思惟石

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『カラー版 名画を見る眼Ⅰ』 図版レベルの良い新書!

2023-07-18 13:52:27 | 日記
『カラー版 名画を見る眼Ⅰ 油彩画誕生からマネまで』
高階秀爾

初版が1976年で2023年に再版されたシリーズ。
当時はモノクロだったようですが、
資料部分はフルカラーになってます。
細部も綺麗で、最近の新書の印刷技術、すごいな。

新たに分かった学説などは章ごとに追記されていて、
追加の図版もたっぷり。
マジでお得な新書だな!!
(もちろん、新書としてはお高めではあるけれど
 本棚への収納しやすさも込みで、やはりお得だと思う)

ボッティチェリ(高階先生はボッティチェルリと言う)の「春」は
中野京子さんの『名画の謎』と併読するとおもしろい。

中野さんはギリシャ神話の解釈や歴史背景に加えて
中野節とも言える軽快な文章で読んで楽しい。
高階先生はモチーフ、構図、技法と歴史背景を
順を追って解説しており、良い授業を受けた感覚。
なんというか、生徒として良いノート書けそう!な感がある。

ちなみに両人とも語ってますが、
「春」のヴィーナス(着衣、清楚、人文主義思想)は
「地上のヴィーナス」を描き出したもの。
数年後に描かれた「ヴィーナスの誕生」は
「天上のヴィーナス」(素っ裸、美と愛欲の女神)だそうで。
まあ要するに、服を着せたいムーブメントがあったということだ。

収録作は以下。

ファン・アイク「アルノルフィニ夫妻の肖像」
ボッティチェルリ「春」
レオナルド「聖アンナと聖母子」
ラファエルロ「小椅子の聖母」
デューラー「メレンコリア・Ⅰ」
ベラスケス「宮廷の侍女たち」
レンブラント「フローラ」
プーサン「サビニの女たちの掠奪」
フェルメール「絵画芸術」
ワトー「シテール島の巡礼」
ゴヤ「裸体のマハ」
ドラクロワ「アルジェの女たち」
ターナー「国会議事堂の火災」
クールベ「画家のアトリエ」
マネ「オランピア」

ちなみにこれが「Ⅰ」で、
「Ⅱ」は印象派からピカソまで。
コメント
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