「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

空港運用時間延長のために年間6億円の補助金

2015-03-26 21:15:00 | 雑感
ホームページ本体の方は更新していますが、こちらの方がおろそかになってしまい、久しぶりの更新です。
今日は今朝の新聞各紙が取り上げていた静岡空港の運用時間延長のことと、あす県議会で採決が行われる新教育長人事について、感想を述べたいと思います。

まず、先ほどホームページの方に「平成27年度予算 空港隣接地域賑わい空間創生事業費」を掲載しました。
これは、当初は開港から5年間の約束で騒音施設の空港を誘致した地元に特別な補助金を県が出すというもので、本来ならばこの3月で終了するはずのものでした。

ところが、来年度も引き続き、というよりもさらにパワーアップして、なんと6億円もの補助金を平成27年度に予算に計上してきたのです。
さらに、この補助金、今度は10年間続けるそうです。

そして、その口実に使われたのが、運用時間の延長です。
これまで、朝7時半から13時間だったものを、朝7時から夜10時までの15時間にしようというものです。
ここで、補助金を継続して欲しい地元と、運用時間を延ばしたい県の思惑が一致したのです。
地元は、騒音だけもらうのはおかしい、金を、と要求し、結果6億円もの補助金で手が打たれたのです。
いわば、365日間の2時間延長を6億円で買ったようなものです。

百貨店が客からの要望があっても夜遅くまでやらないのは人件費や光熱費の増加に対して売り上げは伸びず採算に合わないからです。
空港は採算無視で良いのでしょうか。
運用時間延長にこれだけのお金をつぎ込むほどの公益性が認められるのでしょうか。
異常な状況としか見えません。
次に、明日採決が行われる新教育長人事についてです。
ご存知の方も多いでしょうが、これまでの経緯を振り返りますと、3月2日の県議会総務委員会で何事もなく可決した知事提出の新教育長議案が、3月18日の県議会総務委員会では一転して否決されたというものです。
この原因は2月27日に新教育長の過去の犯罪歴に関する匿名の投書が教育委員会にあり、同日知事に伝達したにもかかわらず、このことが県議会側に隠蔽され可決され、そのことが可決後に議会側に知れ、再審議した結果、否決となったわけです。

知事は早速、記者会見で、議会側が経歴について問題視していることを「針小棒大にしている」と非難しましたが、県議会側はこれだけを理由として否決したわけではないように思います。

新教育長候補の委員会での質問と噛み合わない発言、その前日に候補者が行った記者会見での不遜な発言、これらは過去の罪を全部差し引いて消しても、この人でいいのかと思わせるものでしかなかったからです。

中でも一番違和感を覚えたのが、「教育長にふさわしいのは自分しかいない」という趣獅フ発言です。
私が私がというのは最近の流行りなのかもしれませんが、和光同塵の美しさも感じられません。
また、犯罪者をかばったことを「誇りに思う」という発言も時代錯誤の感が強く、法治国家の教育者としては如何なものか。知事はこれを「人助けから行ったことで、武士道的な人柄が表れている。人生の勲章だと思う」と称賛したそうですが、武士道的なものなら、むしろ、自ら身を引く覚悟があってしかるべきというものでしょう。その覚悟がないままでやったというのなら、武士道どころか単なる保身のための言い訳に終始する小人というべきです。

先週の週刊ダイヤモンドでは県民アンケートによる知事の支持ランキングが掲載され全国20位と振るわない結果となっていましたが、これでは、ますます落ち込む一方となりそうです。
他に対抗できる人物も見当たらないからと安心しているのかもしれませんが、気を引き締めて真っ当な行政をやってもらいたいものです。

