宗恒の茶庭

「茶道 思いつくまま」や「和の美術」など

西田 俊英 展 @名古屋松坂屋美術館

2024-02-27 19:07:34 | 美術

先日のNHKEテレ日曜美術館で「西田俊英展」を取り上げていました。
西田俊英画伯は武蔵野美術大学を退官後、屋久島に一年間滞在し、原生林にいたく魅了されて「人間と自然の共生」「生命の循環」をテーマに壮大な物語を絵で表現されました。高さ3m 長さ40mもの大作です。

屋久島は雨が多く植物は大きく育ち、岩や石は苔がびっしり生えてまさに太古の原生林のようです。
西田画伯が巨樹を前に素描されている様子もTVで写されました。
巨樹と対峙していると自分は本当に弱いと実感 「人間が人間に帰る」気持ちになると、そして涙まで出てくるとおっしゃっていました。

その放送を見て私はその絵がとても見たくなり今日名古屋まで出かけました。 

やはり、混んでました。絵の大きさに圧倒され 原生林の描写が大変丁寧に細かく描かれていて水辺には蟹やカエルなど、また苔むした森の中には猿や鹿が、そして森の妖精や人間も、蝶や虫、百合なども何気に目立たなく描かれていて幻想的な物語仕立てのようです。湿度も感じます。
あまりにも素晴らしかったので何回も廻って、椅子に腰かけて15分ほどずっと眺めていました。
実物が見られて本当に良かったです。新幹線に乗ってきた甲斐がありました!



今回ので完成ではなくまだ続き、前代未聞の70mのもの作品にされていくとのことです。期待したいです。

天気が良く、新幹線からは真っ白な真綿にくるまれているような富士山も眺められ良い日でした。

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みちのく いとしい仏たち @東京ステーションギャラリー

2024-01-21 20:04:04 | 美術


久しぶりの雨ですが午後から上がるというので東京駅まで出かけました。
この展覧会、チラシを見てこの仏さまたちに会いに行きたくなったのです。

みちのく(青森・岩手・秋田)のお寺に伝わる民間仏様たちです。
運慶や快慶など有名な仏師によって作られた仏像とは全く違います。
みちのくでは自然環境が厳しく林業や農業 漁業など大変苦労な土地柄です。そこで村に小さな祠(ほこら)お堂に仏師でもない木工する人々が仏像や神像を彫り、祭ってよりどころにしていたそうです。

とても素朴で拙さの残る仏様たちは威厳さは全くありません。優しい目、穏やかな表情で笑みも浮かべています。お不動様も怖いイメージで彫られてますがユーモラスさを感じさせます。村人と同じ目線で守って下さる感じです。
仏様たちのお顔も「あーこういうお顔の方 実際身近にいらっしゃるわ」と思わせます。

素朴とはいえやはり仏様、相対していますと心が落ち着きますし、拝みたくなります。
サイズも20cmくらいの小さい物から1mほどの仏様まで、如来様、お釈迦様、山神様、観音様、不動様そして十王像さまなど130点ほどの仏様にお会いし、心が洗われた様でした。
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大坂 藤田美術館 

2023-11-30 09:18:52 | 美術
中之島美術館に行ったついでに藤田美術館にも行きました。
大阪は土地勘が全くなく、地下鉄も全く分からないので中之島美術館からタクシーで行きました。
この美術館にはずいぶん前にも一度行ったことがありますが、まったくの変わりようです。前はお蔵のようなところが展示室でした。

しかしその時 曜変天目が出品されていて、「懐中電灯で見ますか?」と言われ懐中電灯の明かりを照らして見せていただいた覚えがあります。
今は明るい新しい建物に変わっています。切符売り場はありません。現金ではだめで係員の方にクレジットカードから1000円入館料として引き出されました。キャッシュレスです。違和感も覚えつつ、もうそういう時代なのかと驚きました。

いろいろスマホを当てると説明がされたり写真が撮れると説明を受けて中に入ります。中はうす暗く3室で、絵画、仏像、茶道具に分かれていて展示品はとても少ないです。各コーナー10点以下。
確かにスマホでバーコードを操作すると解説が聞こえました。キャプションがないのです。
運よく学芸員の解説が始まり いろいろわかりやすく説明がされました。

立派な美術館で沢山美術品をお持ちなのに展示品の少なさにはちょっとびっくりしました。
しかし、外にはよく手入れされた広ーい庭園があり、ニ重塔もあって紅葉も楽しめ、広い芝生エリア池もあってこれまたびっくりです!
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長沢芦雪展  @大阪中之島美術館

2023-11-30 07:18:38 | 美術
NHK日曜美術館で11月26日「シン芦雪」を見ました。

芦雪と言えば和歌山の無量寺の「龍」・「虎」襖絵を思い出します。前にも「応挙と芦雪」展(2006年)や「とら・虎・トラ」展(2013年)でも見ていますが、またあの迫力ある「虎」「龍」に会いたくなり大阪まで行きました。

中之島美術館は真っ黒な四角い建物…中に入ると「ターナー展」もやっていたのでチケット売り場は長蛇の列!


芦雪は応挙に師事して初期はきちんとした花鳥画や人物、動物画を描いています。描写が写実的で丁寧に繊細に描かれ美しく素晴らしいです!

しかしそれに飽き足らず、大胆な発想と構図で独自の芦雪ワールドを展開していきます。
期待していた「虎」の襖絵が前期展示で見られませんでした。残念!!
しかし「龍」」の方は見られ、迫力感を堪能。
「牛図」や「群猿図」も楽しめました。
応挙は狩野派に飽き足らずに独自の世界に、芦雪は応挙に飽き足らず独自の世界に・・・こうして画家・絵師は個性を出していくのですね。

生誕270年記念の展覧会、46歳で亡くなった芦雪の画業を余すことなく鑑賞でき大満足の展覧会でした。
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北宋書画精華 @根津美術館

2023-11-26 18:44:51 | 美術

年一回会う友人と明治記念館で昼食を取りお喋りした後、タクシーで根津美術館に行き北宋の書画を鑑賞しました。

今まで南宋(1127-1279)のものは結構見てきましたが、北宋(960-1127)の書画は初めてです。
清朝崩壊時に文化財が流出、それを日本人が蒐集に努めたのです。

山水画はよく見ると傘をさしている人物や天秤棒を担いでいる人物や家などが細かく描かれています。絵に上部には「天下第一」の大きな文字が描かれていてお墨付きを獲得した作品です。
古いものなので全体に赤茶けていて 暗い照明では細かい所は見にくいです。

今回の目玉、李公麟の「五馬図鑑」は大変な人気で行列になっていました。王朝では神品とされた作品です。西域から届いた馬とそれを引く人物も描かれています。五頭の馬はそれぞれ違ってそれを引く人も西域の人もいます。
また、李公麟の「孝経図巻」は源氏物語のように文字と絵が交互に続いて物語りなのではと思いました。

北宋製の料紙に書かれた古今和歌集巻子本がカラフルで美しかったです。


日曜日でしたので観覧者は多く外国の方もとても多かったです。
高低差のある庭園に出て紅葉も楽しみ、表参道駅まで歩き「来年もまたね」と言って別れました。
楽しい一日でした。
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