早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十三年一月 第二十五巻一号 近詠 俳句

2022-01-16 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十三年一月 第二十五巻一号 近詠 俳句

   皇紀二千五百九十八年 元旦

   近詠
大旦をたゞに東方拜しけり

元旦や海のしたしさふかぶかと

渡舟守の寒しといふも淑気かな

初雲の一如としろし海

元旦の夕かげそみぬ蔵の壁

たちまちに火も咲いてけり初竃

一丘にまつわる種神初日南

かれ草の齋しうぬくし初かど出

野に袴脱いで年酒の酔発す

弾初めを旅にきゝゐる茶垣かな
 
銃後我れ老兵の我れ水涕

暖爐燃ゆ戦死の友の弟と

雲に仰ぎたつきの師走家を出づ

雪降るとて軍事郵便ありにけり

巫女呼ばれゐて山茶花を戻るかな

風の窓川を見なれてのつぺ汁

鶸の嘴籠にて見れば冬日透く

船さまざま拾ひや舟にいま

(桟上)よき日南座席の膝に空をゆく

飛機着水冬日の波を穿きし哉


   早春社本句會納會  兼題「冬の天文と気象」
町の燈に入りて霰を踏みにけり

初霜のしるく井の縁ぬりしかな


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