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素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

“仮名手本忠臣蔵”でほんの些細な単語2つに「オヤァ?」とひっかかりました

2012年11月24日 | 日記
 今日は家の雑事をしながら、橋本さんの本を読み返したり、パンフレットとそれについている床本を読んだりして余韻を楽しむ。
 
耳でだけならスーと流れたであろう単語ですが、舞台上に字幕が出るので目にとまってしまったものが2つありました。どうてことないものですが“?”がついたままではスッキリしないので調べてみた。これも余韻を楽しむ1つである。

 1つは、殿中刃傷の段の始まりの部分、鶴が岡で師直から恥辱を受けた若狭助が師直を斬り殺そうと待ち構えていたとき、登城した師直は若狭助の予想に反し刀を投げ出し侘びを入れる。(若狭助の計画を事前に知った家老の本蔵が先手を打って師直の賄賂を届けたことによるのだが)その時の師直の侘びのセリフの中にあった『真っ平』

 「いつぞや鶴が岡で拙者が申した過言、お腹が立つたであろう。もっともぢや尤もじゃ、サそこをお詫び。その時はどうやらした詞の間違ひでつい申した。我ら一生の粗忽。武士が手をさげる。真っ平真っ平。・・」ここで???となる。私の頭の中には“真っ平”という言葉は鶴田浩二の♪傷だらけの人生♪3番《真っ平ご免と大手を振って 歩きたいけど歩けない・・・》という風に開き直ったイメージを持つものであった。侘びの仕草と言葉がつながらなかったという次第。

 明鏡国語辞典を引いてみた。『絶対にいやだの意を表す』とある。「そうだよな“謝るのは真っ平だ。”という使い方だよな」と思い疑問は解けない。

 そこで広辞苑を引いてみた。『①ひとえに。ひらに。ひたすら。「マッピラユル(許)イテクレトイウ」②(「まっぴら御免」の意で)絶対に受け入れられぬこと。全くいやなこと。「それだけはーだ」』とある。さすが広辞苑と思う。疑問は解けた。

 もう1つは、早野勘平腹切の段の始めの部分、与市兵衛の亡骸を運び込んできた狩人の言葉にあった 『笑止』

 「何者の仕業。コレ婿どの、殺した奴は何者ぢや。敵を取って下されなう。コレ親父どの親父どの」と、呼べど叫べど、その甲斐も泣くより、ほかのことぞなき
  狩人口々に「オオお袋、悲しかろ。代官所へ願うて、詮議して貰はしゃれ。アア笑止笑止」ここで???となる。私の頭の中には“笑止”という言葉は悪人の申し開きを聞いた黄門様とか遠山の金さんが「~とは笑止千万」という風に笑いが止まらないほどこっけいというイメージを持つものであった。夫の死骸を前に泣き叫ぶ老婆にかける場面で違和感を感じた次第。

 とりあえず明鏡国語辞典から見てみた《おかしいこと。ばかばかしいこと。「-千万(=非常にこっけいなさま)」》とあり案の定疑問は解けず。

 そこで広辞苑《①困ったこと②気の毒なこと。同情すべきこと。③笑うべきこと。おかしいこと。》とある。またまたさすが広辞苑と思ってしまった。笑止千万も「はなはだ気の毒なこと。また、たいそう笑うべきこと」とある。場面によっての使いわけなかなかむずかしいものだと思う。葬儀に行って「このたび突然ご主人が亡くなられたこと笑止千万」と発したらと想像してみた。

 些細な2つの単語でしばし楽しませてもらった。
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