まほろば俳句日記

毎日見たこと聞いたこと感じたことを俳句にします。JーPOP論にチャレンジ。その他評論・エッセー、学習ノート。競馬も。

ひよっこ/新雑句雑感(221)~プロローグ5の終わり

2017-06-27 07:31:18 | 新雑句雑感

夏至の日やまさかキタサンブラックか  パリサイ人のやうな明るさ夏至の雨  牢獄といふ名の俳誌夏至の街  築地から豊洲へ夏至の月いずこ  朝ドラのひよっこ夏至の空ばかり  夏至の日の日本革命ならざりし  夏至の刻子規に始まり虚子に帰す  母の無き子を二人得て夏至舞台(妻小林麻央さん逝去)  夏至の夜の千住古着屋死屍累々  夏至つづく安倍改憲の亡者たち  沖縄の平和は未完夏至の雨  野良猫に街のさざめき夏至終る  現代俳句入門果たして夏至の世は  いっそのこと故郷を捨てて夏至の月  夏至の昼大過なきこと甚だし  夏至の日の都民ファースト疾走す

 


書を捨てよ町へ出よう/新雑句雑感(220)~プロローグ5の終わり

2017-06-21 04:58:32 | 新雑句雑感

父の日の家出でしまま帰らざる  父の日の父とは俳人以外の者  父の日や書を捨てよ町へ出よういまも  父の日や父はひとりで消え去るのみ  父の日やまさか海の見える競馬場  父の日やあの時君は若かった  父の日の父真っ先に捨てられて  父の日や軍人恩給明細書  父の日や父の命日知らぬまま  父の日の父を看取らずワタクシも  父の日の俳句はまたも落選す  父の日の野良犬街に見当らず  父の日やまさかアスペルガー症候群  父の日の関悦史に俳句は無理だらう  菊池寛の「父帰る」父の日は読まぬもの  父の日や生涯未婚の幸多し  クレイジーケンバンド父の日は父でゐる  


【関悦史】没自我の逆説的表出としての俳句形式の奪還/新俳句入門(16)

2017-06-21 03:29:45 | 新俳句入門

「俳句は自由詩に比べ、世界とむき出しで対峙せずに済ませることも容易に出来る。結社や師弟といった制度を引きずり、前近代的技芸の枠に引きこもれるからばかりではない。説話論的持続を最低限に減殺し、断裂・飛躍を呼び込む形式自体に『世界対私』という枠組みを明るみへと溶融させる契機があるからである。それを初心者向け教育法に仕立てたのが高濱虚子の『花鳥諷詠・客観写生』で、これはいわば出来合いの自我・感情を去勢・無頭化した上で詠み手の真の主体を『花鳥』の擬似世界へと開かせるカリキュラムである。わずかな例外を除いて詩人・小説家の俳句が陳腐なのはこれに相当する手続きを怠り、既成の自我にじかに語らせた『短い短歌』にしてしまうからだ。(…)大我なり他界なりへと主体が開けていれば良い。自我が直接対決しないことがそのまま世界への向かい合いとなり得る回路もこの形式にはおそらくある。」 関悦史『現代詩読者から俳句作者への斬進的横滑り』(現代詩手帖2010・6月号)

俳句形式による詩表現は【結社】とその集合体としての【協会】【俳句ジャ-ナリズム】によって社会(他者)に伝達周知される。現代詩と違って、個体表現は結社制度によって、技術的かつ内容的にいったん検閲された上で、普遍化されるということである。現に、俳句の場合、自立した俳人として認められるには、俳句結社(誌)という主宰者の封建的独裁を介して、結社賞や年功序列によって俳壇ジャーナリズムの土俵に乗る必要がある。その延長上に新たな結社結成ということが行われる。所謂のれん分けである。例外的に、個人の表現の質(才能)によって、俳壇に周知されることがある。関悦史もその希少な例に含まれる。その関が言う。俳句が【自由詩に比べ、世界とむき出しで対峙せずに済ませることも容易に出来る】理由として、【結社や師弟といった制度を引きずり、前近代的技芸の枠に引きこもれるからばかりではない。・・断裂・飛躍を呼び込む形式自体に『世界対私』という枠組みを明るみへと溶融させる契機があるからである。】と。つまり、俳句形式は結社制度を経ずとも、個人のまま直に表現の形式である五七五の音数律に相対することで、現代の詩表現の方法としての普遍性を獲得出来ると表明する。・・・《続く》


いなかのプレスリー/新雑句雑感(219)~プロローグ5の終わり

2017-06-15 01:09:57 | 新雑句雑感

桜桃忌俺はいなかのプレスリー  モーロクのすすめは無効太宰の忌  太宰忌の林檎と林檎睦み合う  バトンミスこれで三度目太宰の忌  桜桃忌エルビスの死はもっと先  生きること恐れぬ調べ桜桃忌  太宰忌のリモートビューイング繰り返す  寺山三上友川太宰の忌を修す  青森弁の人間失格太宰の忌  指原梨乃と山崎富江酷似桜桃忌


剣の舞/新一人吟行記(6月10日しょうぶ沼公園)

2017-06-13 20:00:27 | 一人吟行記

剣の舞菖蒲は生きてまた生きて  紫の鶴が菖蒲の虚空を舞ふ  絵日傘の菖蒲はいつもひとりぼち  青柳昭和の果てに菖蒲咲く  乙女鏡わたしが菖蒲でゐる不思議  菖蒲の自由人間の自由空ふかむ  白菖蒲大艦巨砲の世となりぬ  風強し菖蒲の未来語りだす  時の日の菖蒲は時を見晴るかす  濃紫陽花無数の地球孕みをり  額の花共同連帯の花となり  三つ目が通る菖蒲が散れば俺も散る  あをあをと無言の領域花菖蒲