ドッグフード原材料シリーズ、今回はバーキングヘッズです。
このBarking Headsという名前は、きっとTalking Headsからですね。
80年代に活躍したアメリカのバンドです。
フロントマンだったデイヴィッド・バーンのブロードウェイショーは
スパイク・リー監督で映画化され最高です。
アマゾンプライムなどで観られるので、興味のある方はぜひ!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/9c/bfbb188794ebbeb02bc14bae1ab270da.jpg)
全くですね。ではフードの方を見てまいりましょう。
材料別、対象年代別などいろいろな種類があるのですが
成犬用チキンを取り上げます。
鶏肉(34%)、乾燥チキン(21%)、玄米、オーツ麦
白米、マス、ルーサン、エンドウ、ひまわり油
鶏脂、海藻、ニンジン、トマト
グルコサミン 355mg/kg、MSM 355mg/kg、コンドロイチン 250mg/kg
ミックスハーブ(マジョラム、バジル、オレガノ、セージ、タイム、パセリ)
ミネラル類、酸化防止剤(ミックストコフェロール)
ビタミン類(ビタミンA 17,308 iu、ビタミンD3 1,538 iu、ビタミンE 192 mg)
グリシン水和物の亜鉛キレートに含まれる亜鉛 96mg
グリシン水和物の鉄(Ⅱ)キレートに含まれ鉄 77mg
グリシン水和物の銅キレートに含まれる銅 6.7mg
グリシンのマンガンキレートに含まれるマンガン5.8mg
無水ヨウ素酸カルシウムに含まれるヨウ素1.4mg
サッカロマイセス・セレヴィシエ(出芽酵母) CNCMI-3060の産生する
有機セレンに含まれるセレン 0.1mg
原材料のトップは生の鶏肉は理想的ですが
生の肉は水分を多く含むので、加工後はカサが減ります。
原材料は重量ベースで多く含まれる順に書かれています。
次の乾燥チキンには水分が含まれない状態で2番目なので
実質的にはこちらの方がメインの鶏肉になります。
鶏肉は言うまでもなく犬にとっては理想的なタンパク源です。
この製品では平飼いの鶏肉が使われているそうです。
この製品の乾燥チキンは英語でもDried Chickenなので
チキンミールではなく精肉部分だけを乾燥させたものです。
つまり骨や内臓部分は含まれていません。
ミールと違って高温加工されていないので
タンパク質のアミノ酸の損傷が少ないです。
玄米は炭水化物の他に、ビタミンB群と食物繊維を多く含みます。
ミネラル類も含まれますが吸収率が低く有効性は期待薄です。
食物繊維のおかげで血糖値が急激に上がりにくい利点がありますが
同時に消化しにくいという欠点もあります。
オーツ麦も食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富な穀物です。
炭水化物源ですが、血糖値が急上昇しにくい低GI値食品です。
含まれるタンパク質が小麦グルテンとは違うため
小麦にアレルギーがあっても大丈夫な場合が多いです。
(絶対ではないのでアレルギーの程度によって注意を)
白米はシンプルに炭水化物減ですね。
犬にとっては比較的消化しやすい炭水化物です。
ここまでで3つの炭水化物源が出ていますが
どれも質の良いものですね。
マスも良質なタンパク源です。
必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸を多く含みます。
ただし生の原料でこれだけ後の方に書かれているので
実質量はかなり少ないと思います。
量の点でオメガ3脂肪酸源としてちょっと心もとない気がします。
ルーサンというのはアルファルファのことです。
アメリカではアルファルファ、イギリスではこう呼ばれます。
マメ科植物で飼料に多く使われます。
人間用には発芽したての柔らかいものが売られていますが
飼料用は成長した状態で挽いてミールになっているのが一般的。
別名ウマゴヤシ(馬も肥える)と言われるほど栄養豊富で
タンパク質やビタミン、ミネラルを多く含みます。
エンドウはいわゆるグリーンピースですね。
炭水化物、タンパク質、ビタミンB群、食物繊維を含みます。
ひまわり油はひまわりの種子の油です。
ビタミンEが豊富で、オメガ6脂肪酸のリノール酸を多く含みます。
この製品ではオメガ6脂肪酸源として使用されています。
リノール酸は体に必要な脂肪酸で多くの植物油に含まれます。
一方でリノール酸の摂り過ぎはアレルギーなどにつながり易く
様々な油を多く摂る現代の食生活では過剰になり気味です。
そのため近年の食用ヒマワリはリノール酸を少なくして
代わりにオレイン酸を多く含むよう品種改良されています。
オレイン酸はオリーブ油や鶏肉に多く含まれるオメガ9脂肪酸です。
このひまわり油も多分高オレイン酸のタイプだと推測します。
鶏脂はオメガ6脂肪酸とオメガ9脂肪酸を多く含みます。
動物性脂肪ですが不飽和脂肪酸が多いのが特徴です。
チキンの脂は牛や豚よりも調理後の洗い物が楽でしょう?
