宋斤の俳句「早春」昭和十七年一月 第三十三巻一号 近詠 俳句
必携大東亜戰争
宣戦のこの日凍雲團々と
冬大日神軍外に捷ちて勝つ
必捷を国土にこたふ風花歟
近詠
今八日冬山醒めぬ洋波また
宣戦のこの日凍雲閃々と
必捷を祈りつ空は風花歟
冬大日神軍征きて捷ち勝てり
御民一億朽野の果ての爐邊も起つ
冬空は一億士気の反映に
儼として國民向かふところ冴えぬ
霜の聲男子の血心奮う時
○
大東亜百年の計元旦よ
南の武運祈りて具足餅
初空を我軍機ゆくいと正し
地球儀にひとり視入りて去年今年
我國ゆ世紀いまなる初門出
若き年來りぬ風邪を振りすてん
◯
朝の快さ香港陥ちて石蕗晴れて
冬がすみ山をあらはす東かな
萬年青の實冬にまみれて肥ゆるかな
山に見る鳥の黒さ桑の枯れ
十二月地に鬻ぐもの風にあり
マスク外して使ひの言葉確かな子
川舟の焚く火が寒し風邪ごもり
野に出てゝ土を踏みたし枯れ中の
つゞくりてつゞくりてありて白き洗ひ足袋
雲影を帆うつる空に冬至晴れ
旅なれの脚が焚火の端またぐ
冬椿小枝に莟もたぬなき
秋の水
浮ほこり一すじながれ秋の水
秋の水岐れてつつむ町美し
ものおもふ日の秋の水ふかき哉
紀元二千六百一年十二月八日 実戦警戒管制下
二葉會
冬濤の鼓たり崩けて征矢たりぬ
必携大東亜戰争
宣戦のこの日凍雲團々と
冬大日神軍外に捷ちて勝つ
必捷を国土にこたふ風花歟
近詠
今八日冬山醒めぬ洋波また
宣戦のこの日凍雲閃々と
必捷を祈りつ空は風花歟
冬大日神軍征きて捷ち勝てり
御民一億朽野の果ての爐邊も起つ
冬空は一億士気の反映に
儼として國民向かふところ冴えぬ
霜の聲男子の血心奮う時
○
大東亜百年の計元旦よ
南の武運祈りて具足餅
初空を我軍機ゆくいと正し
地球儀にひとり視入りて去年今年
我國ゆ世紀いまなる初門出
若き年來りぬ風邪を振りすてん
◯
朝の快さ香港陥ちて石蕗晴れて
冬がすみ山をあらはす東かな
萬年青の實冬にまみれて肥ゆるかな
山に見る鳥の黒さ桑の枯れ
十二月地に鬻ぐもの風にあり
マスク外して使ひの言葉確かな子
川舟の焚く火が寒し風邪ごもり
野に出てゝ土を踏みたし枯れ中の
つゞくりてつゞくりてありて白き洗ひ足袋
雲影を帆うつる空に冬至晴れ
旅なれの脚が焚火の端またぐ
冬椿小枝に莟もたぬなき
秋の水
浮ほこり一すじながれ秋の水
秋の水岐れてつつむ町美し
ものおもふ日の秋の水ふかき哉
紀元二千六百一年十二月八日 実戦警戒管制下
二葉會
冬濤の鼓たり崩けて征矢たりぬ