究極の税金バラマキ「空港アクセス向上事業」

2015-03-09 22:23:00 | 雑感
最近、新聞・テレビなどで大きく広報宣伝している格安乗合タクシーによる静岡空港のアクセス改善。
これについては、片道1人1,500円で浜松市内と静岡空港を乗合タクシーで結ぶというもので、既に3月1日からの5日間で46人が利用し、200人程度の予約も入っているということです。
でも、この取組にどれだけのコストがかかっているのかは不明でした。
そこで、入手した予算調書から計算したところ、片道1人当たり6,400円の税金が投入されるという事業計画であることが判明しました。(これについては、ホームページの方で詳しく説明しています。)
恐らく、利用した人も利用しようとしている人もこのことは全く知らされていない事実です。
もし、知っていたらみなさんは利用するでしょうか。
安くなるなら利用するよという人ももちろんいるでしょう。
でも、常々税金の使途に疑問を持っている人ならばそうはならないと信じたいところです。
想像力・認識力が健全ならば、予約したばかりに、往復の利用で1万2800円もの税金が本当に行政の助けを必要としている人のために使われないばかりか、借金漬けの財政の中では間違いなく次世代の負担としてつけ回されるであろうことを十分認識できるでしょうから。

これは、誰の何のための行政なのか、まるで眼中にないような税金のバラマキです。
全体が見えずにただただ言われるがまま局地戦を戦っているようなものです。
曽於上、大本営発表のとおりに不都合な真実を伝えないマスコミも実に情けない限りです。


冷静な視点と責任ある行動について

2015-03-08 17:43:00 | 雑感
さきほど「県政オンブズマン静岡 ~静岡県庁の光と闇~」に論説県施策における静岡空港の罪過をUPしました。
県から平成27年度予算の観光・空港関係予算査定資料が届いたので、今後昨年同様これを個々に紹介する前に、その前提知識として皆さんに踏まえておいてほしい事実を書いたものです。
要獅ヘ、空港の存在が県内誘客にとってアドバンテージとなっている訳ではなく、むしろ空港にこだわるあまりハンディキャップになっている現実を、空港のない山梨県との比較で検証したものです。(外国人延べ宿泊者数で、わずか3年で山梨県に大きく逆転されてしまいました)
訪日外国人数全体が増える中で、静岡空港における訪日外国人も増えているため、高揚した情緒的錯覚が起きている現状を、峻厳な現実として冷静に見つめてほしいという意図もあります。

最近、多くの事件が世を騒がせ、その度にそれ以前の出来事が世間の記憶から上書きされるように消えてゆく様を感じています。
まもなく4年目を迎える3月11日ですが、東日本大震災のように定期的に振り返られる例はまれで、多くの出来事は振り返られることなく年単位の日常からさえ忘れ去られていきます。
静岡空港問題(その施策の是非論)もまた、多くの県民にとっては同じく日常から忘れ去られた問題でしかないように感じます。

私たちは望まずにも紛争地域に暮らす人々に比べ、私事以外に無関心であっても何も欠くことがないというある意味平穏な生活環境にあるのですから、この現状もある意味「仕方ない」とも言えます。

しかし、このままでは、これら個人は確実に思考の訓練の機会を喪失して、人間としては退化していきます。
一方で正邪問わず、意思を持つ主体がその間隙を突くかのように、人々を規定する社会的関係性の環境を変えようと動いています。
特定秘密保護法、集団的自衛権、そしてシビリアンコントロールの一翼としてある文官統制の仕組みの改変など、議論を深め総括的説明の受容のないままで、我々の存在を規定するものの一つとして社会に組み込まれていきます。
繰り返される過ちの道程と同じ構造が見て取れます。

では、この道の先に不幸があった場合、それは誰の責任でしょうか。
為政者は決して本当の意味での責任を感じません。それが、民主主義システムの一面だからです。
では、有権者でしょうか。
これも固有の個人に還元され得ないので本当の意味での責任は感じません。

かつての戦争責任もまた同様で、A級戦犯として処罰された人にあっても、(敗北責任は別として)戦争責任を感じて処罰を受け入れたわけではありません。

ここで、責任を感じその結果を受け入れるという主観と責任をとらせるという客観とは峻別すべき事象です。
同じ「責任」という言葉を使いながら話がかみ合わないのはこの別を認識していないことにあります。

このことは、さきに起きたISIによる人質事件の際の政府側からの「自己責任」論争に顕著です。
政府側から言うとき、それは自己の責任を回避・軽減するための後者の意味「責任をとらせるという客観」の意味が強く見て取れますが、一般の人が言うときはある意味主体的個人行動の結果として受容されるべきという自身の信念の投影としての前者の意味「責任を感じその結果を受け入れるという主観」として発言されているように思います。

