宗恒の茶庭

「茶道 思いつくまま」や「和の美術」など

北宋書画精華 @根津美術館

2023-11-26 18:44:51 | 美術

年一回会う友人と明治記念館で昼食を取りお喋りした後、タクシーで根津美術館に行き北宋の書画を鑑賞しました。

今まで南宋(1127-1279)のものは結構見てきましたが、北宋(960-1127)の書画は初めてです。
清朝崩壊時に文化財が流出、それを日本人が蒐集に努めたのです。

山水画はよく見ると傘をさしている人物や天秤棒を担いでいる人物や家などが細かく描かれています。絵に上部には「天下第一」の大きな文字が描かれていてお墨付きを獲得した作品です。
古いものなので全体に赤茶けていて 暗い照明では細かい所は見にくいです。

今回の目玉、李公麟の「五馬図鑑」は大変な人気で行列になっていました。王朝では神品とされた作品です。西域から届いた馬とそれを引く人物も描かれています。五頭の馬はそれぞれ違ってそれを引く人も西域の人もいます。
また、李公麟の「孝経図巻」は源氏物語のように文字と絵が交互に続いて物語りなのではと思いました。

北宋製の料紙に書かれた古今和歌集巻子本がカラフルで美しかったです。


日曜日でしたので観覧者は多く外国の方もとても多かったです。
高低差のある庭園に出て紅葉も楽しみ、表参道駅まで歩き「来年もまたね」と言って別れました。
楽しい一日でした。
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テート美術館展「光」 @新国立美術館

2023-09-25 19:22:58 | 美術


娘と大学生の孫の3人で乃木坂駅で待ち合わせしてテート美術館展を鑑賞しました。平日なのに大変な混みよう。10月2日までなので最後の追い込みで我々のように来た方も多いのか? 又は同時にイヴ・サンローレン展も開催していたためか?

今回は「光」がテーマの絵画・インスタレーション・写真・映像などが展示されてます。
「光」と言えばターナーが有名で、大きな「湖に沈む夕日」「大洪水」の絵で大気・光を感じ、次にジョン・ブレットの「イギリス海峡」↓の大きな絵があり、この絵は雲間から海に光が差していて海の表現が素晴らしかったです。そしてコンスタブルの「風景画」が続きます。

それからは「無題」の抽象画、「しずく」「舗道の水たまり」「液体の反射」「光の戯れ」など現代アートに入ります。
黒いカーテンに仕切られた部屋にはLEDライトのブルーの作品。
そして最後の「星くずの素粒子」↑という大きな多角形球体が天井から下がってそこに光を当てて当て方で周りの壁に面白い陰影を出しているといった作品。これは美しいと思いました。
大学生の孫は現代アートも気に入っているよう・・・私は難解でやや苦手。
場所をミッドタウンに移して孫おすすめの"idee cafe"でお茶しました。私一人では絶対に行かれないcafe、シフォンケーキと季節のドリンクを頂き祖母・娘・孫三代で話に花が咲きました。

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春陽会100年それぞれの闘い展 @東京ステーションギャラリー

2023-09-17 16:08:34 | 美術


少し猛暑もおさまったので、東京駅まで出かけました。人出は山手線内・東京駅は観光客で大賑わい。私は優先席の車両に乗り、行きも帰りも座れました。有難いです。

春陽会は1922年、帝国美術院、二科会に拮抗すべく第3の洋画団体として設立されました。

梅原龍三郎・中川一政・三岸好太郎・岡鹿之助、岸田劉生・萬鉄五郎ら名だたる画家が所属しています。途中梅原・岸田は退会しましたが。
こだわりのある画家、前衛的な画家が多かったようです。
劉生の静物画「竹籠含春」↓の椿の絵は入場券の図柄になっていますが良かったです。中川一政の「向日葵」↓はゴッホの作品を思い出します。
小杉放庵「母子彩果」↓は大きい絵です。萬鉄五郎の「裸婦」はデフォルメしたもの、長谷川潔「小さな金魚鉢」はモノトーンで細密に、岡鹿之助「窓」↓は今回の展覧会でのお気に入りナンバー1。
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甲斐荘楠音(かいのしょう ただおと)の全貌展 @東京ステーションギャラリー

2023-07-29 07:07:56 | 美術


甲斐荘楠音(昭和初期の画家)の絵は前にも見たことがあり、不気味な表情の女性を描くのが印象的でした。
今回も女人像が多いでした。やはり「横櫛」は2点出ていましたが女性の顔いろは悪く、表情も微笑んでいるようですが目は何か怨念が鬱積されているような感じです。着物の柄も龍に炎、女性的ではありませんが大変綿密に美しく描かれています。

最後と思われる「虹のかけ橋」は7人の花魁が長い文を広げている絵ですが、女性たちの顔いろはちょっと悪いです。衣装はそれはそれは丁寧に細かく彩り良くうっとりするほど美しく描かれているのにもったいない感じ…でもこれが楠音の個性。

楠音は演劇・映画にも個性を発揮し、東映の時代劇の衣装もいろいろ考案しました。
今は懐かしい「旗本退屈男」「新吾十番勝負」などの衣装などにも関わりました。その衣装も沢山展示されています。映画のポスターなども。
私は昔大川橋蔵ファンで時代劇映画を姉としょっちゅう見に行っていましたので、とても懐かしかったです。
東映の時代劇隆盛の時代でした。
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木島櫻谷展 @泉屋博古館東京

2023-06-26 07:45:54 | 美術


大分前に初めて木島櫻谷(このしま おうこく)という画家を知りました。
「寒月」↑という屏風に描かれている雪中を歩いている狐の鋭い目つきがとても印象的でした。
またその絵に会いたいと出かけました・・・・ところがこの絵18日までの展示で残念ながら見られませんでした。

動物画で名を馳せた櫻谷ですが、今回は写生画に焦点を合わせた展覧会でした。耶馬渓など各地に出掛け山海風景を徹底的に写生し、写生帖はなんと600冊もあるそうです。
写生した通りに屏風等に描いたのではなく、それを醸成して心の中の風景を本描きしたそうです。
中国の山水画は景色の中に楼閣や賢人などが描かれることが多いですが、櫻谷の山水図には雄大な風景の中に庶民目線の小さく人物や馬、小屋等が描かれていて、何かホッと親しみを感じます。

「馬路之春」は色彩豊かに宿場の風景を描いた屛風です。左隻には出立する人や荷物を置いて休んでいる旅人を繊細に、右隻では外でくつろいで待ってる馬が描かれ、これも櫻谷かしらと思わせる絵でした。どんな絵を描いても素晴らしい・・・


櫻谷は漢詩も書も素晴らしく、稀有な才能に恵まれそれをじゅうぶん楽しんだ61歳の人生だったのだと思いました。
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