少し前のことになりますが、11月24日、都内の「やなか音楽ホール」へ、
アンサンブルの演奏会を聴きに行って来ました。
ヴァイオリンは竹林真弓さん、チェロは武井英哉さん、そしてピアノは新垣隆さんです
演目は「チャイコフスキー 荘重な響き」と称して、
♪ノクターン 作品19ー4(チェロ&ピアノ)
♪なつかしい土地の思い出 作品42(ヴァイオリン&ピアノ)
♪ピアノ三重奏曲 イ短調 作品50「偉大な芸術家の思い出に」
以上、オール チャイコフスキーの3曲でした。
どれも、非常にロマンチックで美しい曲です。
新垣さんは10月に、May J.さんとの共演の為、
ロシアのサンクトペテルブルクを訪れていらっしゃいます。
そんなこともあり、新垣さんがロシア音楽をどのように奏でるのか、
私はとても楽しみにしていました。
思った通り、ノクターンも、「懐かしい土地の思い出」も、素敵な演奏でした。
でもやはり、「偉大な芸術家の思い出に」が圧巻でした。
この曲は、芸術的にも、技術的にも、かなり難易度の高い曲なのですが、
3人の息と音色がピタリと調和して、素晴らしい演奏だったと思います。
美しいメロディーを奏でるヴァイオリン、それを支えるチェロ、
そして、新垣さんが奏でるピアノ。
特に、ピアノの高音部の華やかな音色が、華やかでありながら切なくて、
チャイコフスキーの音楽に、すっかり引き込まれました。
新垣さんのピアノは、とても不思議です。
いつも飄々と軽やかにピアノを演奏されるのですが、
音には、様々な色彩が宿っているようです。
そして、音には濁りが無く、ひたすら美しいのです。
客席からペダリングを見ていると、結構長く踏んでいらっしゃることが多く、
私などが真似をすると、絶対に音が濁ってしまう様なペダリングです。
それなのに、新垣さんが奏すると美しく響くのですから、
素晴らしいな~と思います。
新垣さんは作曲家ですので、和音の響きを熟知していらっしゃいます。
和声を知り尽くしているからこそのペダリングなのでしょう。
誰も真似することの出来ない、ペダリングと音色だと思ったのでした。