宋斤の俳句「早春」昭和十三年二月 第二十五巻二号 近詠 俳句
近詠
大寒を軍事郵便みな句あり
降るほどに時雨明るし向つ山
籠の鶸貧食しては北風に怖づ
大霜の軌條復々するところ
冬眠の眼はものを視て河鹿かな
女正月みなが舊師に甘へつゝ
凧の下林檣或は移るあり
山茶花に莟盡きざりお正月
初天神正月のなほ街にあり
地震のあと叉と疑ひ日なたぼこ
冬日南もたいなけれど尿をする
知らぬ町あるきながらや寒ぬくし
寒の水龍の口より練り落つる
寒の燈は道に置かれてありしかな
鶺鴒の飛ぶが二方へ寒景色
窓は川朝が來てゐて霙降る
先祖代々の足袋もあるらしぼての中 ぼて=棒手葛籠
短日や家の底から船ひゞく
雪曇り空の鷗と水擦ると
寒土用水を動かし魚動く
春近き入日とおもふ帆澤山
闇汁句座 年中行事の闇汁會
會後早春社製作の俳句映畫「句人往來」その他を観賞、散会。
猫車はじく實枯れが顔に來て
藤豆の枯れ枯れ曇りはなれずに
春堤
春堤や家の脚には別の水
春堤にうかと登って風強し
早春社一月本句會
東風渡りければ橘かゞやかに
面あげて橘のあり初日南
橘のあるを句想に空青き
城のある風景
いかのぼり城ありて街のたゝずまひ
城あとや落葉いつしか湖の岬
晴明會
冬の音やめて出て來し樵夫かな
冬の音谺はさらに夕せまる
近詠
大寒を軍事郵便みな句あり
降るほどに時雨明るし向つ山
籠の鶸貧食しては北風に怖づ
大霜の軌條復々するところ
冬眠の眼はものを視て河鹿かな
女正月みなが舊師に甘へつゝ
凧の下林檣或は移るあり
山茶花に莟盡きざりお正月
初天神正月のなほ街にあり
地震のあと叉と疑ひ日なたぼこ
冬日南もたいなけれど尿をする
知らぬ町あるきながらや寒ぬくし
寒の水龍の口より練り落つる
寒の燈は道に置かれてありしかな
鶺鴒の飛ぶが二方へ寒景色
窓は川朝が來てゐて霙降る
先祖代々の足袋もあるらしぼての中 ぼて=棒手葛籠
短日や家の底から船ひゞく
雪曇り空の鷗と水擦ると
寒土用水を動かし魚動く
春近き入日とおもふ帆澤山
闇汁句座 年中行事の闇汁會
會後早春社製作の俳句映畫「句人往來」その他を観賞、散会。
猫車はじく實枯れが顔に來て
藤豆の枯れ枯れ曇りはなれずに
春堤
春堤や家の脚には別の水
春堤にうかと登って風強し
早春社一月本句會
東風渡りければ橘かゞやかに
面あげて橘のあり初日南
橘のあるを句想に空青き
城のある風景
いかのぼり城ありて街のたゝずまひ
城あとや落葉いつしか湖の岬
晴明會
冬の音やめて出て來し樵夫かな
冬の音谺はさらに夕せまる
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