あれは不飽和脂肪酸は室温では固まらないから。
オメガ6脂肪酸源は上のひまわり油で十分だと思うので
こちらは風味付けの意味が大きいのかと思います。
海藻とありますが、正確な種類は分かりません。
英語でもSeaweedとあるので、昆布=kelpではないですね。
ヨウ素の摂取源かと思ったのですがヨウ素は添加されているので
緑黄色野菜のような扱いで使われているのかもしれません。
欧米では海藻は馴染みの薄い食物ですが
サステイナブル(持続可能性)の高い食べ物として注目されています。
ニンジンはおなじみのβカロチン豊富な野菜です。
トマトもおなじみ、抗酸化物質のリコピンが豊富です。
グルコサミン、MSM、コンドロイチンは関節保護の成分として知られていますね。
グルコサミンもとコンドロイチンはどちらも関節の軟骨の成分です。
MSMはイオウ化合物で抗炎症作用があります。
それぞれに違う働きで関節をサポートすると言われています。
ハーブ類の主な効能を挙げておきます。
マジョラム 消化促進、食欲増進、神経を落ち着かせる
バジル 強壮作用、抗菌作用
オレガノ 消化促進、食欲増進、抗菌作用
セージ 抗菌作用、ガスの排出
タイム 強い抗菌作用
パセリ 利尿作用、抗炎症作用
抗菌作用を持つハーブが多く使われているのは
製品のための天然の防腐剤という役割もあるのかと思います。
セージとタイムは長期使用は避けた方が良いものなので
できれば入っていない方がいいなあと思うのですが
これらを含まないフードとローテーションをお勧めします。
ミネラル類という書き方がかなり大雑把ですが
後に記載している亜鉛なども含むのか、
それ以外のカルシウムやマグネシウムなどを指すのかが不明です。
酸化防止剤のミックストコフェロールとはビタミンEです。
トコフェロールには種類が4つあるのでミックス(混合)と呼びます。
ビタミン類は製品1kgあたりの含有量が記載されています。
添加されているのは脂溶性ビタミンのみです。
ビタミンB群などは原材料で補う方針のようですね。
次に並んでいる何やら難解なのは微量ミネラル類です。
グリシン水和物の〇〇キレートというのはいわゆるキレート加工。
グリシンとはアミノ酸の一種で、そこに水が加わると水和物と呼ばれます。
つまりグリシン水和物は水分を含むグリシンです。
このグリシン水和物で亜鉛や鉄などのミネラルをコーティングするのがキレート加工です。
ミネラル類はそのままでは吸収されにくいので
アミノ酸などとくっつける加工で吸収率を高くします。
一般的にはキレート加工亜鉛とか亜鉛キレートと書かれていますが
この製品ではとても丁寧に(その分難解に)表記されています。
なぜかマンガンでは水和物の文字が抜けていますが同じ意味です。
無水ヨウ素酸カルシウムは水分を含まないヨウ素酸カルシウムで
カルシウムではなくヨウ素を補給するため添加されます。
最後のセレンも、通常は有機セレンやセレン酵母と書かれています。
吸収しやすいよう有機物とくっつける加工をしたセレンです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/29/a4b3b26010391031f05214addc774a4a.jpg)
「では、いつものように全体評価を」
全体的に見て、良質な材料を使った良いフードだと思います。
AAFCOまたはFEDIAFの基準をクリアしているという表記が無いのですが
大きく栄養素が不足しているような印象はありません。
上にも書いたようにオメガ3が少し心もとないので
毎日でなくてもフィッシュオイル などをプラスすることをお勧めします。
ミネラル類の内容についてはちゃんと全部書いて欲しかったけれど
これは私がアメリカの全成分表示に馴染んでいるせいかもしれません。
またイギリスの公式サイトを見ると原材料が少し違っています。
イギリスでは鶏肉の割合が生37%乾燥11%になっています。
穀類に大麦が加わっており、ハーブ類も少し変わっています。
ハーブはオレガノ、ローズマリー、タイムの3種になっています。
ローズマリーは抗酸化作用を持つマイルドなハーブです。
できればタイムも抜いて欲しかったなあと思います。
と、このようにイギリスとレシピが違うので、近いうちにまた
日本で販売されているものも変更があるかもしれません。
日本法人の公式サイトもきちんとしていて好感が持てます。
個人的にはパッケージが非常に好みです。