https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190326-00000005-pseven-life
歯科治療の「コンポジット・レジン修復」は、虫歯部分だけを削ってセラミックスとプラスチックの複合素材を充填するものだ。
歯に最もダメージが少ない虫歯治療として、世界的なスタンダードになっている。それなのに、この「レジン修復」を患者が希望しても、応じない歯科医が一部に存在する。
その理由は、「レジンは強度や耐久性が低い。端が欠けてしまう。長期間経過すると、変色する」ということらしい。代わりに推薦するのは、頑丈で長持ちするという「銀歯」だ。虫歯治療の第一人者である、東京医科歯科大学・副学長の田上順次氏は、こう解説する。
「現在のレジンは、改良されてとても丈夫になっています。臨床的に耐久性を調べた研究でも、銀歯とレジンの有意差はありませんでした。レジンを否定する歯科医は、性能が低かった1980年代以前のことを指しているのでしょう。
自分の歯を一生残したいなら、虫歯部分以外は削らず、無駄な治療はしない方がいいのです」
大きな虫歯や噛み合わせが強い部分には、レジン修復が使えない場合もある。歯科医に理由を確認して、妥当性を欠く説明なら、その場で治療中止を求めた方がいい。
◆銀歯のクラウンの下で、虫歯が再発・進行
中高年世代の奥歯には銀歯のクラウンが装着されていることが多い。これが長期間経つと、食事中やガムに付いて外れてしまうのだ。
1990年代までは、銀歯のクラウンを装着する際に、リン酸亜鉛セメントなどが主に使用されていた。このセメントでは、分子レベルで隙間があるので、外れるだけでなく、菌が侵入して虫歯が再発する(二次カリエス)リスクが高い。気づかぬうちに虫歯が進行している場合もある。
銀歯以外のクラウンとして、自費のセラミックを勧める歯科医もいるが、表の通り費用がはね上がる。
現在では銀歯以外にも保険で、白いCAD/CAM冠を装着できる。これも、レジンとセラミックのハイブリッド素材だ。ただし、保険適応には条件があるので歯科医に相談してほしい。