KADOKAWA発の文芸情報サイト「カドブン」で、
自閉症の作家・東田直樹さんのエッセイ(毎週水曜更新)
「東田直樹の絆創膏日記」
第55回 蓑虫になりたかった僕 が掲載されました。
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2018年12月1日(土)
人は常に、誰かに気持ちをわかってもらいたいのだ。苦しくて、辛い時ばかりではなく、嬉しくてしかたない時にも、思いを受け止めてくれる人がいると、心は満たされる。
自分の思いを人に伝える。
すると、「そうなんだ」「大変だったね」「良かったね」そんな言葉を返してもらえる。
誰かに話したことで、気持ちが楽になるのだと思う。ひとりで運んでいた重い荷物を、少し持ってもらえたような気分になるのだろう。
でも、相手が自分の気持ちを、きちんと理解してくれたかどうかはわからない。どんなに詳しく説明したとしても、すべてをわかってもらうことは難しい。
僕は、ひとりきりでいる時に、よく自分に話しかけている。
「あの人は、どういう意味で言ったのだと思う?」みたいな問いかけを自分にするのだ。
納得した答えが見つかると、自分で自分を褒める。
「すごい答えが見つかったね!」
みんなのように上手く会話が出来ないために、僕は自分の中に、もうひとりの自分をこしらえている。
悩みがある時、僕は、もうひとりの「僕」に打ち明ける。
もうひとりの「僕」というのは、僕が思い描いている理想の自分だ。頭脳明晰、明るくて前向きな「僕」である。
僕が落ち込んでも「僕」は落ち込まない。いつでも、どこでも、僕の相談に乗ってくれる。
力強い味方が自分の中にいれば、勇気百倍だ。
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これは、良い方法を教えて頂きました
落ち込んだ時、不甲斐ない気持ちの時、そして、心の中がざわついた時、
もうひとりの「私」に打ち明ければよいのですね。
理想の「私」は、きっと全てを受け止め、励ましたり、諭したりしてくれるのでしょう。
理想の「私」に相談することで、理想の解決策が見つかるかもしれません。
そして何より、「細かいことを気にせずに、前向きに生きよう」と、勇気が湧いてくるように思います。