2.26首から下は獣なり 2.26人間とは何だ国家とは何だ 北一輝忌2.26の地底にあり 兵に告ぐの憐れいかほど春告草 満願や2.26の雪また雪 マツコ・デラックス2.26に号泣す この街を追われ永久革命の焼野かな 無辺なるもの2.26の狙撃音 国家改造法案またも頓挫と亀鳴けり 戦後とは2.26のあおみどろ
東京の空遥かなり春の雪 見たことのない空見たことのない雪の街 淡雪の溶ける間もなく空見上ぐ ビニール傘震わせてゐる春の雪 淡雪の溶けて明日は死ぬるかも 春の雪見たことにして母去りぬ ここからは夢の通い路忘れ雪 淡雪や大仰に夢語りだす 雪の果まだまだ続く怪奇譚
冴え返る細菌兵器といふ噂 冴え返る人のこころにある無明 冴え返る影から影へ火の飛べり 冴え返る新宿二丁目無音なり コメントにわたしはクローン冴え返る 凍て返る生涯独身の誰か死ぬ 寒戻る我れにとどめは無用なり(寒もどるわれにとどめをさすごとく 鷹羽狩行) 老ゆるとは死を超えること冴え返る 冴え返る銅の時代の茫として 冴え返る夢から醒めても夢のまま
春一番二番の闇に紛れこむ もどり寒投降兵の立ち並ぶ デスコミュニケーション春雷の鳴り止まず 春三番我らの時代の号砲あり(半世紀前の大江健三郎の小説) 義理チョコは慙愧の至りと春日記 バレンタインの日のヘイヘイポーラ出口無し 小切手帳の余白に春はまだ来ない インターFMの崖下春潮の渦巻けり 泥酔の限りを尽くし燕来る 上野兵馬俑展春節は帰りたい 桐谷美玲は佐保姫の末裔と露知らず 余寒あり愛憐の火は絶やさぬやう 辻桃子に聞く春節の燭は何本か
春一番夢の中まで透き通る 春一番時代屋の女房といふドラマ 難民の行方春一番強し 真っさらな母校の跡地春一番 春一番脱構築といふ誤謬 春一番に雨が加はる夢のあと 春一番空缶千個が転げだす 春一番岬巡りの笛が鳴る ネフィリムの空膨張す春一番 ゆるカワイイの桐谷美玲春一番 さようならさようならの碑春一番