宋斤の俳句「早春」昭和十三年一月 第二十五巻一号 近詠 俳句
皇紀二千五百九十八年 元旦
ゝ
近詠
大旦をたゞに東方拜しけり
元旦や海のしたしさふかぶかと
渡舟守の寒しといふも淑気かな
初雲の一如としろし海
元旦の夕かげそみぬ蔵の壁
たちまちに火も咲いてけり初竃
一丘にまつわる種神初日南
かれ草の齋しうぬくし初かど出
野に袴脱いで年酒の酔発す
弾初めを旅にきゝゐる茶垣かな
銃後我れ老兵の我れ水涕
暖爐燃ゆ戦死の友の弟と
雲に仰ぎたつきの師走家を出づ
雪降るとて軍事郵便ありにけり
巫女呼ばれゐて山茶花を戻るかな
風の窓川を見なれてのつぺ汁
鶸の嘴籠にて見れば冬日透く
船さまざま拾ひや舟にいま
(桟上)よき日南座席の膝に空をゆく
飛機着水冬日の波を穿きし哉
早春社本句會納會 兼題「冬の天文と気象」
町の燈に入りて霰を踏みにけり
初霜のしるく井の縁ぬりしかな
皇紀二千五百九十八年 元旦
ゝ
近詠
大旦をたゞに東方拜しけり
元旦や海のしたしさふかぶかと
渡舟守の寒しといふも淑気かな
初雲の一如としろし海
元旦の夕かげそみぬ蔵の壁
たちまちに火も咲いてけり初竃
一丘にまつわる種神初日南
かれ草の齋しうぬくし初かど出
野に袴脱いで年酒の酔発す
弾初めを旅にきゝゐる茶垣かな
銃後我れ老兵の我れ水涕
暖爐燃ゆ戦死の友の弟と
雲に仰ぎたつきの師走家を出づ
雪降るとて軍事郵便ありにけり
巫女呼ばれゐて山茶花を戻るかな
風の窓川を見なれてのつぺ汁
鶸の嘴籠にて見れば冬日透く
船さまざま拾ひや舟にいま
(桟上)よき日南座席の膝に空をゆく
飛機着水冬日の波を穿きし哉
早春社本句會納會 兼題「冬の天文と気象」
町の燈に入りて霰を踏みにけり
初霜のしるく井の縁ぬりしかな
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