ドッグフード原材料シリーズ、今回はカナダの会社オープンファームのフードです。
「画像がないのよ〜」(特別出演、散歩友のセイディちゃん)
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そうなんですよ。
正確にはAmazonのアフィリエイト用画像があったんですがすごい怪しいの。
楽天などでは7000円台の製品に2万円以上の価格がついてたんですよ。
怪しすぎる!と思って貼り付けるのは止めました。
画像がないからUS版の公式サイトのリンクを貼っておきます。
ターキー、チキン、ビーフ、サーモン、さらにパピー用やシニア用など色々な種類があるのですが、ここではグレインフリーのターキー&チキンを取り上げます。
七面鳥肉、鶏肉、白身魚粉、ラッセルポテト、ヒヨコマメ、ミドリレンズマメ、
サヤエンドウ、ココナッツオイル(ミックストコフェロールにて酸化防止済み)
メンヘーデン粉、トマト、リンゴ、カボチャ、
ナチュラルターキー&チキンフレーバー、亜麻仁、天日干しアルファルファ
ニンジン、チコリーの根、サーモンオイル、塩、塩化カリウム、塩化コリン
ミックストコフェロール(天然由来の酸化防止剤として使用)
ビタミンEサプリメント、パントテン酸カルシウム、ナイアシンサプリメント
ビタミンAサプリメント、リボフラビンサプリメント、ビタミンD3サプリメント
ビタミンB12サプリメント、硝酸チアミン、葉酸、キレート亜鉛
炭酸カルシウム、キレート鉄、キレート銅、キレートマンガン、セレン酵母
ヨウ素酸カルシウム、ローズマリー抽出物、タウリン、シナモン
ターメリック、リン酸二カルシウム
ちょっと変則的ですが、このフードの七面鳥肉と鶏肉については後でじっくりと書きます。
白身魚粉 これはいわゆるフィッシュミールですが白身の魚だけを使っています。
魚の種類は季節によってタイ、タラ、スズキのどれかが使われています。
フィッシュミールは魚を加熱して水分と油分を取り除いて粉に挽いたものです。
アメリカ版公式サイトではタンパク質の他にオメガ3脂肪酸の良い摂取源と書かれていますが
加工時に油分がかなり取り除かれているので、オメガ3についてはあまり期待できません。
ラッセルポテト 形はメークインぽくて食感は男爵っぽい大型のジャガイモです。
ビタミンやミネラルも含まれますがメインの役割は炭水化物源です。
ヒヨコマメ 微量ミネラルが含まれますが、メインは炭水化物とタンパク質の摂取源です。
食物繊維も豊富に含むので血糖値の上昇は緩やかです。
ミドリレンズマメ 平たくつぶれたような形が特徴の豆。
炭水化物、タンパク質、食物繊維が豊富で、微量ミネラルも含まれます。
サヤエンドウ 炭水化物、タンパク質、食物繊維、ビタミン類が豊富です。
サヤエンドウの緑色は抗酸化作用のあるファイトケミカルです。
ココナッツオイル 植物性油の中では珍しい飽和脂肪酸(ラードのように室温で固まる)のオイルです。
ココナッツオイルの飽和脂肪酸は動物性のものと違ってラウリン酸とが約半分を占めます。
ラウリン酸は抗酸化作用が強く、消化吸収が早いため素早くエネルギー源に変換されます。
腎臓病でタンパク質を制限しなくてはならないがエネルギーが必要という場合などは重宝な油です。
メンヘーデン粉 メンヘーデンフィッシュと書かれることもあるように、これは魚です。
粉と書かれていますから、これもフィッシュミールとして加工されています。
メンへーデンは小型の海洋魚で骨が固くて人間の食用には向きません。
原材料一覧に単に「フィッシュミール」と書かれている場合、メンヘーデンが使われていることが多いようです。
フィッシュミールは丸ごと加工されるので、カルシウムなどミネラル源として期待できます。
しかし油は取り除いているのでオメガ3脂肪酸の摂取ははあまり期待できません。
トマト ドッグフードの原材料にトマトとある場合、ほとんどがトマトポマース(ジュースなどを搾った後の繊維)なのですが、この製品では違うようです。
強力な抗酸化物質であるリコピンが豊富です。
リンゴ カリウムと食物繊維が豊富です。
カボチャ これは日本人が連想する南瓜ではなく、ハロウィーンに使われるオレンジ色のペポカボチャです。
南瓜よりも炭水化物が少なく食物繊維とβカロチンが豊富です。
上記のトマト、リンゴもそうですが、これらは生の状態ではなく乾燥されたものが使われていると思います。
そのためトマトやリンゴのビタミンCは期待できません。
ナチュラルターキー&チキンフレーバーと書かれていますが、アメリカとカナダのサイトでは魚または酵母から作ったフレーバーと書かれています。
要は魚または酵母を加水分解してアミノ酸に分解したものです。
加水分解は酸または酵素を使いますが、この会社のこだわりから考えると酵素使用でしょう。
亜麻仁 亜麻(書いて字の如く麻です。リネンね。)の種子です。大型の胡麻のような見た目です。
水溶性と不溶性の食物繊維、抗酸化物質のリグナンを豊富に含みます。
油分が多く植物性のオメガ3脂肪酸の代表アルファリノレン酸を多く含みます。
しかし犬はアルファリノレン酸を体内で活用できる形にほとんど変換できないので
オメガ3脂肪酸の摂取源としては期待できません。
天日干しアルファルファ アルファルファはマメ科の植物で馬肥やしと呼ばれるほど栄養豊富な牧草です。
