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生野菜では取れない がんを防ぐ貴重な抗酸化成分の摂取法
前回、スーパーなどで販売されている「水煮野菜」は、加工処理の段階で、貴重な抗酸化物質が捨てられていると紹介した。抗酸化物質は、がん化の原因になる活性酸素を消す力がある。
話は変わるが、露地に植えられた野菜を見ていただきたい。野菜は、毎日毎日、強烈な紫外線を浴びて育っているのだから、当然、大量の活性酸素が発生して野菜の遺伝子が障害を受けているはずである。しかし、野菜ががんになったという話は聞いたことがない。人間は紫外線で日焼けするのに、なぜ野菜の細胞は傷ついて変異しないのだろうか。それは、野菜の細胞の中には、大量の抗酸化成分があって、紫外線で発生した活性酸素をどんどん消去しているからだ。
紫外線をたっぷり浴びて育った野菜こそ抗酸化成分も多いということになる。
代表的な抗酸化成分にはどんなものがあるかというと、たとえばビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類、カロテノイド、フラボノイド、ポリフェノールなどがある。これらをたくさん含んでいるのが野菜や果物というわけである。
では、どんな野菜に多いのかというと詳しくは拙著「『副作用のない抗がん剤』の誕生」(文芸春秋)をご覧いただきたいが、シソ、レタス、ミツバ、シイタケ、ヨモギ、ホウレン草、春菊、インゲンなどに比較的多く含まれる。
また根菜類では、ダイコンやネギのように白い部分はそれほど多くなく、むしろ葉の方に多く含まれる。たとえばニンジンは、可食部の根の部分よりも葉の方が数十倍も多い。また、レンコン、サトイモ、サツマイモ、ジャガイモなど、包丁で切ると紫色に変色するものも多いといわれている。
■生野菜では取れない
最近は生で野菜を食べることが多いが、実のところ、生野菜から抗酸化成分はほとんど取れない。つまり、生野菜を食べても抗酸化成分は体に入らないということだ。
抗酸化成分は細胞の中に含まれていて、牛や馬のようにセルロースを消化する酵素を持っていない限り、噛んだだけで細胞壁を壊すことができないからである。
では、どうすればいいかというと、煮込んでスープにすればいいのである。細胞膜は熱で簡単に壊れるからだ。
野菜を刻んで10分程度煮込み、塩やこしょうでちょっと味付けすれば、おいしいスープができあがる。このスープの中には、野菜に含まれる抗酸化成分の8割は抽出されているといわれている。このスープを飲めば簡単に抗酸化成分を取れるというわけである。
煮込めばビタミンCが壊れるじゃないかって?とんでもない。いまだにそういうデマがまかり通っているが、合成したアスコルビン酸は熱で簡単に壊れても、細胞壁の中に入ったビタミンCは壊れない。もし壊れるとしたら、冬になるとボルシチしか食べなかった昔のロシア人は、みんな壊血病になっていたはずである。