W杯・ブラジル大会も決勝トーナメントに入り、一発勝負の厳しさの中、熱戦が繰り広げられている。アディショナルタイムに入ってからの際どい勝負が多い。このアディショナル(additional)タイム(=追加の時間)という言葉は私にはなじみが薄い。長年使ってきたロスタイムという和製英語が口に出てしまう。日本サッカー協会の審判委員会がロスタイムからアディショナルタイムに正式に変更したのが2010年7月16日だからいたしかたない。今大会を契機に頭の中をロスからアディショナルに変換する努力をしている。決勝戦あたりになれば定着するだろう。
この時間帯は天国と地獄の分かれ目である。
日本で言えば、「ドーハーの悲劇」が一番印象に残っている。1993年10月28日にカタールのドーハのアルアリ・スタジアムで行われた日本とイラクの1994年アメリカW杯・アジア地区最終予選の最終戦で試合終了間際のアディショナルタイム(90分20秒)にイラク代表の同点ゴールが入り、日本のW杯初出場を逃した試合である。
20年以上経過しているので試合全体のことは記憶していないが、2つのなぜ?だけは頭に残っている。1つは、自陣の右サイドの深い位置でボールを奪ったラモスが大きくクリアするだろうと思った瞬間、つなぎのプレーをしかけ相手にボールを奪われたプレーである。リードしているこの時間帯になぜ安全なプレーを選択しないのだと声を出した。このことがイラクに最後のコーナーキックを与えることになった。2つ目は、イラクのショートコーナーの選択。時間がないのになぜ?と思い、ラッキーと喜んだのも束の間すぐ後に悪夢が待っていた。後の証言から、コナーキックをおこなった選手は、時間のことは頭からとんでいて、センターリングをした選手はミスキックであったということがわかった。(-)×(-)が+になるように、2つのミスが掛け合わされて同点ゴールが生まれたわけである。
それ以来、「最後の最後まで何があるかわからない。」ということと「ミスを恐れない。ミスもチャンスの芽となる。」という2つのことは自分がサッカーを指導する時の大きな柱となった。
私は試合中は「あと何分」という情報を与えないことにしている。時間の感覚は練習の時に体にしみこませておかないといけない。だから練習中、紅白試合ではあと何分コールは頻繁にする。最後の最後で力を発揮するためには、時間にとらわれてはいけないのである。水泳の北島選手がゴールする時には1m先にゴールがあるとイメージしてフィニッシュすると言っていたのと同じで、最後の最後に力を発揮するためには集中して、力を抜かないことである。人間の心理というのはまことに微妙なものである。
野球でも応援のつもりの「あと一人」とか「あと一球」コールがかえって投手を狂わすというシーンを何度も見た。
内心イライラしても悠然と構えるのも監督の仕事ではないかと思う。早朝から勝負の綾を楽しむ毎日となっている。ブラジルとの時差の加減は私にとってはありがたい。
この時間帯は天国と地獄の分かれ目である。
日本で言えば、「ドーハーの悲劇」が一番印象に残っている。1993年10月28日にカタールのドーハのアルアリ・スタジアムで行われた日本とイラクの1994年アメリカW杯・アジア地区最終予選の最終戦で試合終了間際のアディショナルタイム(90分20秒)にイラク代表の同点ゴールが入り、日本のW杯初出場を逃した試合である。
20年以上経過しているので試合全体のことは記憶していないが、2つのなぜ?だけは頭に残っている。1つは、自陣の右サイドの深い位置でボールを奪ったラモスが大きくクリアするだろうと思った瞬間、つなぎのプレーをしかけ相手にボールを奪われたプレーである。リードしているこの時間帯になぜ安全なプレーを選択しないのだと声を出した。このことがイラクに最後のコーナーキックを与えることになった。2つ目は、イラクのショートコーナーの選択。時間がないのになぜ?と思い、ラッキーと喜んだのも束の間すぐ後に悪夢が待っていた。後の証言から、コナーキックをおこなった選手は、時間のことは頭からとんでいて、センターリングをした選手はミスキックであったということがわかった。(-)×(-)が+になるように、2つのミスが掛け合わされて同点ゴールが生まれたわけである。
それ以来、「最後の最後まで何があるかわからない。」ということと「ミスを恐れない。ミスもチャンスの芽となる。」という2つのことは自分がサッカーを指導する時の大きな柱となった。
私は試合中は「あと何分」という情報を与えないことにしている。時間の感覚は練習の時に体にしみこませておかないといけない。だから練習中、紅白試合ではあと何分コールは頻繁にする。最後の最後で力を発揮するためには、時間にとらわれてはいけないのである。水泳の北島選手がゴールする時には1m先にゴールがあるとイメージしてフィニッシュすると言っていたのと同じで、最後の最後に力を発揮するためには集中して、力を抜かないことである。人間の心理というのはまことに微妙なものである。
野球でも応援のつもりの「あと一人」とか「あと一球」コールがかえって投手を狂わすというシーンを何度も見た。
内心イライラしても悠然と構えるのも監督の仕事ではないかと思う。早朝から勝負の綾を楽しむ毎日となっている。ブラジルとの時差の加減は私にとってはありがたい。