本宋斤句集 秋 8 2018-09-29 | 永尾宋斤の句集:宋斤 思い出の記・定本宋斤句集 定本宋斤句集 秋 8 北摂六瀬 白日のしほからとんぼ透く羽 蜻蛉に冬が来るなる山雨かな 壁を塗る見ておもしろし蝗飛ぶ 草露に易く獲らへし蝗かな はたはたの交める飛びし露朝日 蟲 蟲今宵もやひ筏の草茂り 痛み居れば暁けをひた待ち蟲を聴く 棧庭や今宵鳴きそむ蟲に倚る 蟲寒し絶えずも鳴くにまた彼方 左門殿江頭わたり 釣りひとりうづくまり居り蟲の果て 壁のうちたへず藁打ち蟲さむし さむくなる秋のたしかさ蟲の声 邯鄲 邯鄲を鳴かせて書架の抜き窪に かんたんを買ひてせめての奢りかな 朝 鈴 朝鈴に朝の掃き拭きまづ済みし ちゝろ蟲 病苦句にいふや卑怯やちゝろ鳴く むし時雨往くほど道に昔あり 残る蟲 残る蟲地に委す燈あるからに 桐一葉 大地いま朝日みなぎり一葉あり