外に抜けちまえば、あとはこっちのもんや。日本国外に出てしまえば、警察が国境をまたいで追いかけてきて、外国で俺にワッパ(手錠)をかけることなんて簡単にはできん。犯罪人引渡条約がなければこっちのもんや。

国内で犯した罪を償うこともせず、無責任に海外に逃亡するガーシーですが、なにやら自慢げに話していますね。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(22)

2023-12-24 01:54:23 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
■第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第1章 逃亡者
□ポケットの中で握り締めた110円のジャリ銭
□ギャンブル依存症がハマる「カネの底なし沼」
□やめたくてもやめられない 俺を破滅させた博打
□一晩1000万円が動く裏カジノが主戦場
□YouTuberのヒカルのギャラ
■ギャンブルで自殺した俺のオヤジ
■雪山で大酒を飲んで死ぬつもりだった
□下4ケタ「1234」 
□PCR検査へ急げ 
□1泊500円のゲストハウスを泊まり歩く
□日当3000円の日雇い労働で糊口をしのぐ
□暴露系 YouTuber ガーシーの誕生

 


ギャンブルで自殺した俺のオヤジ

ここまでギャンブルに狂っていると、『闇金ウシジマくん』のような黒いカネ貸しから借金していたと思う読者もおるやろう。実際、そういう噂も週刊誌やネットによく書かれる。
けど俺はウシジマくんのような半グレのカネ貸しには手を出さへんかった。そこに手を出したら、いよいよ命がなくなる。そのことを身をもって知っていたからや。俺のオヤジも実はギャンブル依存症やった。
ギャンブルで頭がイカれていたオヤジは、闇金からけっこうなカネを引っ張っていたらしい。「トイチ」(10日で1割)だか「トサン」(10日で3割)だか「トゴ」(10日で5割)だか知らんが、法外な金利を吹っかけられてもカネを借りねばならんアホがおる。ウチのオヤジもそうやった。
オヤジは高校教師で、闇金から学校まで追いこみをかけられ「もう終わりや」と観念したんやろう。オヤジは自殺してもうたんや。
オヤジが死んだあと、携帯電話に闇金からガンガン電話がかかってきた。
「お前があのドアホの息子かいな! お前がオヤジの代わりに貸したカネ返さんかい!」
向こうがどんな脅しをかまそうが、何をしようが関係ない。怒りの絶頂に達した俺はブチギレまくった。
「うっさいドアホ! カネを回収する前に客死なせてどうすんじゃい! この無能なカネ貸しが! 来い。今すぐ来い。俺がお前らと直接話つけたるわ!」
啖呵を切ったが、喪中の我が家にズカズカ乗りこんできた闇金は一人もいなかった。向こうはすでに、貸金業法の上限をはるかに上回る利息をオヤジから巻き上げ、元金 以上をとっくに回収しとる。
自殺でオヤジを失った俺は、警察に駆けこんで「あのクソ闇金を捕まえんのか!」と大暴れした。だが警察は何もせん。「博打に狂って闇金から借金するようなアホは、クズがクズからカネを借りとるようなもんや」と鼻で笑っとるんやろう。