タンパク質やビタミンミネラル類を豊富に含みます。
ニンジン βカロチン豊富なおなじみの根菜です。これも乾燥されたものが使われていると思います。
チコリーの根 チコリーは葉っぱ部分は野菜としてサラダなどに使われ、根っこ部分はハーブとして使われます。
水溶性食物繊維のイヌリンを豊富に含み腸内細菌のエサとなるプレバイオティクスのひとつです。
体質によっては摂取することでオナラが多くなることがあります。
サーモンオイル 鮭の油です。魚の油はオメガ3脂肪酸のDHA、EPAが豊富で犬にとっても活用しやすく理想的です。
鮭の赤い色はアスタキサンチンという抗酸化物質なので、サーモンオイルは他のフィッシュオイルよりも酸化しにくい性質があります。
塩 全ての哺乳類は細胞を正常に働かせるために塩が必要です。
塩化カリウム以下のビタミンとミネラル類についてはザッとまとめますね。
ビタミン類のうちビタミンCのサプリメントがありませんが、犬は体内でビタミンCを合成できるので必要ありません。
(手作り食などでビタミンC豊富な食材を使うのは問題ありません)
ミネラル類は吸収率を高めるためのキレート加工などがされているのも安心です。
ミックストコフェロールは天然由来の酸化防止剤として知られています。
トコフェロールとはビタミンEだと説明されることもありますが、ビタミンEは4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールの総称です。
酸化防止剤として4種類のトコフェロールが使われるのでミックストコフェロールと呼ばれます。
ローズマリー抽出物 ローズマリーは若返りのハーブと呼ばれるくらい強い抗酸化作用があります。
その抽出物はミックストコフェロールと並んで天然由来の酸化防止剤の代表です。
てんかんの持病がある場合ローズマリーは禁忌と言われますが、学術的な裏付けはありません。
タウリン アミノ酸様物質(正確にはアミノ酸ではない)ですが、犬の場合は体内で合成できます。
メチオニンやシステインなどの必須アミノ酸から合成されるので、通常これらが含まれる肉類を摂っていれば追加の必要はありません。
しかし添加されることで必須アミノ酸が体内で他の用途に使われるので無駄ではありません。
シナモン ドッグフードに使われているのは珍しいですね。
体を温めて血行促進、抗炎症作用、消火促進などの効能があります。
ターメリック カレーの黄色い色はターメリックです。日本語ではウコンです。
強い抗酸化作用と抗炎症作用があり、また肝臓の働きをサポートします。
さて、最初に戻って七面鳥肉と鶏肉について。
このフードのことを書くに当たって日本の公式サイトを探してみました。
でも販売しているサイトはいくつかあるものの、公式サイトが無いんですね。
だからカナダまたはアメリカから輸入している代理店の顔が全然見えない。
販売業者が出している製品情報もまちまちで統一されていない。
そのために、このフードに使われている肉類のとても重要な情報が伝えられていないことが多いんですよ。
(中にはきちんとした販売サイトもありますが)
このフードに使われている食肉は全てCertified Humane(人道的基準認定済み)。
つまり人道的な飼育はもちろん、輸送から屠殺まで生涯に渡って苦痛を伴わず動物福祉を重視して扱われた家畜/家禽の肉と認定されたもの。
魚介類はOcean Wiseという海洋保護プログラムに定められた、持続可能性の高いもの(絶滅危惧種ではない)が使われています。
このフードの七面鳥肉と鶏肉は、閉じ込められた状態ではなく自由に動き回れる環境で育てられ
苦痛を最小限にした方法で屠殺された鳥の肉です。
ビーフは放牧され牧草で育てられた牛の肉が使われています。
↓これは人道的な基準を定める非営利団体のサイト。
このニワトリたちの頭の上にあるマークが認定のサイン
話が逸れますが、11年前にdog actuallyに「人道的に育てられた動物の肉」について書いた時の記事。
2017年に自分のブログに再掲したのですが「そんな肉が使われているドッグフードは未だない」と書いていて感慨深いです。
肉だけでなく、フードに使われている全ての原材料の産地や業者は追跡が可能です。
公式サイトのページに製品のロットナンバーを入力すると、産地や業者が分かります。すごい!
「じゃすごく良いごはんね!」「良いごはん良いごはん!」
ニコニヤが若い頃にこのフードがあったら絶対に一度は試してみていたと思います。
カナダやアメリカに住んでいる方にも「良いフードだと思います」と言えます。
でも日本の方に対しては「う〜ん😖 微妙😞 」という感じです。
理由は先にも書いたように誰が輸入して管理しているのかが分からないから。
英語版の公式サイトは情報量が多いのに分かりやすく、これをきちんと翻訳すればいいのに、それすらもしていない。
というわけで、フード自体は良いものだと思いますが、流通の過程がわからないのが大きなマイナスポイントということです。
このフードを販売しているサイトや小売店を信頼するという方は、それはそれで良いと思います。
「自己責任で」という言葉は好きではないのですが、そういう意味合いのことを言わざるを得ません。すごく残念です。