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「聖域」に宿

2014-05-22 21:08:17 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 雪原に、突然ヘリコプターが現れました。

 

 一瞬、救難ヘリかと思いましたが、山岳スキーを楽しむ観光客がチャーターしたようです。

 

 近くの斜面にスキーのトレースが描かれていました。

 

 何と優雅なスキーでしょうか。

 

 

 ABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)はもう目と鼻の先です。

 

 

 繰り返し眺めてきたマチャプチャレを、もう一度振り返ります。

 

 神々がお住まいになる峯は、御顔に雪も纏わず、周囲を見下ろしていました。

 

 正面のあの岩壁は、オーバーハングになっているかもしれません。

 

 

 しかし、その頃から周囲の山稜に雲が湧き始めました。

 

 

 
 マチャプチャレの上にも雲が広がり始めました。

 

 

 そんなころの、ほぼ12時、デオラリを出発して、約4時間後にABC 4130mに到着しました。

 

 

 そして今夜の宿はサンクチュアリ(Sanctuary)「聖域」です。

 

 

 チェックインを済ませ、「聖域」の庭に置かれたテーブルで雪景色を眺めながら昼食を摂ることにしました。

 

 ボリュームたっぷりのベジタブルカリーを、達成感と共に味わいます。

 

 

 食事を始めた頃は、テーブルの上に陽が射していたのですが、瞬く間に雲が広がり、マチャプチャレはとうとう雲の中に隠れてしまいました。

 

 陽が陰ると急に、気温が下がるのが分かります。

 

 

 そして、ABCの周囲は山肌を降りてくる雲に包まれてゆきます。

 

 一時間も到着が遅れたら、雪交じりの雲の中を歩かされていたかもしれません。

 

 

 昼食を済ませ自室へ戻り、午後はシュラフの中で安息の時を過ごしました。

 

 

 夕刻になって、戸外に光を感じたので、テラスへ出てみると、薄く雲を纏った山の後に夕日が沈み始めていました。

 

 

 そして空に米粒ほどの小さな月を残し、ABCは一日の記憶と共に、穏やかな夜の帳に包まれていきました。

  

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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神々の庭

2014-05-22 17:40:21 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 マチャプチャレBCを過ぎ、なだらかな雪の斜面を20分程も登ると、正面に稜線が見えてきました。

 

 

 後方の、マチャプチャレ頂上直下に雪煙が飛びます。

   

 ピークは猛烈な風に晒されているようです。

 

 今いる場所は、周囲を8000メートル級の山稜に囲まれ、風を殆ど感じません。

 

 無風状態の雪の斜面を、トレッカー達がABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)を目指します。

 

 

 正面にアンナプルナ・サウスらしき雪嶺が待ちかまえていました。

 

 

 登っては振り返り、登っては振り返りを繰り返しながら、神々の庭を目に焼き付けました。

 

 

 紺碧の空の下に、テントピーク 5663m の白い壁が屹立していました。

 

 

 なだらかな雪原に、ABCを目指すトレッカー達のトレースが曲線を描きます。

 

 

 マチャプチャレの黒い岩峰が空に突き刺さります。

 

 通り過ぎたマチャプチャレBCは、何時の間にか、雪の斜面が谷へと落ち込む先に姿を消しました。

 

 太陽が刻々と角度を変え、雪の斜面が青白く染まります。

 

 マチャプチャレも、周囲の岩峰も、見るたびに表情を変えてゆきます。

 

  

 正面にアンナプルナ・サウスの山塊が、一際大きくなってきました。

 

 一番手前でドーム状に見えるのが7126mピークで、見た目は低く見えますが、一番左手奥のピークがアンナプルナ・サウス 7219mでしょう。

 

 今居る場所から、信州大町辺りに望む、日本北アルプス以上の標高差があります。

 

 

 そんな大絶景の中を歩き続け、やがて雪上のトレースの正面に小さく、ABCが見えてきました。

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

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逆光の中のマチャプチャレ

2014-05-22 12:09:40 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 

 ABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)へ向かって歩き始めて1時間程経ちました。

 

 何時の間にか、モディ・コーラの流れは雪の下に隠れています。

 

 振り返えると、谷の上に青空が覗いています。

 

 

 雪を纏った岩の上に、長閑なうろこ雲が漂います。

 

 

 9時を過ぎる頃になって、谷に光が届き始めました。

 

 

 さっきまで上空を覆っていた雲も薄れ始めました。

 

 

 
 すぐ横の岩壁はモノトーンの抽象画のようです。

 

 岩壁の中で、ルビー色に凍る滝が、この場所の状況を説明していました。

 

 

 私は羽毛服を着て、毛の手袋にサングラスを掛けた冬山装備なので、寒さを殆ど感じません。

 

 不思議なくらいに風がありません。

 

 谷が、更に明るさを増してきました。

 

 

 ABCへのルートは、マチャプチャレBCの直下から西へと向きを変えます。

 

 汗ばむほどの陽射しが、トレッカーに降り注ぎました。

 

 

 時折振り返ると、マチャプチャレBCが眼下に見えていました。

 

 標高は3700mを越え、ほぼ富士山と同じ高さです。

 

 

 マチャプチャレが背後からの陽光を受け、神おわす場所であることを告げていました。

 

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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