雪山で大酒を飲んで死ぬつもりだった

マッケンから借りた6000万円を熔かし、ヒカルをダシにして作ったカネを熔かし、BTSがらみで作った数千万円もまた熔かす。ギャンブルにハマりすぎていよいよカネがなくなったとき、俺はホンマに死のうと考えた。生まれて初めて本気で自殺を考えた。
警察に死体が見つかって回収されると、変わり果てた息子の姿を見て母親が悲しむ。いろいろ考えた結果、「行方不明」という状態のままひっそりと死ねたらいいと思った。そこからホンマに2カ月くらい誰とも連絡を取らなかった。文字どおり、飛んだんや。
「もう死のう」と決めてから、昔ベストセラーになった『完全自殺マニュアル』みたいな死に方メソッドをネットで検索しまくった。どんな死に方をしたら苦しまずに死ねるか。すると「雪山で酒をしこたま飲み、気絶したまま凍死するのが一番ラクな死に方だ」と書いてあった。「これや」と思った。
コンビニに行って酒を買いこんだ。その酒をもって、雪山を目指して電車に乗った。駅で降りて山に向かってトコトコ歩いていく。けど山についてみたら見事に雪解けしとった。雪山に雪が1ミリも積もっとらん。俺がギャンブルにかまけとる間に、冬はとっくに終わって、雪なんて山に残ってなかった。こんな間抜けなコメディがあるかいな。これじゃいくら酒をかっ喰らったって死なれへん。アホちゃうか。
「博打で破滅するのは東谷家の血筋なんかな。博打のせいで自殺したオヤジのDNAが俺に刷りこまれとるのかもしれんな」
山に出かけるまで、俺は完全に人生を投げ出してた。そんな俺を思いとどまらせたのは、天の采配かもしれん。あのとき山に雪が降り積もっていたら、俺は気絶するまで飲めない酒をかっ喰らって凍死していたはずや。
雪山での凍死に失敗しても、電車に飛びこむとか高層マンションから飛び降りるとか、方法はいくらでもある。最終的に俺が死を選ばなかった理由は友人や。実は俺は、 自殺をするということを、島田紳助さん、「FC2」の高橋理洋さん、UVERworld のTAKUYA∞と一般人の友だち3人にだけLINEをして、そのまま電話がつながら ない状態にしていた。
雪山での自殺が未遂に終わって「これはまだ生きろってことなんかな」と混乱した頭で思いながらコンビニに入った。その瞬間スマホがコンビニのWi-Fi を拾ってしまい、 TAKUYA∞から電話がかかってきた。
「お前のオヤジさん、博打のせいで死んだんやろ。オヤジさんが亡くなったとき、お母さんがどれだけ悲しく苦しい思いをしたか。実の母親に同じ悲しみを二回も味わわせるな。博打のせいでお前まで死んだら、お母さんメチャメチャ悲しんで立ち直れんようになるぞ!」
この言葉のおかげで、俺はギリギリ、自殺という選択肢を捨てて踏みとどまれたんや。オカンのところへ顔を出し、今自分が置かれている状況を正直に報告した。
「オカン、ゴメン。ギャンブルのせいでオカネ全部なくしてもうたんや」
オヤジと同じ道をたどった息子を前に、オカンは涙を流すよりも先にブチギレた。 「アンタはなんてバカ息子なんっ!」
雪山で遭難死していたら、オカンの叱責をこうして聞くこともなかった。なんて情けない息子なんや。情けなくて悲しくて、自分で自分を殴ってやりたくなった。

 


解説
「お前のオヤジさん、博打のせいで死んだんやろ。オヤジさんが亡くなったとき、お母さんがどれだけ悲しく苦しい思いをしたか。実の母親に同じ悲しみを二回も味わわせるな。博打のせいでお前まで死んだら、お母さんメチャメチャ悲しんで立ち直れんようになるぞ!」
この言葉のおかげで、俺はギリギリ、自殺という選択肢を捨てて踏みとどまれたんや。

ガーシーの不思議なところは、TAKUYA∞のような本当にいい友達を何人も持っていたところですね。
なんにせよ、TAKUYA∞の電話で自殺を踏みとどまることができたガーシーでした。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(21)

2023-12-23 01:54:50 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
■第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第1章 逃亡者
□ポケットの中で握り締めた110円のジャリ銭
□ギャンブル依存症がハマる「カネの底なし沼」
□やめたくてもやめられない 俺を破滅させた博打
■一晩1000万円が動く裏カジノが主戦場
■YouTuberのヒカルのギャラ
□ギャンブルで自殺した俺のオヤジ
□雪山で大酒を飲んで死ぬつもりだった
□下4ケタ「1234」 
□PCR検査へ急げ 
□1泊500円のゲストハウスを泊まり歩く
□日当3000円の日雇い労働で糊口をしのぐ
□暴露系 YouTuber ガーシーの誕生