つまるところ、我々が他者に対して責任を問うとは、後者の「責任をとらせるという客観」という意味においてしかあり得ないのであって、それは現実的には法律上の刑罰であったり、選挙を通じての落選などで行使するしかないわけです。
実際、最近国会で問題になった補助金企業からの政治献金についても、受け取った方が知らなかったと言えば処罰なし、元が国のお金でも天下り法人を迂回させた補充金なら問題なし、などというのは世間一般の常識からかけ離れた仕組みなのですが、これがまかり通っているのは、それが今の法律だからです。

敷衍するならば、諸物諸事象から独立した絶対的善悪などなく、我々は社会的にそれを規定してゆくしかないのです。

その社会を構成する個々の人々の認識力向上とよりよき社会環境構築に向けた不断の努力が必要不可欠であるのはそれ故です。

「投票日には有権者は寝てくれた方がいい」と言った政治家がいましたが、我々が未来に責任を感じるなら、決して寝ている暇などないのです。

県くらし・環境部、1億円補助の天下り団体で補助金不正受給発覚

2014-08-13 21:17:00 | 雑感
県は今日、8月4日に報道等で発覚した県くらし・環境部が所管する公益財団法人静岡県グリーンバンクが県内の緑化推進団体に交付した補助金の不正受給(架空の領収書を添付して補助金をだまし取ったというもの)について初めて報道提供した。
これによると、県の調べで、このグリーンバンク以外にも公益社団法人静岡県緑化推進協会などくらし・環境部所管の2団体においても補助金の不正受給が発覚したとのことである。
また、その上で、他の所管団体についても調査を進めるとともに、再発防止策を「早急に検討」するとのこと。
なお、お約束のように、補助金返還には言及していない。自分の金なら普通は返還が念頭にくるものだが、水利用課の職員の不適切事務による税金補填に際しても職員への補償に躊躇するありさまで、税金は人の金と言う意識がはっきり現れている。

くらし・環境部といえば先日の地裁判決(第1審判決、県は控訴中)で、県くらし・環境部による補助金交付について「違法な支出について故意又は過失があったと推認するほかない」と断罪されたばかり。
また、不合理な理由で未だに証拠公文書の公開がなされていない、職員の事務処理放置により厚生労働省から交付されるはずだった補助金約1億2800万円が受け取れなくなった「大井川広域水道企業団補助金不適切事務処理事件」も、くらし・環境部である。
さらに、県の部局の中で情報公開にもっとも消極的で県が自ら決めたことする守ることができなかった唯一の部が「くらし・環境部」である。
部のトップから末端まで腐食が進んだ組織風土が末期症状を表出させていると見られる。

さて、ここで冒頭に紹介した公益財団法人静岡県グリーンバンクであるが、常勤の役・職員の半数ほどが県のOBで占める天下り団体で、県からは運営補助として年間1億500万円が支給されているほかに、年間数千万円の県補助事業も実施しているのである。いわば、県職員の再雇用のために税金を投じているようなものである。なによりも問題なのは、このような団体を経由して事業を行うことにより、税金が最終的にどのように使われたのかが分からなくなる欠点(県からすれば分からなくする利点)があるということだ。公文書開示請求から逃れることができるからである。
これは、「富士山静岡空港利用促進協議会」を迂回しての航空会社、旅行会社、空港利用者個人などへの税金ばらまきの実態が不透明であることや、管理委託料という名目で「富士山静岡空港株式会社」に交付される税金の実際の使途・配分が不透明なのと全く同様の構造なのである。
使途不明金でよく問題になるイベントなどのために作られる「・・・実行委員会」などというのも、また同様である。

こういった税金迂回費消団体がどのくらいあるかであるが、国の同様の外郭団体・その他団体同様、中には表に出しにくいものもあって、恐らくはっきりと把握している者はいないだろう。しかし、10や20程度ではなく50でも済まない大小あわせれば3桁にいくのではないかと思われる。

少なくとも、税金が「最終的に」どのように使われたのか、これを県民が把握できる仕組みにしなければ、県がどのような再発防止策とやらを公言しようと、自分たちの利権の構造を自ら壊すことは考えられず、絵に描いた餅、実効性は期待できない。
こういうものこそ、選挙で選ばれた政治家がリーダーシップを発揮すべきものではないのか。
知事川勝、役人の尻馬・口車に乗って浮かれている場合ではないのである。

