デオラリのGH(ゲストハウス)で夕食を食べ始めた頃から、窓の外には雪が降り始めていました。
ガイドのサンデシュさんが案内している、ウズベキスタンの子連れグループも心配気に雪の様子を見ていました。
私は、この状況だと、明日は動けないかもしれないと考えていました。
以前のページで書きましたが、私は今回のトレッキングでは防水機能の無い軽登山靴を履いています。
雪のある場所で行動することを全く想定していなかったのです。
しかし、夕食後にダイニングルームで寛いでいると、サンデシュさんが隣で、アンナプルナベースキャンプ(以下ABC)に電話を掛けて明日の予約を取り始めました。
そして私に、「明日はどうしますか? よかったら一緒に予約しますよ」と言ってくれたのです。
私は少々驚きながら、「明日は子供達も一緒にABCへ行くの? 行けるんですか?」と尋ねました。
サンデシュさん平然と「そうです。今日と同じように子供達も全員一緒です」と答えました。
私の冬山経験からすると、小学生程度の子供が4000メートルを超える雪山に入ること自体想像を越えますが、サンデシュさんの表情に全く緊迫感はありません。
私は一呼吸置いて、「一緒に予約して下さい」と答えていました。
ウズベキスタンから来たグループは男性4人と女性5人、それに小学生ぐらいの男女の子供が3人、一人の男性は1歳程の赤ん坊を背負っています。
いくらなんでも、このグループが行動する場所に私が行けないはずはありません。
もし、サンデシュさんと一緒に「シャングリラ」に泊まらなければ、私は間違いなく、この場所からポカラへ戻っていたはずです。
しかしこの後に書くように、サンデシュさんの言葉通り、私は何事もなくABCを往復することが出来ました。
そして、今こうして暢気にブログを認めています。
サンデシュさんのような、現地を知り尽くしたガイドに出会えたことが本当にラッキーだったと、今改めて感謝しています。
3月11日
この日は奇しくも私の63歳の誕生日でした。
朝6時半頃に外へ出ると、ベットに入る頃まで降っていた雪は止んで、南の空の雲がオレンジ色に染まっていました。
戸外のテラスのテーブルに20cm程の新雪が積もっていました。
谷先の空は直ぐに色を失い、湿気を含んだ大気が重そうに淀んでいました。
軒先に幾本もの氷柱が垂れ下がっていました。
私は靴下の上に、ポカラで買い物をした時入手したポリエチレンのレジ袋を、左右の足に二枚ずつ被せました。
そしてGHでレンタルした、滑り止め用具とスパッツで足を整えました。
準備を終えて外に出ると、子供達が雪の中で元気に走り回っていました。
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