早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

早春 早春大正十五年六月 第一巻第五号 一題百句 宋斤 

2019-12-29 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく



   一題百句

   一題百句を作る努力をすゝめる。
   題詠の本来のものでないことを云ふ人がある。 多作の弊を笑う人がある。
   一題百句の吟は二つの弊害を合わせたものである。しかし、一題百句をすすめる。
   これの効果は、作品ではない、作句中である。
   ともかくも、暇を見てやってみるがよい。良いも悪いもその後のことである。
   作句修練の途に於いて、一回や二回の百句吟の経験を持ってゐてもよい、この白熱的な時代はあって好いことである。
   一度一題百句を作ると、量ではない、質に於いての己の程度ほゞ解る。
   己れの眼と心の幅も奥行きも案外小さいことに気がつく。
   行き詰まった時の、頭の入れ替へに、作った百句の常套を捨てるための、その廃棄品を並べてみるだけでも必要である。

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