定本宋斤句集 秋 5 2018-09-06 | 永尾宋斤の句集:宋斤 思い出の記・定本宋斤句集 定本宋斤句集 秋 5 秋の川 我が二階しづかと云はれ秋の川 桟 庭 秋の水 秋の水膝で押しゆく板のうへ 秋の水に金魚二つが戀をする 秋袷 川霧の朝より著たり秋袷 秋の燈 ほそみちの秋の燈の窓擦りゆけり 病み居れば友にも甘え秋投下 鳩峰居 投下可親 燈下親し瓶の小魚の名を知らず 盆 ひとのように盆ゆく田舎ほしきかな 盆踊り 葛の葉はところの名にて盆おどり 花 火 旅ひとり欄にある花火かな 添 水 麓空雲のこづみも添水打つ 稲 舟 稲舟や娘も乗って夕日さし 秋 耕 秋耕や晴れて塩谷の遠き屋根 菊人形 あさましく動く手のあり菊人形 菊人形顔かはいそう何処を視る 海贏うち ふところに勝留め海贏と柿とかな 登 高 ふところにさし入る朝日登高す 夜 業 病んでゐてなによきものか夜業の燈 夜 学 星座仰いでしばらく遊ぶ夜学哉 砧 湖ひろく今宵の砧きこゑけり