一晩1000万円が動く裏カジノが主戦場

「BTSに会わせる」詐欺事件は、俺にとってギャンブル依存症の末期やった。その 前から、すでに破滅への兆候はあった。
YouTube の「東谷義和のガーシーCh」を見て、すでに知っている読者も多いと思う。 2020年2月、俺は俳優の新田真剣佑(以下、マッケン)から6000万円を借りた。アテンダーとして世話をしていたマッケンに頼みこみ、博打の種銭を借りたんや。
ギャンブルで一山当てれば、6000万円であろうが1億円であろうが必ず返せるはずや。そう信じていたから、拇印つきの手書きの借用書を作った。2021年10月31日を期日として、借金は全額弁済することを約束した。残念ながら博打での一発逆転はかなわなかった。
マッケンから6000万円を借りた当時は、完全にヤキが回っていた。数千円でも数万円でもかき集めたい。カネさえあれば絶対に巻き返せると信じて、実際は負け続けていた。
俺はよく、横浜の裏カジノで麻雀をやっていた。その店のオーナーも麻雀好きやったから、赤坂で毎週水曜日の夜に麻雀大会があった。麻雀大会のレートはクレイジーやった。なにしろ一晩で500万円から1000万円が動くんや。それだけ勝つこともあれば、負けることもある。
1000万円負ける可能性があるということは、負けたときの支払い1000万円をあらかじめ手元に準備しておかなアカン。そんでも俺の財布には、たった5万円しか入ってなかった。「ここで勝たな終わるな……」。首の下が脂汗でグッショリになりながら、涼しい顔して麻雀牌を打つ。
とんでもなくデカいレートの麻雀へ繰り出すときは「鉄砲」や。「鉄砲」って意味わかるか? カネをもたずに賭場に入ることや。「鉄砲」状態で勝負してたまたま勝てばシャンシャンだが、負けることだってある。
1000万円の裏カジノで麻雀をする相手が単なるカタギなわけはない。ここで勝たな殺される。俺の人生ここで終わりや。これ、負けたらどうなるんやろな。殺されはせんとしても、バチバチにシバかれはするやろなあ。怖い人がひしめく事務所に連れて行かれて「何さらさらしとんじゃワレ! どないするつもりや!」とシバかれるはずや。そのままバンに押しこまれてさらわれ、カネを返すアテを1軒ずつ訪ねることにもなりかねん。
そんなヤバイ状況に怯え震えながら麻雀をやるときのヒリヒリ感はたまらんで。ホンマ脳内で、ドーパミンだのエンドルフィンだのドバドバ分泌されている音が聴こえてくる。「鉄砲」のヒリついた状況で、最終的に勝負に勝ったときの興奮はハンパやない。
「鉄砲」を生き抜いて、そこで数百万円勝ったとするやん。よっしゃ、これで借金返 そうとはならんねん。
赤坂の麻雀で勝ったカネは、すぐに横浜の裏カジノで消えてしまう。寝ても覚めてもギャンブルのことしか考えられへん。毎日ギャンブルをしとかないとアカン体になってしもうた。


YouTuberのヒカルのギャラ

YouTuberのヒカルをダシにして、ギャンブルの資金を作ったこともある。ヒカル関連の、とある仕事の話を俺がつけた。契約が成立し、まずクライアントから俺のところにカネが入ってきた。マージンだけ抜いてヒカルの事務所に払わなアカンこのカネもまた、ギャンブルで溶かしてもうた。
カネがゼロになるどころか、マイナスになってもギャンブルをやめられん。ギャンブル依存症の末期は、1円でも多く種銭がほしくて、ただただ必死やった。質種になりそうなブランド品なんて、残らず質屋に放りこんだ。最後のほうは、上着1枚にズボン1本、靴も1足しかないような状況になるまで、カネ目のものは残らず質屋にもっていった。そうしてカネができると、すぐさまキャッシュを握り締めてカジノに繰り出すわけや。
あのころは、自分の人生の中でこんなにギャンブルにハマったことがないというくらい、完全にギャンブルにハマりこんでいた。なぜそのゾーンまで入りこんでもうたのか、理由は自分でもわからん。気がつかんうちに、頭のてっぺんまでぬかるみに浸かりこんでいた。
しかも2020年から2021年にかけて、新型コロナウイルス感染症と緊急事態宣言のせいで、芸能人はステイホームや。周りに友だちがあまりいない状況が続いた。俺が置かれたヤバイ状況を友だちが知っていれば、羽交い締めしてでも止めてくれたはずや。
自分の力では止められへん。もう沼から這い上がれないくらい負けが込んでいたのに、誰も助けの手を差し伸べてくれへん。コロナがあったことで、余計にキツイ状況に追いこまれた。

