よく食べる果物
https://news.yahoo.co.jp/articles/5061efe674fa22bc7fad01f9cca27599285e8bd9
略
医療ジャーナリストの森まどかさんに聞きました。
果物はキウイフルーツが最多
Q.そもそも、食物アレルギーが起きる仕組みを教えてください。 森さん「果物や野菜、他の食べ物でも、本来は食べても問題ないと考えられている物のうち、ある特定の物を食べたとき、人によっては体がそれを『異物』と認識してしまうことがあります。異物だと誤って認識されると、その物質から体を守ろうとして免疫システムが過剰に働いてしまい、その結果、体にさまざまな症状があらわれます。これが食物アレルギーが起きる仕組みです」 Q.どのような果物や野菜を食べると症状が出やすいのでしょうか。また、その症状とは。 森さん「2017年に行われた『即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査』によると、キウイフルーツが果物類のうち35.6%で最も多く、次いで、バナナ、モモ、リンゴ、サクランボの順で、これらで全体の7割以上を占めていると報告されています。他にも、メロン、マンゴー、スイカなどでアレルギー反応が出る人もいます。野菜は果物より頻度は少ないですが、トマト、ジャガイモ、ズッキーニ、キュウリ、ニンジン、セロリ、アボカドなどが挙げられます。 症状はかゆみやじんましんといった皮膚の症状、むくみ、せき、息苦しさなど全身症状のほか、唇が腫れたり、喉がイガイガしたり、口の中がかゆくなったりといった口腔(こうくう)内だけに症状が出る場合もあります。近年の食物アレルギーはこの『口腔アレルギー症候群』といわれるタイプの報告が増えていて、花粉症との関連も分かっています。重症の場合は『アナフィラキシー』というショック症状に至ることがあります」 Q.症状が出た際はどのように対処すべきでしょうか。症状が治まっても必ず病院に行った方がいいのですか。 森さん「これまでにも食物アレルギーで医療機関を受診したことがあり、内服薬や自己注射薬の指導を受けていた場合は、主治医の指示に従って対処してください。症状が初めて出た場合は、どのような症状か、段階によって対処が変わります。軽度のかゆみや部分的な赤み、じんましんのほか、口の中の違和感や唇の腫れ、くしゃみや鼻水などであれば、症状の変化を注意深く観察します。 改善すれば、そのまま様子を見ても問題ないですが、自己判断は思わぬ症状の悪化を招くこともあるので、気になる症状があれば医療機関を受診してください。特に『強いかゆみ』『まぶたの腫れ』『広い範囲にじんましんが出る』『全身が真っ赤になる』『せきが出る』といった症状がある場合は、直ちに医療機関を受診してください。 『強い腹痛』『繰り返し吐く』『呼吸しにくい』『喉や胸がキューッと締めつけられる』『意識がはっきりしない』『ぐったりしている』『爪や唇が青白い』などは緊急性が高い症状です。安静を保ち、直ちに救急車を要請して救急隊員の指示に従ってください」 Q.果物や野菜を生の状態で食べるときと加熱調理して食べるときでは、アレルギーの出やすさに違いはあるのでしょうか。 森さん「野菜や果物のアレルギー、特に先述の口腔アレルギー症候群の場合は加熱調理により、アレルゲン性(アレルギーの原因となる性質)が低下しやすいです。そのため、ジャムやコンポート(果物を水や薄い砂糖水で煮て作る料理)、ソース、濃縮還元ジュースなどの加熱調理した物は食べても症状が出ない場合が多くあります。ただし、原因となる食べ物によっても差がありますし、症状には個人差があるので、食べる際は事前に医師と相談することをおすすめします」 Q.果物や野菜のアレルギーを治す方法はあるのでしょうか。治療することで、子どものときには食べられなかった果物や野菜が食べられるようになるケースもあるのですか。 森さん「乳幼児期の食物アレルギーは年齢とともに改善し、小学校入学の頃までに治るケースが多いです。治療する上で、まず重要なのは正しい診断です。問診、血液検査、アレルギーを起こす原因食物を特定する『皮膚プリックテスト』『食物除去試験』『食物経口負荷試験』などを行い、診断が確定した場合、原因食物を除去する、あるいはアレルギー症状が出ない量に抑えるという『食事療法』を行い、定期的に負荷試験で確認しながら、段階的に食べられる範囲を広げていきます。 同時に『抗ヒスタミン薬』『抗アレルギー薬』などの薬が使用されることもあります。また、原因となる食べ物を誤って食べてしまった場合の、緊急時に使用する自己注射の指導なども行われます」 Q.では、大人になってから、果物や野菜のアレルギーを発症することはあるのでしょうか。 森さん「子どもに多い食物アレルギーですが、大人の発症も増えています。果物や野菜のアレルギーは大人の場合も、先述の花粉症と関連した口腔アレルギー症候群が多く見られます。花粉症のアレルギーの原因となるタンパク質と似た構造のタンパク質が果物や野菜に含まれていることがあり、それに反応して、アレルギー症状が出ると考えられています。近年、花粉症の人が増え、その関連で果物や野菜のアレルギーを発症する大人も増えているようです」