発表会が近いので、最近のレッスンは、どうしても一生懸命になってしまいます。
教師が一生懸命になり過ぎるのは、実はあまり良くないことなので、自重はしているのですが。
さて、発表会間近のレッスンで、いつも不思議に思うことがあります。
発表会直前になると、大抵の子は、どんどん速く弾いてしまいます。
弾ける事が嬉しくて、つい速く弾いてしまうのだと思うのですが、
きちんとした速さで弾いてほしくて、私は何度もお手本を弾きます。
「先生が、今からお手本を弾くからね。よ~く聴いてね。」
そう言って、お手本を弾くのです。
何年か前のある日、Eちゃんが、とてつもなく速く弾いてきたので、私は、ふと思い付いて
「今から先生が弾くから、何分か計ってね。」と言いました。
Eちゃんは、時計を見ながら聴いていました。
私は、弾き終わって「何分だった?」と聞きました。
Eちゃんは「3分25秒でした。」と答えました。
「Eちゃんも、3分25秒で弾く位、落ち着いて弾いてほしいなぁ。
もう1度、弾いてみて。」
Eちゃんが、弾き始めたので、私も時計を見ながら聴きました。
すると、Eちゃんは落ち着いたテンポで、ピッタリ3分25秒で弾いたのです
「凄いね ピッタリ3分25秒だったよ
」
Eちゃんも、ビックリしていました。
そのことが不思議だったので、私は、他の子でも同じように試してみました。
すると同じような結果になりました。
1分50秒でお手本を弾いた後でY君に弾かせたら、Y君も1分50秒で弾きました
S君に、2分15秒のお手本を聴かせた後で弾かせたら、S君も2分15秒で弾きました
子どもの聴力と再現力の素晴らしさには、計り知れないものがあるようです。
但しこのことは、発表会直前のように、
生徒さんが、その曲を、よく弾き込んでいる場合だけに通用することです。
速く弾きすぎる生徒さんを指導する時には、非常に効果的な指導法だと思います。