 

 


解説
俺は俳優の新田真剣佑(以下、マッケン)から6000万円を借りた。アテンダーとして世話をしていたマッケンに頼みこみ、博打の種銭を借りたんや。……借金は全額弁済することを約束した。残念ながら博打での一発逆転はかなわなかった。

ここ、重要です。
ガーシーは真剣佑に博打の種銭として6000万円を借りた。
しかし約束の期日までに返済できなかった。
その後も、借金を返済したとは聞いていません。
そのくせ、ガーシーCh では、「手のひらを返して付き合いを断った俳優」として、真剣佑の秘密を暴露したわけです。
真剣佑にしたら、迷惑な話ですね。
当時、真剣佑は金銭的に余裕があったわけではないと思います。
だからこそ、ガーシーに紹介されたステルス広告のアルバイトなどに手を染めたのでしょう。
真剣佑は、6000万円をなぜガーシーに貸したのでしょうか。
何かをネタに脅されたのでしょうか。
そのお金は事務所から借りたのでしょうか。
なら、ガーシーの詐欺疑惑が明るみに出た時に、事務所から「もうガーシーとは付き合うな」と言われたとしても当然でしょう。
それを、「手のひらを返しやがって」と逆恨みしたガーシーは、醜悪です。


YouTuberのヒカルをダシにして、ギャンブルの資金を作ったこともある。ヒカル関連の、とある仕事の話を俺がつけた。契約が成立し、まずクライアントから俺のところにカネが入ってきた。マージンだけ抜いてヒカルの事務所に払わなアカンこのカネもまた、ギャンブルで溶かしてもうた。

ここも重要です。
ガーシーは、ヒカルの事務所に払うべき金をギャンブルにつぎ込んでしまった。
詐欺行為と、ヒカルに批判されても当然でしょう。
それなのに、ガーシーCh では、真っ先にヒカルを批判した。
それは、有名人ヒカルを叩くことでガーシーCh の視聴者数を上げるためだった。

どこまでも自分勝手なガーシーです。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(20)

2023-12-22 01:45:37 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
■第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第1章 逃亡者
□ポケットの中で握り締めた110円のジャリ銭
■ギャンブル依存症がハマる「カネの底なし沼」
■やめたくてもやめられない 俺を破滅させた博打
□一晩1000万円が動く裏カジノが主戦場
□YouTuberのヒカルのギャラ
□ギャンブルで自殺した俺のオヤジ
□雪山で大酒を飲んで死ぬつもりだった
□下4ケタ「1234」 
□PCR検査へ急げ 
□1泊500円のゲストハウスを泊まり歩く
□日当3000円の日雇い労働で糊口をしのぐ
□暴露系 YouTuber ガーシーの誕生