電通と富士山世界文化遺産

2014-08-07 23:27:00 | 雑感
今日は本の紹介と兼ねて先月部局調整費の公文書を閲覧してきた一部(広報課分)を紹介する。
最近は週に3、4冊の本を読んでいるが、先々月出版されるや読んだのが「世界遺産にされて富士山は泣いている」というショッキングなタイトルの本である。
登山家である野口健氏が著しており、肝心の内容も直言的で面白い。
票集めの人気取りや観光客目当ての経済効果など私欲渦巻く喧噪の中にあって、私欲なく現状を憂うる著者の気持ちがよく出ている一冊だ。
その中に出てくるのが「電通」という広告代理店と富士山世界文化遺産の関係である。
富士山頂の鳥居と電通の関係などの話題に触れつつ、著者は
「富士山を文化遺産として世界遺産に使用という直送は、電通から出てきたものではないかという噂を聞く。大企業に対する嫉妬、または偏見も含まれているかもしれないが、いずれにせよ日本中にある世界遺産でこれほど広告代理店が絡んだケースはいままでなかった、と自治体関係者は口を揃える。」と登録に絡んだ異様な加熱ぶりを指摘するのである。

さて、静岡県とその電通の関係はどうであろう。
県がホームページ上で公開している監査調書(事務事業実績)を見ても表には出てこない。
では、無関係かというとそれは誤りである。
表に出てこないのは、県が電通と契約する際の科目が、一般的な委託費(これは監査調書で委託先から金額、内容まで記載し公開しなければならない)ではなく、役務費(契約先など公開の義務なし)という単なる手数料類似の取り扱いとしているからなのである。
理由は広告費、つまり新聞に広告を掲載する役務(手数料)の金額が大半を占めるからというのであるが、広告代理店に明らかに「業務」を委託するのに、さすがに国にあってもそのような取り扱いはしていない。
例えば、ネット上で検索してみても、「地球温暖化防止大規模「国民運動」推進事業」においては、広告代理店の株式会社博報堂に業務を委託する契約を締結しているが、この積算内訳は、人件費240,869,000円、旅費6,470,820円、諸謝金218,000円、印刷製本費270,000円、借料損料43,015,080円、外注費187,647,560円、雑役務費(素材制作・広報媒体使用費等)2,031,428,572円、一般管理費61,509,540円及び消費税128,571,428円と、約79%を役務費が占めていても業務委託であれば委託料なのである。

さて、そもまでして隠したい広告代理店との関係の例として、平成25年度の「富士山世界遺産登録記念広報業務」について見てみよう。

金額は墨塗りされているが、これだけのものに約2千万円も投じられているのである。
この金額は、県の平成26年度当初予算の「広報・報道推進費」19,999千円に匹敵する額である。
なお、電通が選ばれたのは金額競争によってではなく、その企画内容がもっとも優れていたから単独で見積もりをして採用したというもので、ここにも不透明感がありありだ。
詳細な業務内容は末尾に添付のpdf版契約書類等の中の業務要領を見ていただきたいが、タレントをアンバサダーとして表出させたり、ウェブサイトで投票した人の中から抽選で10万円の旅行券などの商品をプレゼントしたり、新聞広告を出したり、駅に広告を掲出したりというもので、費用対効果のほどは大いに疑問なのである。

そこで、冒頭に紹介した「世界遺産にされて富士山は泣いている」の電通絡みの記述の後半部に話を戻そう。
野口氏は「過去にさまざまなイベントに参加してきたが、いかに”イベント”のための”イベント”が多かったことか。それは”会議のための会議”に似ているのかもしれない。そして、結果的にそうしたイベントは、「条件」をクリアするような具体的なアクションにはつながらなかった。」「富士山だから金が動く。金が動けばさまざまな利権も動く。政治も動く。人間のエゴが渦巻く場所。要するに富士山とはそういう場所であるということだ。」と核心を突く。
実に共感するところだ。何のために、誰のためにそれを行うのか、建前としてはあっても、真意としては欠落している。それが今の政治であり行政の姿勢だ。だから、変われないで凋落して行くばかりなのである。

<平成25年度「富士山世界遺産登録記念広報業務」資料>
契約書類等.pdf
会計書類等.pdf