我謝監督が全身全霊をかけて伝えたいという思いを見せつけられるドキュメンタリー。
自分の人生を改めて振り返って今後のことなんかをますます考えたくなる。
お茶碗のアップ、静かにお抹茶を立てているシーンからはじまる。
お茶の道、茶道は ひとつの決められた所作を丁寧に、ゆっくりと、こころを込めて。
母と娘。
人生の選択は必ずしもひとつじゃない。
ニューヨーク国際インディペンデント映画祭招待作品、同映画祭にて観客賞、最優秀文化ドキュメンタリー賞受賞。
2001年から現在、NY在住でテレビ東京から母子単身赴任でロイターに転職しドキュメンタリーは平日の仕事の合間の土日で創り上げたという2009年作品。
監督ご本人からわたしのこのブログを通してお声かけて頂いたご縁でこのドキュメンタリーの存在を知り,観れたことに感謝。
朝10時半からの上映だったので早起きして、お子さんが一人いるお友達のtomocoさんをお誘いして観て来た。
我謝さんはテレビ東京報道局でディレクターとして活躍後退社に娘さんと2人でNYに渡り、
現在はトムソンロイターの記者兼レポーターを務めているパワフルな女性。
この映画の前半は、監督のこれまでの人生の振り返りまとめた回顧録ともいうべきもので、ご自身の子供の頃の映像や
写真を交えながら、気取りのない気さくなイメージの人柄のままインタビューで語られる。
後半はNYに住む友人たちへのインタビュー、そして娘のアンナちゃんとのこと、お母様へのインタビュー。
厳格な母親に育てられた幼少期から、高校で海外留学
テレビ東京でバリバリキャリアウーマンしている時、子宮の病気を患ってしまった事によって 赤ちゃんを産むという選択をする。
そして、大きく人生を変えることを決心。2001年4月に母子単身赴任でNYに行き、頑張っている最中の5ヶ月後、
あの9.11のテロを経験されている。
特にご自宅のマンションはあのツインタワーの側で、娘のアンナちゃんが通っていた学校もすぐその下に。
マンションの中は食べかけのカレーが残ったまま、荷物全部残したまま退去を命じられて入ることも出来なかったという。
そしてその後7回も引っ越し、5年をかけて生計を立て直した。
そのあたりまでは詳しく描かれないけど、監督の友人でNYに住む日本人女性たちが数人出て来て
インタビューに答える。
海外で暮らすということ、日本を出て来たことについての罪悪感がある人もいれば、
日米の「女性が社会に出て、バリバリ仕事をする」ということについての認識の違い、
子育てと仕事の両立について、子を産む選択、または産まない選択、
日本での生活か、NYでの暮らしか迷いながらも自分が出来る事、
やりたいことを見つけて実現に向かって前向きに頑張ってる女性たちが映し出される。
7/10(73点)
観た後、すごく背中を押される気持ちになる。
好きなことをしながら仕事をしながらも、30もとっくに過ぎて、わたし自身の人生も最近よく考える。
とくにこの震災があってからというもの 日本という国そのもののこともどうなっていくんだろう?という不安。
妹の一人が海外に住んで先に家庭も持ち安定した生活をしてる中、
父の仕事の関係で父とは離れて札幌にいる母親(いや両親)の将来のことや、自分の将来のビジョンがいまだにしっかり見えてもいず、
"近いうちいつかNYに住む"という夢を漠然と抱いたまま、お金と時間ができると海外に旅行したりという生温い生活をしてる。
とにかく観ていて感じたのは、我謝さんのエネルギーとたくましい行動力
口で言ってみることも大事だけど、
言ってるだけじゃダメなんだよね。行動してなんぼ。改めてそれを感じる映画だった。
そして理解あるおかあ様の存在があったからこそ、我謝さんも好きなことを出来たのだろうし、
母親の協力や愛というのももちろん大事な原動力になっているんだと思う。
がむしゃらに行動することも大事であると同時に、
ある人生の通過点のなかで、ふと立ち止まって自分を振り返ってみることは重要。
3月11日のあの悪夢ような災害、その後の日本復興に向けての取り組み。
ひとりひとりが今、立ち止まって考える時が来てるのかもしれない。
何にするにも、それぞれ個々の気力と活動エネルギーってとても大事だ。
何をするにも全て、自分次第だと思うから。
あと3日、都内(東中野)でこのドキュメンタリーは上映してます
その後、各地で上映されるかも。
最終日の27日には、我謝監督の舞台挨拶もあるので、是非行けそうな方は観てパワーをもらっては
わたしも高校生の時は一応茶道部で、お茶立てる時の緊張感が好き。
慌ただしい毎日の生活の中、たまに心をひきしめて、静かに気持ちを落ち着けてお抹茶たてたくなった。
Mother’s Way, Daughter’s Choice 2009年 アメリカ 85min
5月27日まで、ポレポレ東中野にて上映中~
▲予告編