ギャンブル依存症がハマる「カネの底なし沼」

俺が暴露系YouTuber に転身した理由は単純。博打や。ギャンブルのせいや。
ギャンブルと言ってもいろいろある。競馬、競輪、競艇、宝くじみたいな公営ギャンブルには興味がない。チマチマとしたカネしか動かんパチンコなんかじゃ、全然燃えへん。
裏の鉄火場、違法カジノで麻雀とバカラをやっているときしか、俺の脳髄は興奮せえへんかった。完全にギャンブル依存症や。頭の中では、寝ても覚めてもバカラのトランプが渦巻いてる。夢の中にまで麻雀牌が出てきて、寝てても麻雀やバカラが終わらんのや。
薬物にハマる人も、浴びるほど酒を飲んで酔っぱらわないと眠れん人も、セックスを1日3回キメないと性欲が満たされへん人も、共通する特徴がある。ジャンキー(中毒者、常習者、常用者)の欲望は、いつまで経っても満たされへん。
ギャンブラーにとって大切なんは、勝負に勝ってカネを得ることじゃないねん。目の前の勝負に勝ったら、その次も、そのまた次も勝ち続けたい。持ち金が全部スッテンテンになったらなったで、そこから起死回生の逆転をしてのし上がりたい。
勝ち負けを延々と繰り返しながら、とにもかくにもギャンブルを永遠に続けたい。 ギャンブルをやっていないときも、頭の中であのヒリつきと興奮が片時も忘れられん。ギャンブルなしには生きれん体になってもうたんや。
「お前ら、俺が話通すからBTSに直接会わせたるで」
そう約束して女の子からカネを集めたのは、最初から詐欺をやろうと思ったからやない。27年もアテンダーとして活動してきた俺には、芸能界の表も裏も、クリーンなところもダークなところも、真っ黒けなところも含めて人脈がある。あらゆるルートを駆使してツテをたどれば、彼女らを本当にBTSに会わせる自信はあった。けど、こんな簡単にカネが入ってくるのかと喜んですぐにギャンブルに使ってしまった。
もちろんそのカネに手をつけたらアカンことは、理性ではわかっちゃいる。わかっちゃいるねん。悲しいかな、ジャンキーの脳みそは理性や知性ではコントロール不可能なんや。
「このカネにだけは手ぇつけたらアカンで。人のカネやんか」とわかっとるのに、預り金をバカラに突っこんでしまうんや。
「大丈夫。勝てば取り返せるやろ」
やったらアカンとわかってるのにどんどんどんどん札束をバカラに突っこんでしもうたんや。


やめたくてもやめられない 
俺を破滅させた博打

ギャンブル依存症にとっては、10万円の種銭で勝負するのも100万円の種銭で勝負するのも本質的には変わらへん。極端な話、一張り1000万円のバカラであろうが一張りは一張りなんや。
100万円の種銭を手に、違法カジノに毎日せっせと通ったとするやん。負けが込むにしたがって、使えるカネはどんどん目減りしていく。タンス預金やヘソクリかき集め、腕時計や何やら、カネ目のものは何でも質屋にもちこんでカネを作る。種銭が10万円になっても、5万円まで目減りしても「なんとかなるやろう」思ってカジノに通ってまう。
うんとわかりやすく言うと、バカラとは要するに丁半博打や。出目が丁と出るか半と出るか。こっちの読みどおりになれば、手元の5万円は10万円、10万円が20万円……と倍々ゲームでカネは増えていく。「20万円が40万円、40万円が80万円になれば、次はいくらや。5回連続で勝ったら100万超えやないか」。そんなふうに単純計算してまうんや。
「なんつうアホなことをやっとるんや。1000万円なり500万円なり勝ったところで、そこをゴールと決めてスパッと勝ち逃げすりゃええやないか」
博打に関心がないヤツはそう思うやろ。でもギャンブル依存症は、勝ってもやめられへんのや。ある程度勝ったところでやめるようなら、そもそもギャンブルにハマってへんねん。
「まだまだ」「もっとや」と延々とやり続けるうちに、カネを全部溶かしてまう。手元にある札束を熔かすまでやりきらんことには、やめられへんのや。
けど今回の失敗は、さすがにめっちゃこたえた。これはただの負けちゃう。「BTSに会わせる」と約束して人から預かったカネを全部熔かして、ホンマにすべて失ってしもた。アテンダーとして一番大切なのは信用や。その信用をすべて失う大チョンボや。俺にカネを預けてくれた皆さんには、心から申し訳ないと反省してる。
もう絶対にギャンブルはやらへん。俺はそう決意した。せやから、この本を書いてる今はカジノがないドバイにおる。日本には建前上カジノがないことになっとるが、公営ギャンブルもあれば、違法カジノだっていっぱいある。日本におる限り、どうしたってギャンブルから逃れられへんのや。
ギャンブル依存症を治す施設に入所して、それがホンマに効くのであれば喜んで入所する。自分の意志では博打をやめられへん。俺は苦しくてたまらんかったんや。

 


解説
ガーシーは立派なギャンブル依存症(ジャンキー)だったのですね。
典型的なギャンブル依存症の病態を、みずから描き出していますね。

依存症は病気です。
適切な医療を受けて治療したうえで、社会復帰するべきでしょう。

獅子風蓮