早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

定本宋斤句集  秋 6

2018-09-10 | 永尾宋斤の句集:宋斤 思い出の記・定本宋斤句集



定本宋斤句集  秋 6

砧      砧盤蟲のあがりてひげ長し
秋 扇    嘘いふてばかりにあふぐ秋扇
秋の燈    秋の燈の海にならべる家のかず
芦刈る    刈り入って舟尻のこす芦の中
鹿火屋    鹿火屋の戸押せば開くなれ山の音
       止々呂美の鹿火屋をしのぶ霧今宵
鹿 垣    鹿垣をまたぎ出て道亀岡へ
鹿 笛    ふところに鹿笛ありて野の寒し
焼 畠    焼畠を霧のぬらせば伏す煙
橡 餅    橡餅や霧につゝまれほろ苦し
祭り     みちみちの田舎も祭り尾花坂
       野をはさみ祭提燈小更けゝり
       盛りあげて鯖鮓秋まつり
秋彼岸    親の日が彼岸の入りや庭の秋
魂 祭    佛檀を隠居あづけに魂祭り
地蔵盆    住む町や展けのこされ地蔵盆
子規忌    子規忌來併修百六十句友嗚呼
一遍忌    一遍忌頃元弘の兵庫の津 
鬼貫忌    草の香は伊丹のはずれ鬼貫忌
道行忌    俳諧の時衆誰々遊行忌