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東田直樹さんのエッセイ(毎週水曜更新)
第28回「東田直樹の絆創膏日記」が掲載されました。
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2018年5月17日
自分の思いが相手に伝わらないと悩む人は多い。
わかってもらえないという心理の裏には、わかってもらえて当然だという考えがあるような気がする。僕自身は、気持ちは伝わらないのが普通だと思っている。
期待するから失望する。
人に期待してはいけないと言いたいわけではない。期待してもいいが、自分の予想していた通りにならないからといって、恨んだり、悲しんだりしてはいけないのだと思う。
期待とは、自分勝手な想像だ。その人の頭の中で描いたストーリーであって、現実とは別の世界の話なのである。
「望みつつ待つ」という状態は、希望につながる。だから、期待通りにならないとがっかりする。
人の心は、自分の心以上に理解不能なものである。心というものは、些細なきっかけでぐらつく。ぐらつくだけではなく、全く別の方向を向くことさえある。
自分の言動が人の気持ちを左右することもあるかもしれないが、実際のところ、どのように影響を与えたのかは、誰にもわからないのだ。
心は壊れやすいガラスに似ている。
存在するのに誰にも見えない。けれど、傷だけはついていく。そして、その傷は、一度ついたら取れることはない。
だからといって、思いが相手に伝わらないから、おしまいだとは限らないのだ。伝わらなくても、よい結果に結び付くことだってある。
人の心は思い通りにならないことがわかれば、必要以上に自分の心が傷つくこともないだろう。
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確かに私の心の中には、
「相手にわかってもらえて当然だ」と云う気持ちがあります。
そんな気持ちがあるからこその失敗は、沢山あります。
相手を傷つけたり、反対に傷ついたり。。。
そんな若い頃の失敗は、ほとんど
「相手にわかってもらえて当然だ」の気持ちに由来していたのだな~と
今にして思います。
しかし、東田さんが述べていらっしゃる様に、
「人の心は思い通りにならない」と云うことを、もっと強く自覚していれば。。。
と今になって思うのです。
せめて、今からでも、そう自覚しようと思います。